前回までに、自分は日常業務で「データ」を必要としていること、でもその収集・分析・レポートを他人任せにしていたために、必要な時に必要な物が手に入らないこともあったのだと分かりました。BIツールがその課題を解決できるのは、なぜでしょうか?
前回までに整理した必要な「データ」を必要な時に把握できない課題は、肝心な「データ」へのアクセスが自分自身でできないことが理由だと分かりました。そしてその課題解決に役立つBI(Business Intelligence)とは何かを、今回は見ていきましょう。
BIとは、もともとは経営・会計・情報処理などの用語です。企業が有するさまざまな「データ」を、収集・蓄積・分析・報告することで、意思決定に役立てる手法や技術のこと、と説明できますが、ここは現場で働く一社員から見たBIのイメージを以下に紹介しましょう。
まず、BI導入前、「データ」へのアクセスもレポート作成もITシステム部を介していました。
【BI導入前】
BIを導入すると、「データ」を利用したい人は、いつでも見ることが可能になります。
この時、ITシステム部門の役目は、現場から要望される「データ」を柔軟に“開放”する仕組みを構築することです。「データ」を必要としている人は、開放されたデータに直接アクセスし、見たいデータがいつでも見ることができます。
ポイントは、PCやタブレットを介して、専門のダッシュボードを使って必要な「データ」の数値が見たいときに見られるだけではなく、分析や状況、目標などをビジュアル化して把握できるようになることです。
「あと目標までにどのくらい足りないのか」ということが、すぐに確認できることで“数字”に対する意識が向上します。また、課題の背景を数字をもとにじっくりと深掘りすることで、現場力も向上。
なぜ、そうなるのかを詳しく見て見ましょう。
具体的に、BIによって仕事が変わるポイントは次の3つです。
これはイメージしやすく、「便利さ」も実感できるでしょう。しかし、それは「誰かがやっていた」「Excelやレポートを手作業で再処理すれば時間をかけて可能だった」ことであり、「仕事を変える」ことにはまだ至っていません。
自動化・効率化で、BIの使い方を止めるのは、「BIを活用していない」のと同じことです。次の段階まで進んで、はじめて「BIを使ったデータ活用」を実現していると言えるのです。
たとえば「商品の売上げを小分類毎にドリルダウンですぐに確認できる」「推移や現状をグラフ化して確認できるので、ひと目で傾向を把握し対策を立てる」といったことが可能になります。
この段階で、現場の業務の動きが迅速かつ的確なものとなり、BI導入が業務改革に結び付いたと言えるでしょう。しかし、本当の「BI導入効果」は、次の段階にあるのです。
従来、担当者個人の経験やスキルによって得られていた判断を誰もができるようになる。個々人が何となく思っていた状況認識が、正確な数字を元に全社的に共有できる。それぞれの現場の今を全社的に共有することで、指示系統が円滑に回る。そして、誰もが自分の業務の課題に特別な分析技術がなくても気づけるようになり、課題を見つけ、対策を考え、行動を起こすことが可能になる。
その結果、業務効率が上がり、生産性が向上し、仕事の充実度が増し、会社全体の業績向上にも貢献することが期待できるのです。
第2回で、必要な「データ」を把握するまでの道順を次のように整理しました。
しかし、これもただ膨大な「データ」を前にして、眺めていてもその道順を描き出すことは難しいことです。実は、BIにより、「ビジュアル化する」「何かと何かを比べる」「課題を深掘りする」などが自由にできることで、可能になるものなのです。
今回、最初にBIを次のように説明しました。
「データ」を、収集・蓄積・分析・報告することで、意思決定に役立てる手法や技術のこと
つまり、あなたの仕事を「データ」に基づいた根拠のある物にするということなのです。これがBIによる「データ活用」です。第1回目のそもそもの質問、「うちの会社の何が『データ』で、どうすれば“価値”が生まれるのでしょうか?」の答えはこうです。
誰が、何を、どうやって「データ」を活用するのか?それに気づき、自ら行動に移すことで、データは価値を持つ。
それを可能にするのがBIです。次回、最終回は、ではなぜBIはそうしたことが可能なのか? 「そもそもBIとは何か?」について見ていきましょう。
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