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こんにちは!ドイツ在住3年目になるフリーライター・翻訳家、佐藤ちひろです。

3年ほど定住地を探して世界中を渡り歩き、2016年春にベルリンに到着。すぐさま「ここだ!」と腹を決め、フリーランスビザを取得しました。今回の記事では、ビールの本場、ドイツから現地情報をお届けしちゃいます。

アートシーンやソーシャルイベントが充実しているベルリンでは、どこで何をしていても目に入ってくるのがビール。「人のいるところにビールあり」なこの街では、バーやクラブなど飲酒を楽しむ場所だけでなく、天気がいい日は公園の芝生で、公共のプールサイドや湖畔で、そしてなぜか街中いたるところにあるコンクリート製の卓球台で卓球を楽しみながら、みんなビールをぐびぐび飲む飲む。

ちなみにドイツでは缶ビールは正統派ではない、という見方が強く、ほとんどの人が瓶ビールをラッパ飲みしています。スタイニーボトルもありますが、大きめの500ml瓶が主流。当初こそ「いや、重いしさ……」とグラスに注いでいた私も、3年の月日が経過するうち、今や当然のように豪快にラッパ飲み。

ドイツ人、そのビール愛の歴史

ビールが完全に日常に溶け込んでいるドイツ人。

そのビール愛の歴史は長く、500年以上前の1516年に、「ビールの成分としては、大麦とホップ、水のみが使用されなくてはならない」と定めた「ビール純粋令」なる法律をバイエルン(現在の南ドイツ地方)の公主が作りました。

同令に定められた原料と製法を守って初めて、正当なビールとして販売できたんだそう。いちいちきっちりしたがるドイツ人気質丸出しのエピソード、と深く頷いてしまいます。

そして、なんとこの法律、現役です!

2018年現在でも、ビール純粋令に反する飲み物はビールとしては販売できません。ドイツ人のビールに対する本気度が伝わってきます。

そんなビールにマジなドイツ国内には1400ヶ所ものビール醸造所があるんです。そのうち半数以上の738ヶ所が年間生産量1000hl(ヘクターリットル)以下の小規模醸造所で、その数は年々増え続けています。

かつ、ドイツでは個人での消費目的であればビールを自宅で醸造しても合法だそうです。こうしたDIY組を含めると、ドイツには無数の種類のビールがあると言えるでしょう。

以下では、ドイツビールの代表的な種類をご紹介しますね。

地域別・ドイツビールの種類と特徴

ドイツビールの主な種類は、ピルスナー、ヘレス、ヴァイス、ケルシュ、ベルリナー・ヴァイセです。それぞれの特徴をご紹介します。

ピルスナー


淡い黄金色でモルトの風味が強いピルスナー。

日本のビールはほとんどがピルスナーなので、日本人には飲みやすいです。

ピルスナーは元々はチェコのピルゼン地方が発祥のため、まずは東ドイツを中心に広まりました。今でもドイツ東部にあるベルリンでは、バーで生ビールを頼めば、まずピルスナーしか出てきません。

現在はドイツ全土で生産され、ビール全体の6割の売り上げを占めています。

ヘレス


オクトーバーフェストで有名なドイツ・バイエルン州のミュンヘンでは、ビールと言えばヘレス。

Hellはドイツ語で「明るい」という意味で、19世紀にミュンヘンで製造されていた黒ビール「ミュンヘナー」と比べて色が明るいためこう呼ばれます。

ピルスナーよりもコクがあり甘めなのが特徴。またヘレスのボトルのエチケットは凝っていて高級感があります。

ちなみにミュンヘナーはピルスナーを「味がしない」と嫌います。ビール純粋例発祥の地のプライドが見え隠れしているエピソードですよね。

ヴァイス


こちらもバイエルン州が発祥。

Weissはドイツ語で「小麦、白」の意味。

白く濁ったような色と、小麦使用率50%以上であることからこの名が付きました。

苦味がなく飲みやすいのですが、小麦の割合が多いためすぐにお腹が一杯になります。 

ケルシュ


ドイツ西部の街・ケルンとその近郊でのみ醸造されているビールです。炭酸がゆるいため、200mlとドイツにしては超小型の専用グラスでお代わりして飲む風習があります。有名なケルンのクリスマスマーケットでは、ビールはケルシュ一色です。

ベルリナー・ヴァイセ


ラズベリー味と「くるまば草」というハーブ味のシロップを入れて飲むカラフルなビールで、見た目が可愛いことから女性に人気のビールです。

乳酸菌発酵をさせているので酸味がありますが、甘いシロップで中和されてほとんど気になりません。こちらはドイツビールには珍しくスタイニーボトルが主流です。 

ドイツ人に聞いてみた「で、本当にビール好きなの?」

散々「ドイツ! ビール!」とぶち上げておいて何ですが、ドイツ国内のビールの個人消費量は年々減り続けているのが現実です。

1950年に調査が始まり、ピークは1980年の1人当たり146リットル。それが2017年には101リットルまで落ち込んでいます。その減少率、なんと4割。

それでも年間個人消費量は世界4位(1位はお隣チェコ共和国)ですし、日本の年間41リットルに比べると2.5倍ほどではありますが……

そこで、ルームメイトのドイツ人男子2人にビールへの思いを聞いてみました。

左:ヨハンくん(23)…ベルリン在住歴10年くらいの大学生

右:フロリアンくん(21)…ベルリン在住2年目。スタートアップ勤務

私:どれくらいの頻度でどれだけの量を飲む?

フ「毎週末、多分2-3リットルくらい。大学が休みのときはもっと増える。あ、それ年間平均上回ってるの?やばいもっと真面目にジム行こう

ヨ「週末友達と出かければボトルで1、2本とか。出かけなかったら飲まない」

私:ソーセージとビール、世界から消えたら困るのはどっち?(ドイツ人的には究極の選択)

フ:「ビール(即答)」

ヨ:「ソーセージ。ビールはなくなったら寂しいけど、困らない」

と、同じ20代前半でも結構温度差のあるフロリアンくんとヨハンくんですが、個人消費量が減ってきているところからすると、おそらくヨハンくんのような若者が増えてきているんでしょう。

ちなみにドイツでは、満17歳からビールとワインの飲酒が合法です。(ハードリカーは20歳から)

ビール消費量からドイツ社会の今が見える?

若者のビール離れ以外にも、ビールの個人消費量減少の背景にはいろんな理由が隠れている気がして、考察してみました。

高齢化社会


ドイツでは現在、人口の20%以上が65歳。日本と同様高齢化社会がメキメキ進んでいます。さらに50歳以上で見ると人口の約45%ほど。

対して個人消費量がピークだった1980年は、65歳以上の人口は約11%50歳以上の人口は約31%でした。

ちなみに2017年の総人口は、1980年に比べておよそ250万人増えています。

20代のときと変わらず大樽飲めるぜワハハっていう50代+は、いくらビール好きのドイツ人でも少ないでしょうから、高齢化社会が酒量減少に関わっている可能性はあるんじゃないかと思います。

移民の増加


寛容な移民・難民政策で知られるドイツでは、8200万人の人口のうち、8人に1人が外国籍だそうです。

しかも年々増え続ける移民の中にはお酒を飲まないイスラム教徒や、ビール文化圏以外の出身者も多いようで、2014年以降だけでも中東やアフリカからの難民を160万人以上受け入れています。移民の11.2%はシリア、アフガニスタン、イラクなど飲酒習慣のない国の出身となっています。ちなみにベルリン在住3年目の私も、普段飲むのはもっぱらワインです。

健康志向の広まり


これはドイツに限った話ではありませんが、ビールはやはり糖質も多いし、体重や見た目の維持によろしくないという考えの人が増えていますよね。

またベルリンなどの都市部では、ビーガン、ベジタリアンの割合が高いと感じます。2015年のVEBUの調査によると、ドイツ人口のおよそ10%がヴィーガン(動物由来の食べ物を食べない)なのだそうです。モラル上の理由から菜食主義者になる人が多いようですが、こうした人たちはスピリチュアルや健康管理にも熱心で、お酒をあまり飲まない人が多いというのが個人的な肌感覚です。

まとめ

ビール純粋令が現役という驚きの事実や、それぞれの地方で愛され育まれてきたビールの種類などについて今回は紹介してみました。

「ビールを飲みながら政府の悪口を言うのはドイツ人の基本的な欲求だ」と19世紀ドイツの政治家ビスマルクさんは言っています。ドイツ文化と切っても切れないビール視点で、ドイツ社会の現在に思いをはせるのもまた面白いものです。

佐藤ちひろ

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