DXの目的は「組織の変革」であるというのは、プロジェクトの軸をずらさないために必ず押さえておきたいポイントです(※)。そして、DXの根幹技術のひとつが「ビッグデータ/アナリティクス」。しかし、「データがあっても変革のアイディアにつなげられず、宝の持ち腐れとなってしまうのではないか」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。
確かにデータ(Data)はあくまで変革の種であり、アイディアを生み出す知識(Knowledge)や、知恵(Wisdom)にまで昇華させることが肝要です。
本記事では、そのプロセスをモデル化した「DIKWモデル」を解説。その使い方や合わせて知りたい「データドリブン」についても、ご紹介します。
※…詳しくは「DX(デジタルトランスフォーメーション)とは?定義やIT化との違い、推進における課題について」
DIKWモデルとは、情報をデータ(Data)→情報(Information)→知識(Knowledge)→Wisdom(知恵)の4つの階層に分けることで、ナレッジ・マネジメントなどに活用するためのフレームワークです。
「ナレッジ・マネジメント」とは、『知識創造企業』『失敗の本質』などの著書でも知られる経営学者、野中郁次郎氏が考案した企業に蓄積された「知識」を蓄積し、共有し、生かすことで企業の競争力を向上させる経営手法です。
データを経営に生かしたいという場合、必ずナレッジ・マネジメントの考えは取り入れることになるはず。しかし、「そもそもナレッジ(知識)とは何か?」と悩んだときにはDIKWモデルを参照しましょう。
DIKWモデルでは、データ、情報、知識、知恵の4つを以下のように分類します。
引用元:DIKW pyramid┃Wikipedia
このようにデータは情報の素材となり、情報は知識の素材に、そうしてようやく「知恵」にたどり着きます。また、データ→情報の過程で「誰と(誰を)」「どこで」「いつ」「何を」などの問いに、情報→知識の過程で「どうやって」という手段の問いに、知識→知恵の過程で「なぜ」という理由を突き詰める問いに答えられるようになるといいます。
ここでDIKWモデルの具体的な使い方について考えてみましょう。
例えば、「ある食品AのPOSデータ」があったとします。
このように、データは情報を経て「知識」へと昇華されて初めて使えます。そして、「知識」はさらに「知恵」へと発展させることで、個人のスキルとして備わるとともに、企業全体、業界全体に共有し恩恵をもたらせるようになります。
いわゆる「仕事ができる人」とは、「知恵」がありかつそれを周りに共有できる人のことではないでしょうか。DIKWモデルは個別のジョブだけでなく、自身や組織の成長にまでつなげられるという点で誰しもにおすすめしたい、「知恵」となりうるフレームワークです。
「データのじかん」内の記事(データドリブンとは?|データドリブンを実現するツールの種類と機能を解説)では、以下の4つがデータドリブンの柱として紹介されています。
そう、この流れはそのまま、DIKWモデルのデータ→情報→知識→知恵のプロセスと重なります。DIKWモデルを知ると「早く知識や知恵にデータを昇華しなければ」とついつい考えてしまうかもしれません。しかし、そこで「データドリブン=最初にデータあり」ということを思い出していただきたいのです。
活用することを急ぐあまり不十分なデータや勘を用いて導き出したものは、間違った知識・的外れな知恵となる可能性があります。それは正しい知識や知恵と対照的に、施策を失敗に導き、共有されることで組織全体を誤った判断に導くことになるでしょう。
もちろん対照的に、ただデータを揃え分析しただけで終わってしまっても、そのためにかけたコストや時間が無駄になってしまいます。ツールも駆使しつつデータドリブンで情報をそろえ、それをDIKWモデルに従って知識、知恵に変えていくという習慣を確立できれば個人・組織はどんどん強くなっていくはずです。
データ、情報、知識、知恵……、DIKWモデルについて知ると、私たちが普段「知っている」と思っていることがいかに解像度が低かったかを思い知らされます。
より対象に迫れば例えば知識も「形式知」と「暗黙知」に分類し、そのエコシステムはSECIモデルで説明可能です。それらについての知識もぜひ、「知恵」としてご体得ください!
【参考資料】
(宮田文机)
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