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BIベンダー「ウイングアーク1st」のデータ活用の裏側とは?─「データ活用塾 脱Excelの1st STEP」セミナーレポート(後編)

         

前編ではBIダッシュボード「MotionBoard」の特徴・主要機能とともに、実際のダッシュボード構築の方法を簡潔に紹介しました。後編では、ウイングアーク1stが業務の中で、どのようにMotionBoardを活用しているのか、どのような効果を得ているのかについて、マーケティング本部Demand Generation部 部長の日高康成と営業本部営業統括部 統括部長の野口高成が、実際に作成・管理しているダッシュボードをもとに解説します。


※本記事は2023年6月29日に開催されたウェビナー「データ活用塾vol.6 脱Excelで業務効率アップ! データ集計・レポート作成業務編」の内容を改編し、前後編にまとめたものです。セミナー講演者はウイングアーク1st Data Empowerment事業部 ビジネスディベロップメント室の大沢愛絵、営業本部 営業統括部 統括部長の野口高成、マーケティング本部Demand Generation部 部長の日高康成、Data Empowerment事業部 DEプリセールス部の関戸聖良が務めました。

マーケティング、インサイドセールス、セールスは見ているデータが異なり、足並みがそろわない

セールス&マーケティング活動において最も重要なミッションは、事業の売り上げを伸ばしていくことです。そもそも企業が「売り上げを伸ばす」ためには、どのようなことが必要なのでしょうか。

ウイングアーク1stでは、マーケティング、インサイドセールス、セールスの3部門が、最前線に立ち、「売り上げを伸ばす」という共通目標のもとで活動をしています。「売り上げ」というのは数字で表しやすいKPIであり、部門間でも共有しやすいという利点があります。一方、 売り上げ以外のさまざまな数字はどうでしょうか? たとえ各部門がKPIを設定していても、全社共通の目標になりにくいものです。

ウイングアーク1stでは、製品のリード獲得から受注に至るまでに必要な一連のプロセスをファネルでプロセスを管理しています。

一見すると左から右へ、「マーケティング→インサイドセールス→セールス→サポート」へ順調に情報が渡されていきますが、実際は、一方通行では完結していません。途中でリテンション(既存顧客を維持する活動)や前段階への戻り、「部門をまたがる状態」が生まれます。

マーケティング、インサイドセールス、セールスの3部門は、同一の商品について顧客を獲得し売り上げにつなげるという共通の目標を持ち、共通のプロセス上で業務を遂行していますが、各部門が見ているデータは別々です。そのため、「部門をまたがる状態」において、お互いが持っているKPIの相関ができていないと、足並みがそろわず、成果が上がりにくくなってしまいます。

マーケティング活動に寄与する3つのBIダッシュボード

ウイングアーク1stでは、マーケティング本部が各種データをBIダッシュボード「MotionBoard」に集約し、複数のダッシュボードを作成。それらを活用した情報共有によって、前述したようなマーケティングとインサイドセールス、セールスの分断を防いでいます。

実際の画面とともに、活用している3つのダッシュボードを紹介します。

●Marketing KPI

売り上げ達成までの「KPI管理」を行うダッシュボードです。左側にあるのはメインとなる積み上げチャート。あらかじめ年度(期初3月)内に達成しなければならないリードの数が設定され、それに対するKPIと最新の実績値・見込み値をファネル別(担当領域ごと)に見ることができます。ダッシュボードの右側上ではファネル別のKPI進捗を見られ、また右側下では流入経路別のKPI進捗を確認できます。これにより各部門は自部門だけでなく他部門の進捗状況を常に最新の状態で把握することができています。

●MROI

マーケティングの「ROI」を見るダッシュボードです。ここでは当社4製品にかけたマーケティング費用(赤色バー)と、それに対する受注の実績値・見込み値(青色バー)を確認できます。赤色が低く青色が高い状態ほど「ROIが高い」状態にあります。ROIが低調であれば、カテゴリー別のチャートでその要因を解析します。ここでは「展示会に費用をかけすぎているのでは?」など自分たちの業務・活動にある課題を抽出でき、それらは他部門と対話するときの共通言語・エビデンスとして活用しています。

●Budget Management

Budget Managementという名の通り「予算管理」をするダッシュボードです。担当者が抱えている案件ごとの予算が一元管理されています。Excelによるデータ管理であれば、これらを複合的に集計したり最新のデータに反映しておく作業が必要になりますが、Budget Managementを活用することでその作業は不要になっています。ここから新規登録もでき、案件ごとの予算設定はクォーターを切り換えながら分かりやすいチャートで可視化することもできます。

「このようにして私たちは全てのマーケティング活動をデータで見えるようにし、自部門メンバーだけでなく、インサイドセールスやセールスなどの他部門にも共有しています。リード獲得から受注までのプロセスにおいて売り上げを伸ばしていくためには、『データを共通化』していくことが必要です。多様な(部署の)視点からボトルネックを見つけ出し、同じく多様な力でそれを解決していくのです。仮に効果のあるチャネルを見つけることができれば、そこにより多くのリソースを割り当てることもできるでしょう。(施策の)効果の高い顧客接点に対し、デジタルで最適なアプローチをしていくことも可能になります。BIツール活用の目的を『データ可視化』だけに置いてはいけません。売り上げを伸ばす組織となるためにも、まずはMotionBoardでレベニューモデルを構築し、BIによる可視化データを最大限活用したデータドリブンマーケティングの実施を推進していただきたいです」(日高)

同じデータで対話・議論できる状態をつくることで有意義なディスカッションが可能に

営業本部でもマーケティング本部と同様に、MotionBoardでダッシュボードを作成・管理しています。例えば、次の画面は、営業部門が週次で入力しているSalesforceをデータソースに作成した、製品カテゴリー別に予算・実績を確認できるダッシュボードです。

左側のチャートでグレー色部分は予算ライン、緑色部分が実績、黄色部分が見込みを含むこれからの積み上げです。これらのパイプライン(案件の獲得〜受注までの一連プロセス)管理により、予算に対して今自分たちが置かれている状況がどのような状況なのかが一目で分かるようになっています。

「コロナ禍の只中ではオフラインの営業活動がしにくくなるという問題が発生しました。そのことから営業部門を統括する私も、自部門が『新規案件をどれくらいつくれているか』『失注案件がどのくらい発生しているか』『そもそもきちんと営業活動をできているか』などをかなり気にかけました。その際、あらかじめその算出式をMotionBoardに設定しておいたことで、先週分と今週分の差異やウイークポイントをタイムラグなく把握できました」(野口)

構築されたダッシュボードでは、営業本部としての活動件数も担当者ごとに細分化された状態で見ることができます。昨年同時期と比較して活動件数や創出案件が多い担当者・少ない担当者も一覧化されており、単純に活動件数が少なくなっている担当者を把握したり、活動件数は少なくても大型案件を受注している担当者を参考にしたり、個々のKPIを把握することで、担当者ごとに次のアクションにつなげていく指示・指導が行えています。

「これ以外にも当社が使っているマネジメントダッシュボードは複数ありますが、いずれのダッシュボードでも部門長・グループ長・メンバーの全員が常に全く同じ状態のデータを見ています。管理者がチームメンバーの営業活動の状況を常に把握できる点はもちろんですが、全員が同じデータで対話・議論できる状態にしておくことで、有意義なディスカッションが可能です。それがMotionBoardで実現できる、最も価値ある世界観です」(野口)

一般的な企業では、営業部門のトップ・マネージャーが部下から提出される週次・月次のレポートを見て営業成績を把握しています。バトンリレー形式になるため大きなタイムラグが生じることは前編に触れた通りですが、そのような場合は、データをまとめることにリソースがさかれ、データを活用する文化は育ちません。ウイングアーク1stの営業本部は、MotionBoardを活用することで、データを活用して価値を生み出すことに多くのリソースを使えているのです。

このような業種・業務に応じた「MotionBoard」のダッシュボードのサンプル80種類以上が、をBI活用Tipsのサンプルサイト「Sample Gallery」にて無償公開されています。ぜひ、ご覧ください。

 
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