アーティストの2人に1人がコロナ禍で活動を諦めようと思っている!? 危機を迎える音楽業界の今とこれからを考える | ページ 2 | データで越境者に寄り添うメディア データのじかん
会員ページへmember

About us データのじかんとは?

アーティストの2人に1人がコロナ禍で活動を諦めようと思っている!? 危機を迎える音楽業界の今とこれからを考える

         

音楽業界がコロナ禍により大きなダメージを被ったワケ

コロナ禍によりアーティストがここまでダメージを受けた背景には、近年の音楽業界の構造転換も関係しています。それは、“ソフト販売の低迷とライブ市場の隆興”

以下のデータをご覧ください。

日本の音楽業界における「音楽配信売上高」「音楽ソフト売上高」「コンサート・ライブ売上高」の2005~2019年の推移を表したグラフです。

※千万以下四捨五入
「日本のレコード産業201020152020┃一般社団法人日本レコード協会」「ライブ市場調査/ダウンロード┃一般社団法人コンサートプロモーターズ協会」よりデータ引用の上、筆者作成

ご覧の通り、音楽ソフト売上高は15年間でおよそ半減しており、それと交差するようにコンサート・ライブ売上高は1,049億円から3,665億円へと約3倍に増加しています。

音楽配信市場も、サブスクリプションサービスの隆興により徐々に回復してきてはいますが、着うた・着メロ全盛期の2009年前後には及びません。

つまり、近年音楽業界の収益において“コンサート・ライブ”は柱となっていたのです。

また、コンサート・ライブはアーティストにとってパフォーマンスを披露するための集大成の場、ファンとの交流の場でもあります。先のバドワイザーの調査でもコロナウイルスによる影響で苦しかったこととして、「収入の減少」「練習場所の制限」を押さえ「イベントの延期・中止」が筆頭に上げられています。

引用元:【音楽・芸術アーティスト対象 コロナウイルスと制作に対しての意識調査】アーティストの2人に1人が活動を諦めようと思っていると回答 コロナ禍による音楽・芸術の厳しい現状が明らかに┃PRTimes

コンサート・ライブができないことは金銭面・精神面の両方からアーティストにダメージを与えました。そのことが、活動を諦めようという思考にまでつながったのではないでしょうか。

これからのアーティスト活動の可能性

コンサート・ライブの開催が制限されるウィズコロナ・アフターコロナ時代でのアーティストはどのような方法で活動を継続すればよいのでしょうか?

新しい手段として上げられるのが、オンライン配信コンサートです。コロナ禍によりコンサート中止を余儀なくされたアーティストが無観客ライブをオンライン配信する例は各所で見られました。

6月25日にバンド、サザンオールスターズが3,600円/枚で有料配信したライブのチケット購入者は約18万人、家族や友人などを含めた同時視聴者数は推定約50万人と報告されています。その経済効果はチケット代だけで約6億4,800万円。ライブ会場となった横浜アリーナの最大収容人数は1万7,000人です。オンラインならではの制約のなさがもたらした効果の大きさが見て取れますね。

また8月7日に行われた米津玄師×バトルロイヤルゲーム『FORTNITE(フォートナイト)』のバーチャルライブのように、バーチャル空間内で開催される新たな形式のライブも生まれ始めています。

しかし、このような活動が成立するのは一部の有名アーティストだけでは?という疑問も生じますが、アーティストのフェーズによって取るべき戦略が異なること、やり方次第で収益を上げる方法があることはコロナ禍が起きる前・起きた後で変わりません。

PeatixイベントサロンオンラインVol.2『持続可能な音楽』において、DJ/イベントクリエイターのアフロマンス氏は「フェスのマネタイズの仕組みと、30人くらいのキャパのDJバーや小さなライブハウスのマネタイズの仕方って、まったく違うじゃないですか(※)」と発言し、コミュニティ内での交流やサポートを基盤としたイベントの作り方を提案しています。

同イベント内で開示されたデータによるとYoutubeチャンネルで開催された4回の無料配信ライブの投げ銭率は最大同時接続者数の12~17%、平均単価は1,000~1,500円だったとのこと。

オンラインコンサート・ライブであればこうしたデータも取得しやすくなります。それらを武器としてどのようにして人を集め、どう収益を得るのかを考えることがアーティストや音楽業界の人々に求められています。

※引用元:ライブ配信の投げ銭率は12%以上 データから考える、アーティストがWebでマネタイズする方法┃logmiBiz

終わりに

コロナ禍でコンサートの開催が難しくなり、多くのアーティストが中止もしくは無観客ライブの配信に移行しました。

少しずつリアル空間でのライブが行われ始めてはいるものの、まだまだ完全に元の状態に戻る日は遠いでしょう。

音楽ファンとしては、バーチャル配信など新しいコンサート・ライブの楽しみ方に物おじせずに飛び込んで音楽業界全体の盛り上げに貢献していきたいですね。

【参考資料】
・コロナ禍でアーティストの2人に1人が活動をあきらめようと思っている┃音楽ナタリー
・【音楽・芸術アーティスト対象 コロナウイルスと制作に対しての意識調査】アーティストの2人に1人が活動を諦めようと思っていると回答 コロナ禍による音楽・芸術の厳しい現状が明らかに┃PRTimes
・日本のレコード産業2010┃一般社団法人日本レコード協会
・日本のレコード産業2015┃一般社団法人日本レコード協会
・日本のレコード産業2020┃一般社団法人日本レコード協会
・ライブ市場調査/ダウンロード┃一般社団法人コンサートプロモーターズ協会
・サザンが初の無観客配信ライブ 約50万人が視聴┃日本経済新聞
・米津玄師が『FORTNITE』内でイベント 実際に参加してみた┃日経XTREND
・アフターコロナの消費者はこう変わる サザンのライブは視聴50万人 「トキ消費」オンライン化の破壊力┃日経XTREND
・イベントサロンオンラインVol.2「”持続可能な音楽”」 #2/5「ライブ配信の投げ銭率は12%以上 データから考える、アーティストがWebでマネタイズする方法」┃logmiBiz

宮田文机

 
データで見る、コロナ禍で生じたアーティストの危機

1 2

データ活用 Data utilization テクノロジー technology 社会 society ビジネス business ライフ life 特集 Special feature

関連記事Related article

書評記事Book-review

データのじかん公式InstagramInstagram

データのじかん公式Instagram

30秒で理解!インフォグラフィックや動画で解説!フォローして『1日1記事』インプットしよう!

おすすめ記事Recommended articles

データのじかん会員なら、
全てのコンテンツが
見放題・ダウンロードし放題
データのじかん会員でできること
  • 会員限定資料がすべてダウンロードできる
  • セミナー開催を優先告知
  • 厳選情報をメルマガで確認
会員登録する
データのじかん会員について詳しく知りたい方
close close