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ハロウィーンの時期になると街中でよく見かけるようになった怪物「ゾンビ」。アフリカの一部の地域で信じられていた「生きた屍」は、そのあまりにも魅力的なアイデアから、世界中を彷徨い歩きながら、様々なコンテンツと結びつき増殖してきました。
そんなゾンビの魅力にとらわれたのは、日本も例外ではありません。ゲームでは『バイオハザード』シリーズが発売から約30年たった現在でも依然として高い人気を誇っていますし、『アイアムアヒーロー』(2016)、『カメラを止めるな!』(2018)『屍人荘の殺人』(2019)というように、ゾンビ映画は毎年のように公開されています。
このように、実は日本には「ゾンビカルチャー市場」なるものがあると思われるのですが、それを示すデータは著しく乏しいため規模感をつかむことが難しい現状があります。
そこで今回は、日本におけるゾンビコンテンツの成功例を挙げながら、ゾンビは日本でどのような市場を形成しているのかについて考察していきたいと思います。
ゾンビカルチャーを語るうえで決して無視できないのがゾンビ映画です。
ゾンビ映画そのものの歴史は1932年に発表されたヴィクター・ハルペリン監督による『恐怖城(White Zombie)』まで遡ります。そこから歴史を紡ぎ出したゾンビ文化はそこから進化し始め、ジョージ・A・ロメロの『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)で現在私たちが思い浮かべるゾンビ像が完成されたと一般的には言われています。
その後、ロメロの作品に影響されて様々なゾンビ映画が製作されるようになるのですが、ゾンビ映画史上最も撮影本数が多くなるのは実は2000年代に入ってからでした。
近畿大学でゾンビ学の教鞭をとられている岡田健氏が著した『大学で学ぶゾンビ学~人はなぜゾンビに惹かれるのか~』によると、2000年には8本程度であった上映本数は2008年には58本と、実におよそ7倍ものゾンビ映画が製作されるようになりました。
日本でも、2001年に日本初のゾンビ映画である『バトルガール』がリリースされたことからも、この時期に世界で同時にゾンビ映画の興隆があったのだと考えられるでしょう。この時期を境に、毎年のように日本でもゾンビ映画が製作・公開されるようになります。
そして、2010年代以降のメジャーなゾンビ映画の興行収入を見てみましょう。ちなみに、映画業界では「興行収入が10億円以上であれば成功」とされています。
日本で公開された映画の興行収入を掲載している情報サイト『映画評価ピクシーン』によれば、『アイアムアヒーロー』(2016)は16.2億円、『屍人荘の殺人』(2019)は10.9億円でした。
また、『カメラを止めるな!』(2018)はインディーズ映画であるにもかかわらず、31.2億円という大ヒットを記録しました(この作品はゾンビ映画とカテゴライズするかどうか意見が分かれる作品ではありますが)。
このように、日本産のゾンビ映画でも、商業的に一定の成功を収める作品は存在するということが言えます。とはいえ、計量的な調査をする際に、こうした劇場公開されるメジャーな作品だけではなく、レンタルショップにのみ置かれる作品やクラウドファンディングにより制作された自主製作映画の収益も本来であれば調査すべきなのですが、なにぶんマイナーなジャンルな故、再びデータ不足という壁に突き当たってしまい、今回は断念せざるを得ませんでした。
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