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データで見る消費傾向の現実:コロナ禍で売れているもの、売れなくなったもの

         

世界中で新型コロナウイルスの感染が拡大し、日常生活が制限されだして早2ヶ月。外出自粛の影響で生活が大きく変わった人も多いのではないでしょうか。日常ルーティンの変化はもちろん消費行動に反映され、コロナ前に比べて売り上げが増えている商品もあれば、売り上げが急減したものもあります。

「これは納得」という商品もあれば、「どうして?」と首を傾げたくなる商品もありますが、そこには聞けば納得の理由があります。コロナ禍に翻弄される小売事情を覗いてみましょう

売れ行きが落ちた商品

・ガソリン


日本石油連盟の4月17日の発表では、4月7日に最初の緊急事態宣言が出されたあと、前年比2割ほどガソリンの需要が落ち込んだとのことです。外出自粛を強く求める動きが広まり、自家用車の給油頻度が落ちた影響とみられています。

・口紅


女性の外出自粛の影響が最も顕著に反映された商品です。4月3週は売上が前年の26.3%まで落ち込みました

通常通り出社を続けていても、一日中マスクを着けて過ごすため、口紅を着けない人が多いことも原因と考えられています。口元を覆ってしまえば口紅の意味はありませんし、マスクにべったり口紅が着いてしまうのも不衛生な感じがしますからね。

・写真用フィルム


デジタル写真では出せない質感が出ることから、近年人気が高まっているフィルム写真。しかし海外旅行はおろか国内旅行も自粛を求められる現状では、写真を撮るチャンスはありません。5月1週の売上は前年の44%でした。

・酔い止め薬


こちらも車での長距離移動が減ったことが原因の売上減。ゴールデンウィーク前の4月3週の売上は前年の13.1%まで落ち込み、コロナ禍を通して売上減部門の1位となっています。

・チューインガム


焼肉やラーメンの後のエチケットに欠かせないチューインガム。また匂いが強い食事の後でなくても、人に会う前にはとりあえず噛んでおくという人も多いでしょう。外食や人に会う機会が減った影響で、5月1週の売上は前年の70.4%に留まりました。

・強心剤


少し意外なのが、4月3週の販売額が前年の40.7%だった強心剤。一見コロナ禍とは関係なさそうですが、ここにもちゃんと理由があります。

ここで言う強心剤は、ドラックストアなどで処方箋なしで購入できる漢方薬のこと。日本製の漢方薬は原材料などへの信頼性が高く、世界シェアは8割以上とも。そのため訪日中国人が自国発祥の漢方製品を日本で爆買いしていくという面白いねじれ現象が起こっています。

しかし、3月9日に中国からの日本入国が原則禁止となり、中国人旅行客による爆買いがなくなったために売上が落ちたことが読み取れます。

ちなみに別種の漢方薬の小児五疳薬も5月1週には前年の52%に落ち込んでいますが、こちらも強心剤の売上減と同じ理由とみられます。

売れ行きが伸びた商品

・免疫強化系食品


秋から冬にかけての鍋シーズンに売上が伸びるキノコ類。しかしスーパーチェーンの「ライフ」によると、4月に入って売上が前年比2〜3割伸びているそう。また、キムチや納豆、乳酸菌飲料などの発酵食品の売上も軒並み伸びています。

免疫力アップを助ける効果があるとされる発酵食品を取り入れて、新型コロナウイルス感染予防に努めたいという消費者心理がうかがえます。

・酒類


緊急事態宣言下で、飲食店が20時以降のアルコール販売を自粛。混み合う居酒屋に行きたくないという心理も働き、家飲みにシフトする人が増えています。Zoomを使ったオンライン飲み会なるものも流行っていますね。

お花見シーズンに外出を控える動きがあったものの、毎日の晩酌を自宅で楽しむ人が増えたためか、スピリッツ・リキュール類の売上が急伸。5月1週の売上は前年の193.4%と、2倍近く増加しました。

ちなみにスピリッツとはジン、ラム、ウォッカなどの蒸留酒、リキュールとは蒸留酒に味付けしたもので、どちらもカクテルのベースになるお酒。バーでカクテルが飲めなくなったことで、皆さん自宅でカクテルを自作しているのかもしれませんね。

・自転車


「緊急事態宣言でジムが休業となったことに加え、そもそも外出の機会が減ったことで運動不足を実感している」「歩くにはちょっと遠いけど、密な空間の電車やバスは利用したくない」

コロナ禍が生んだこうした不満に応えるかのように、自転車の売れ行きがすこぶる好調です。自転車専門店の全国チェーン「サイクルベースあさひ」によると、同社の2020年3月の売上高は前年の21.3%増でした。緊急事態宣言前にすでにこれだけの伸び率を見せていたということは、4月以降の売上にも期待ができそうです。

番外編:ドイツで売れている商品

筆者が住むドイツでは飲食店の強制休業に伴い冷凍食品が爆売れし、「ドイツ人の貧弱な料理スキルが露呈」と自虐的に報道されました。確かに日常生活で食事を楽しむという意欲が薄い人が多いので、失礼ながらこれには納得。

また、ドイツ人の友人によると小麦粉とイースト菌が品薄になっているとのこと。万が一パンが品切れになったときのための買い溜めでしょうが、イースト菌が品切れになるあたり、パン文化だなあという印象です。

地域別にみると、文化の違いが浮き彫りになってまた違った面白さがあるかもしれません。

参考リンク:
・ コロナで「売れた」「売れなくなった」商品TOP30コロナ禍で売れた商品TOP30「5月異変」のナゼ

佐藤ちひろ

 
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