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先に原因と結果のストーリーを考えれば、データ探しに迷わない。データ分析における逆転の発想とは。

         

身近な課題をストーリーで解決する

データでロジックを強化したストーリー提案は、企業の経営戦略やマーケティングのような外向きの事案だけでなく日常業務でも十分に役立ちます。

たとえば、昨今話題になっている「働き方改革」。より生産性の高い業務にフォーカスするためには、どの業務が最終パフォーマンスにつながっているのかを客観的に知る必要があります。これはデータ分析を応用しやすい課題です。

仕事の重要性を測る指標はいくつかあります。人数、時間、費用などパフォーマンスにつながると思われるものは意外と多くあるものです。原因となりそうなものと知りたい最終的な結果は、近いほうが精度が高く分析できます。自部署の労働時間を探って自部署の利益を検証することはできますが、会社の総利益を検証するのが難しいのは皆さん直感的にわかると思います。

もし何かしらの業務を切り捨てる必要に迫られたとしたら、トップダウンで「この案件は中止」と決めてしまうと絶対に角が立ちます。上司の主観的な理由によるものだったら関わる人たちはいい気がしません。人間関係を気にして実力を出せないこともあるでしょう。でも論理的なストーリーがあり、実際の数値でもその通りの結果があり、客観的に比較すれば「誰かのせい」にならずに業務削減ができるようになります。

データ分析は社長の意思決定のベースにもなり、日常の業務範囲の決断も助けてくれる。私はどちらのデータ分析でも基本的な考え方は一緒だと考えています。

今の「データ分析」は手順が逆になっていないか

最終的な1つの結果を見るだけでなく、途中にある「原因となるインプット要素」と「結果となるアウトプット要素」のつながりを掘り下げる。結果をたどって何が元になっているのか考えてストーリーを組み、数値の裏付けをとって「本当にそうでした」と確かめる。その行為がデータ分析です。

企業で価値のあるデータ分析とは、みんなが納得して新しいアクションを起こすきっかけとなるものです。いかに理解して腹落ちしてもらうかが大事で、高度な分析はかえって理解の妨げとなることさえあります。共通理解を助けるのはデータ分析のストーリーです。ストーリーが理解されれば、なぜこうなったのか結果を理論的に共有できます。データはロジックを補完するものであって、データやデータ分析単体で何かがわかるというものではありません。

ストーリーがあれば、極端な話、プレゼンで具体的な数値そのものを示さなくても相手を説得できます。数字はロジックを担保する裏付けとして持っておくだけでもいい。それほどストーリーは大切です。やみくもに営業に関するデータを集め、数字やグラフから「何が原因なのか」を語ろうとするのは、順序が逆なんです。

具体的に定義された目的があって、この目的を知るためにはどんなことを見るかという仮説があって、仮説を確かめられるデータを選んで確認する。それが私が考えるデータ分析です。でも多くの人は前半を飛ばして、何かよい情報がないかデータの中から発見しようとすることからスタートしています。

データが昔に比べて手に入りやすくなったのもあると思います。ボタンを押すときれいに整理された結果が出ますが、何のためにその結果を出すのかストーリーが定義されていないので、眺めて「ああ、そうか」で終わってしまう。せっかくのデータが活用し切れていない現状は非常に残念です。

お話をお伺いしたDataLover:柏木 吉基(カシワギ ヨシキ)

データ&ストーリー LLC代表  http://data-story.net/
データ分析・ロジカルシンキングを武器とした課題解決トレーナー
横浜国立大学非常勤講師 多摩大学大学院客員教授
慶応義塾大学理工学部卒業後、日立製作所入社。在職中、欧米両方のビジネススクールにて学び、2003年MBAを取得。Academic Award受賞。2004年日産自動車へ転職。海外マーケティング&セールス部門、ビジネス改革グループマネージャ等を歴任。 グローバル組織で、数々の経営課題の解決、ビジネス改革プロジェクトのパイロットを務める。2014年、プロの実務家、ビジネススキルトレーナーとして独立。データ分析を“活用”するための思考法、分析力を分かり易く伝えた著書や講義には高い定評がある。
著書に 「それ、根拠あるの?」と言わせないデータ・統計分析ができる本/日本実業出版社
データ競争力を上げる上司、下げる上司/日経BP社

(PHOTO:Inoue Syuhei  企画・構成・編集:野島光太郎)

 
可能性をストーリーに置き換え、データで補完する

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