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データを集めるだけでは価値は生まれない

「DXレポート」が指摘する既存システムのブラックボックス化を回避する上で、有力な選択肢がクラウドだ。CIOや情報システム部門といった “人づくり・組織づくり” と双璧をなす、ITインフラについてはどう考えたらよいのだろう。古川氏は、「クラウドへの移行でデータの価値が向上すると考える人も少なくありませんが、移行しただけではツールが改良されて便利になったに過ぎません。繰り返しますが、大切なのは、そのデータで何をするかという戦略やビジョンです」とくぎを刺す。

データをただ集めてきただけでは何の価値も生まれない。これを体系化・整理して、価値を生み出す手順として古川氏は、DIKW(Data, Information, Knowledge, Wisdom)を挙げる。これはPMBOK(Project Management Body of Knowledge)で用いられる情報の分類手法で、

①データを収集する→
②集めたデータに定義・意味付けをして情報にする→
③情報をビジネスに照らし合わせて汎用的な知識にする→
④さらに実践的な場面での活用を経て知恵にする

といった4層のピラミッド構造から成っている。

「データを知識にするところまではIT部門でも可能ですが、知識を知恵にするところは、おそらくユーザー部門しかできません。いずれにしても、このようにデータを価値創造に結びつけるプロセスを実現できれば、レガシィだ、クラウドだという議論はそう重要ではなくなります」。

もう「日本」にこだわっている場合ではない


最後に古川氏は、これからのDXの実現には、やはりデジタル人材の育成が最大のテーマになると語る。しかも今後の社会でデジタル人材は、イノベーションだけに必要なのではなく、ありとあらゆるドメインで必要とされる。膨大な数のデジタル人材をどう育てるのか。

「今までは自社内で育てる、国内で育てるという発想が日本企業には根強くありました。しかし生え抜きである程度の年齢になった社員を教育しようとしても、身に着いた “日本企業的” な価値観が変わらなければ難しいですし、何よりも変化のスピードに追いつけない可能性があります。個人的には、いっそのことデジタルチームだけをアメリカの西海岸に移して、そこで仕事も採用も行うような思い切った発想転換も必要ではないかと考えています」

もちろんそうした人材育成の手法も含め、DX実現の解はそれぞれの企業によって異なってくる。
「グローバルで勝負しようとするなら、企業は、海外人材でも平気で使いこなせるスキルを習得しなくてはなりません。今までの日本企業の発想や習慣にとらわれることなく、さまざまな可能性に向けてチャレンジし続けていくべきです」と古川氏は語る。

確かに日本においては、CIO、CDOおよびその予備軍が学ぶ機会も限られている。そんななか第一線で活躍するCIOたちが一堂に会する「CIO Japan Summit」が2018年11月7日と8日の両日に開催される。英国のビジネスカンファレンス運営会社マーカスエバンズが主催するイベントで、今年で開催10回目を迎える。今回お話を伺った味の素株式会社古川氏も登壇予定だ。

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こちらのイベントは終了しています。

当日は、第一線で活躍するCIOの登壇プログラムだけではなく、IT企業にとっては、自社の提供する商品やサービス を、国内有数の企業のCIOやIT・情報システム部門統括の方々に直接ご提案できるマッチングの場も設けられる予定だ。
企業が抱える課題解決に取り組むCIOたちの視点に直接触れられる1年に1度の機会。
顧客・社員起点のビジネス変革を企業のIT部門はどう牽引していくべきなのか、様々な講演や議論からヒントがあるだろう。

お話をお伺いしたDataLover:古川 昌幸(ふるかわ まさゆき)氏

味の素株式会社情報企画部長 兼 食品事業本部 生活者解析・事業創造部
シニアマネージャー

1986年野村コンピュータシステム(現・野村総合研究所)入社、情報システムのインフラのデザインに従事。1989年より大手証券会社の基幹系システムの構築に携わり、オープンシステム化のグランドデザインを担当。1993年IT系コンサルタントを経て、2003年には企画部長として全社の経営企画に携わる。2012年NRIシステムテクノ(味の素株式会社の情報子会社にNRIが出資し誕生)の常務取締役として情報子会社強化に取り組む。2016年味の素株式会社の情報企画部に出向しデジタル化を推進。2016年7月より現職。

(取材・TEXT:JBPRESS+田口/工藤 PHOTO:Inoue Syuhei)


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