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トップセールスの成功モデルを他のメンバーにインストール

社内の情報システム部に頼らず、現場で作り込めるというのもMAPPAの特長です。最初に導入して以降、久我さんのデータの見方を反映してどんどんバージョンアップしてきました。営業部門の成績が上がったもうひとつの理由は、MAPPAを通じ、トップセールスだった久我さんの考え方や行動パターンが他のメンバーにも移植されたことにもあるのです。

BtoBのビジネスをしている会社の営業担当者の中には、毎月のノルマ達成のために月末が忙しい! という方も少なくないでしょう。しかし久我さんいわく、それは非常に効率の悪いやり方です。

「入社4年目くらいのとき、当時の副社長が僕の営業のやり方を分析したことがありました。その頃の常識は、お客さんをいっぱい持っている古参の営業の方が強いというもので、若い僕がトップセールスを続けていたのが不思議だったようなんですね。それで分かったのは、僕だけ月初に一番売上が上がっていたということです」

久我さんは、意識的に月初に売上が上がるよう、顧客と商談を進めるタイミングを調整していたのだそうです。

「月末に向かって売上が上がっていくのって、最後に粘って、頑張ってゴールしているということで、効率が悪いんです。

お客さんにはなんとか今月の発注にしてほしいと電話でお願いしたり、社内でもすぐに出荷できるように根回ししたり、調整のためのコストがものすごくかかる。月末じゃなくて月初にピークを持ってくるサイクルにすることで、内部リソースを最大限活用でき、そんな調整はゼロなんですよ。やっていることは単純で、月末に売れるものを月初にずらしているだけです。でも、無理を通すためのコストがからないので、効率よく回していけるのです」

早めに見通しを立てて効率を上げるという久我さんの成功パターンは、部門のマネジメントにも踏襲されています。もともと下期に売上が偏っていた組織も現在は上期に比重が高くなるようになってきました。

「常に翌期の見込みを意識しながら営業活動ができるように、MAPPAでは翌期に受注できる見込みの案件が今どれだけあるかということを見えるようにしています。そして、今年の予算に関しては、上期でほぼ達成の見通しを付けてしまうんです。そうすれば、下期には今期の売上を心配せずに翌年に向けた営業活動ができるわけです」

各メンバーに対しても、MAPPAで表示されるデータが、あるべき行動を促すしかけになっています。営業の仕事は、新規案件の獲得から、進行中の案件の管理、すでに購入した顧客のアフターフォローまで多岐に渡ります。どれも必要ですが、目の前にある急ぎの仕事にばかり取り組んでいると、将来の売上をつくり出すことができません。MAPPAでは、新たに獲得した見込み案件や、ほぼ受注できる状態に確度が上がったものなど、営業担当者ごとの活動の成果が週次で表示されています。その結果、みんなが将来の売上につながる営業活動を意識できるようになったそうです。

マネージャーの役割は組織をデザインすること

久我さんは、マネージャーの役割を「成果が上がる組織をデザインすること」と定義します。

「組織は、時計のゼンマイみたいなもの。必要な要素がひとつでも欠けると、全体が回らなくなってしまう」という久我さんが特に大事にしているのは、メンバーひとりひとりが納得感をもって気持ちよく働ける環境。情報の透明性を高め、部門と自分自身が今置かれている状況が分かるようにすることに加え、予算目標の作り方も重視しています。

「予算というのは、メンバーを導いていくためのすごく大事な指標だと思っています。不公平感が出ないようにロジカルに、担当する商材やマーケットの大きさなど、営業の難易度によって全員に納得感のある予算を立てます。そして、予算は期中であっても状況に応じてどんどん変えていきます。例えば特定の部門の売上が突出したため組織全体の目標を大幅に超えるような見通しが立った場合は他部門の予算を減らすなど、調整を細かくやっていきます。また、普段は飲み会はそれほどしないのですが、部門全体として予算を達成したときには少し豪華にホテルで美味しいものを食べに行くなどして、ねぎらいつつざっくばらんにコミュニケーションできる時間をとります。チームとしてよりよい空気を作っていき、皆で予算を達成することが大事であると考えており皆に伝えるようにしています」

何によって行動を促されるかは、人それぞれ。また、人間は常に合理的な判断ができるとは限らない。だからこそ、常に共通の指標となるデータをみんなの目に見えるようにすることが重要だと、久我さんは語ります。

合理性を重視しつつ、合理的なだけではない人間の心理にも着目するマネジメントスタイルにたどりついた背景には何があるのか、次回は久我さん自身の成長の軌跡を、詳しくお伺いします。


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(取材・TEXT:やつづかえり PHOTO:Syuhei Inoue 企画・構成・編集:野島光太郎)

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