さまざまな手法でデータを収集できるようになった昨今。収集したデータを新たな施策に生かすために、さまざまな手法で手軽にデータ分析が行われるようになりました。
一方で全く違う対象の調査結果を目の前の対象に当てはめても適切な成果を得ることはできません。そんなときに知っておきたいのが「外的妥当性(一般化可能性)」という概念です。これはデータをうまく活用するためには必ず押さえておきたい考え方になりますので、ぜひこの記事でしっかりこの概念について理解してみてください!
ある集団を対象にした調査結果をどの対象まで適応(一般化)できるか?を「外的妥当性(一般化可能性)」といいます。
例えば、成人女性を対象にした仕事への意識調査結果を小学生の女児に当てはめるのは難しそうに思えます。このとき、外的妥当性は低い、といえます。一方、同じ調査結果を労働世代の18歳から60歳までの女性に結果を当てはめる場合は外的妥当性が高いといえます。
外的妥当性(一般化可能性)は、医療や心理学の分野では非常に重要な概念です。
例えば、マウスでの実験で得られた結果をそのまま人間に適応できるか、というと客観的にも、非常に難しいことが想像できると思います。
このような生物種の違いだけでなく、同じ人間でも民族や属性によって大きく結果が異なることもあり、出生地の違いや、性別、ルーツなどの違いから統計結果が大きく異なる場合もあります。
また、同じ箇所の病気でも病状によってアプローチは異なります。例えば肝炎でも型の違いで治療のアプローチは異なりますし、ワクチンの有無も違います。
B型肝炎のワクチンを摂取してもC型肝炎のリスクは抑えられません。このように似ていても全く実情が異なることがあるため、外的妥当性(一般化可能性)を排除することはできません。
一方、外的妥当性を考慮する必要は心理学、医療などの分野に閉じるものではありません。どんな職種であってもデータ分析において外的妥当性について考えておく必要があるのです。
さまざまな調査を行うとき、外的妥当性を考慮せず、設計してしまうと、欲しい結果が得られないリスクがあります。
例えば、あるサービスで継続数を伸ばしたい場合に、ユーザーの意向を調査するためにメールマガジンでアンケートを行ったとします。メールマガジンに登録しているのは、熱心なユーザーが多く、離脱しやすいライトなユーザーの意見が集まることはほとんどありませんでした。その結果、やめようとしているユーザーのニーズを捉えきれず、離脱しやすい人は離脱しやすいままになってしまいます。
そうしたリスクを避けるためには、望む対象に一般化できるよう、できる限りバイアスをなくし、調査対象を広げ、ランダムにデータを取得する必要があるのです。
統計データを取り扱う場合に、単純にデータを見てわかりやすい因果関係を見出すだけでなく、見逃している要素がないかを検討する必要があります。
そこで重要になるのが、結果を批判的に見ることです。調査結果を前にしても、本当に偏りがないか、見逃している要素はないか、を見極めたいですね。批判的になるための考え方としてこの外的妥当性の概念は一つの武器になるかと思いますので、ぜひ今後のデータ活用に活かしてみてください。
(大藤フジヲ)
・心理学用語集:妥当性 | 心理学用語の学習 ・一般化可能性(外的妥当性)とは?結果を外挿できる意味を例でわかりやすく | いちばんやさしい、医療統計
・根拠に基づく医療 | Wikipedia
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