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DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉の初出は、2004年にスウェーデンのウメオ大学エリック・ストルターマン教授が論文中で提唱したものです。「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義されています。2014年にはガートナー社、2015年にはIDC Japan社よりも定義され、2018年には、日本でも経済産業省が、「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」にてDXを定義しました。
2018年に経済産業省が発表したDX(デジタルトランスフォーメーション)の定義は以下です。
“「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのも のや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」”
引用:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0」
経済産業省の定義するDXでは、製品やサービスの変革だけでなく、それを提供する企業の文化・風土など基盤も含めた変革が必要であると示されています。
目的 | |
---|---|
DX | 組織の変革を目的とした戦略 |
IT化 | 主に業務効率化を目的とする戦術 |
DXとI T 化において、明確な違いはありませんが、敢えて違いをあげるならば「目的」において違いがあります。
DXにおける目的は、ビジネスモデルや組織そのものの変革です。経済産業省の定義にもある通り、企業文化や風土の変革も含まれるため、より本質的な変革が求められます。一方で、IT化は「ITを導入することによる業務効率化」が主な目的です。もちろんDXを行う中で業務効率化が必要なプロセスも存在するため、DXの方がIT化よりも広義の意味と言えそうです。
DX推進指標とは、企業がDXを進めていく中で自社における課題を診断するために2019年7月に経済産業省が公開した指標です。DXを進めるにはまずは自社の現状を理解することが欠かせません。DX推進指標は9つのキークエスチョンとサブクエスチョンから構成されており、活用することで自社の課題を把握できます。
引用:経済産業省「DX認定制度 申請要項」
DX推進策の一環として、「DX認定制度」も始動しています。
DX認定制度とは、2020年5月に施行された「情報処理の促進に関する法律の一部を改正する法律」に基づく認定制度のことを指します。具体的には、「情報処理の促進に関する法律」に基づいて作られた指針を用いて、申請のあった優良な取り組みを行っている事業者を認定するというものです。DX認定を目指すことで、自然と自社のDX推進を進められるだけでなく、信用やブランド力の向上などにも繋がります。
DXは自社のビジネスを大幅に成長させる可能性を秘めています。市場での競争力を高め、既存のビジネスモデルを一新してしまうこともあり得るでしょう。逆に言えば、これまで市場で優位な立場にいたリーディングカンパニーであっても、DXを成功させた企業にシェアを奪われる可能性すらあるのです。
このように、DXが必要とされる理由は成功した時のリターンが大きいことです。メリットに関しては数多く存在しますが、ここでは、メリットの一部を「攻めのDX」「守りのDX」という概念にあわせてご説明します。
攻めのDXにおけるメリット |
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・ビジネスの変革を起こす可能性を秘めている ・多様化するニーズへの対応が可能 |
攻めのDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、「ITを活用して顧客体験やビジネスモデルを変革させる」といった市場に対して革新を起こすDXのことです。攻めの視点からみたDXの具体的なメリットは以下の2つです。
現在、世界中でDX先行企業による既存のビジネスモデルの破壊と再構築(デジタル・ディスラプション)が行われています。様々な産業に新規参入者が現れ、新たなサービスや商品を創出しており、業界を牽引していた企業が新規参入企業にシェアを奪われてしまうことも考えられます。
DXに取り組むことで、このようなビジネスの変革を自社から巻き起こせる可能性があり、その時のメリットは計り知れません。
DX推進は多様化する消費者ニーズへ対応するためにも、必要不可欠です。現在、モノ消費からコト消費へ、消費行動が変化しています。必要なものが手に入りやすくなったため、商品の価値よりも体験や経験が重要視されるようになりました。企業はこういった消費行動の変化にも対応する必要があり、その手段としてDXの導入が求められています。
守りのDXのメリット |
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・「2025年の崖」への対応 ・業務の抜本的な変革・再設計 |
「守りのDX」とは、業務効率化や意思決定の際のスピードアップといった、自社内部の改善を中心としたDXのことを指します。「攻めのDX」と比較すると、自社でコントロールできる部分が多く、比較的取り組みやすいのも特徴です。では守りの視点からみたDXの具体的なメリットをそれぞれ見ていきましょう。
「2025年の崖」とは、今後DX推進が十分に進まなかった場合に考え得る、デジタル分野における競争への遅れや国の損失を指す言葉です。現在中核を担うIT人材が高齢化・引退することによる人材不足や、レガシーシステムのブラックボックス化などが原因で発生するとされています。現状の課題が解決されなかった場合、DXが実現できないだけでなく、2025年以降に年間最大12兆円の損失が生じるとされています。こうした問題に対応できる可能性があるということも、「守りのDX」のメリットと言えるでしょう。
守りのDXは業務効率化をするだけでなく、業務を抜本的に変革することを目的としています。従来の業務効率化は既存業務をスリムにしていくものでしたが、「守りのDX」の場合は業務そのものを再設計します。業務を再設計した結果、業務がスリムになるだけでなく、消滅するものも出てくるでしょう。こうした変革によって、人材一人あたりの生産性を高め、持続力の高い組織を実現します。
現在、日本国内におけるDX推進の課題は大きく分けて以下の3つです。
DXに対する理解不足は、大きな障害のひとつです。例えばDX推進にあたり、各企業が既存システムの問題点を把握しきれておらず、経営層が不明瞭な要件定義を行ってしまっている場合があります。またベンダー企業主導になっており、ユーザー企業において各部署が果たすべき役割が果たされていないケースも散見されます。DX実現にあたり、経営層がしっかりとその意義や目的を理解し、現場まで落とし込む必要があるでしょう。
2021年5月に発表されたガートナーによる調査「CDOサーベイ」によると、データ活用・データ分析のリーダーの72%が組織内のDXを主導している、もしくはそれに準ずる立場で関与していると報告されています。このようにDX推進には現場レベルでの対応には限界があります。いかにしてリーダー層にもDXに理解の深い人物を配置するかが重要になります。
リーダー層だけでなく、DX推進に必要とされるIT人材全体の不足も大きな課題です。ITを活用することで何が実現できるのか理解している人材がおらず、DX推進にあたり障壁となっているケースも多く見受けられます。
しかし、データサイエンティストなどのIT人材だけが増えても問題が解決しない場合もあります。近年ではデータサイエンティストだけでなく、ビジネストランスレーター不在の状況も問題視されています。2016年のマッキンゼーグローバルインスティテュートの調査によれば、米国だけでも今後10年間で200~400万人のビジネストランスレータ―の需要が見込まれると発表しています。
Point|ビジネストランスレーターとは?
ビジネストランスレーターとは、技術系部署と経営層やビジネスチームの橋渡し的な役割をする人材を指します。データサイエンスの知識だけでなく、経営に関する知識や業界への深い洞察を兼ね備えているのが特徴です。
ビジネストランスレーターが不在の場合、データサイエンティストは経営に関する情報が少ないために目標を立てることができず、経営層はITの知識が少ないために経営課題を解決する手段を持ちえないのです。このような両者の情報の差を埋めるためにビジネストランスレーターが近年注目されています。
レガシーシステムとは、老朽化、肥大化、複雑化、ブラックボックス化したシステムのことを言います。レガシーシステムには保守・運用に人材や資金が必要となる場合が多く、DX推進の大きな障壁となります。 レガシーシステムは時間が経過すればするほど、ブラックボックス化・複雑化が進むため、早期脱却が必要です。
経済産業省の「DXレポート~~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~」によれば、約7割の企業がDX推進に当たって、レガシーシステムが足かせになっていると回答しており、6割がレガシーシステムの保守・運用が属人化し継承が困難と回答しています。
DX推進にあたって、注意しなければならないポイントがあります。その代表的なものが「DXデッドロック」と呼ばれる5つの阻害要因です。自社でDX推進を行う際には、下記の5つに注意しながら行うと良いでしょう。
部門ごとにDXを行う場合、その部門ごとに主導権を分けてしまうと、その部門だけの最適解になってしまうことがあります。こうした状況が続くと、各部門で異なるシステムを使用することになり、データを横断的に活用することができなくなります。部門ごとの最適解ではなく、なるべく全体の最適解を考えられる仕組みが必要です。
イノベーションには最新テクノロジーが欠かせませんが、ただ技術を取り入れることが目的化してしまうと、DX推進にはつながりません。AIやIOT、VRなど技術を取り入れることを中心に考えるのではなく、サービスや目的を中心に考え、必要に応じて最新テクノロジーを取り入れるようにしましょう。最新テクノロジーを場当たり的にとりあえず導入してしまうと、それぞれの最新テクノロジーが会社の成長に結びつくことはなく、形骸化してしまいます。
DXを推進し自社のプロダクトを改善していくには市場の未来を想定し、今後どのようなユーザー体験を提供するべきなのかを策定する必要があります。現状必要な技術だけでなく、この先に何が必要なのかを捉えたうえで戦術プランを構築し、ロードマップ化すると良いでしょう。
基本的にビジネスのKPIを実現するために、ITにおけるKPIが存在します。しかし実際に、ITがどのような役割を果たし、結果を出せば良いのか十分に策定されていない場合も多くあります。その結果、ビジネスの成長には全く関係のないITのKPIが立てられてしまうこともあります。
人材資源やビジネスプロセス、テクノロジーに関する知見をもとにした体制の構築や運用がDXには必要不可欠です。最新テクノロジーがあっても、使いこなせるノウハウや人材が無ければ意味がありません。
下記4つはDXの実現において重要な技術であると言われています。
これは第3のプラットフォームとも呼ばれており、DX推進におけるキーワードともいえるでしょう。ここでは、DX推進の根幹をなすこれら4つの技術について解説します。
Point.|そもそも第3のプラットフォームって何?
第3のプラットフォームとは、IDC Japanが提唱し始めた「クラウド」「モビリティ」「ビッグデータ/アナリティクス」「ソーシャル技術」のことを指し、DX実現における重要な要素です。
一般的に第1のプラットフォームは「コンピューターシステム」や「メインフレーム」、第2のプラットフォームは「クライアントサーバ・システム」だとされています。
クラウドとは、インターネットなどネットワークを経由してサービスなどを提供する形態のことを指します。クラウド・コンピューティングとも呼ばれ、サービスだけでなくソフトウェアの機能なども利用可能です。
モビリティとは、移動性や流動性、うごきやすさなどを意味する言葉です。IT分野においては、情報機器や通信サービス、情報システムなどが移動時・外出時に普段と変わりなく利用できる点や、その度合いの高さを意味するのが一般的です。
ビッグデータとは、一般的なソフトウェアでは扱いきれないほど膨大な様々なデータのことです。従来では扱うのが難しかったビッグデータを解析(アナリティクス)することでデータの規則性や性質などを読み取り、新しい知見を発見します。
ソーシャル技術とは、不特定多数のユーザー同士が繋がりを持ち、情報の発信・共有・交流などのコミュニケーションを行うことや、それを実現するために必要な技術などの総称です。ソーシャル技術から得られたデータをプロダクト開発に活かすことで、より質の高いユーザー体験を提供できるようになります。
ここでは、業界ごとのDXの動向について解説します。
現在行政や自治体では、少子高齢化の加速やサービス品質・地域の活力の向上といった観点からDXが求められています。そのためには、行政・自治体が抱える問題を「自分ごと」として捉えることや、デジタルリテラシーの養成、地域社会が目標とするデジタル社会のビジョンの明示・KPI設定と共有が必要です。デジタル技術やデータを活用した、柔軟に対応できる社会の構築が求められています。
製造業では、業務プロセスにおけるDXが望まれています。DXの実現により、生産から受発注まで生産性が向上するだけでなく、各プロセスが結びつくことで新たな付加価値の創出を期待可能です。
物流業界は、他の業界と比較するとアナログな面が色濃く残る業界と言えます。日本の場合、他国と比べ荷主は状況に応じて柔軟な対応を期待する傾向にあり、臨機応変に対応するためには、IT化による標準化よりもアナログな対応の方が良い面もあるためです。こういった状況から、DX推進に踏み切れないという企業は少なくありません。
不動産業界において、DXの実現により、業務効率化による働き方改革の推進や人材不足の解消、新しい事業の創出などが期待されています。DX推進における課題は、不動産業界のもつ根強いアナログ文化やレガシーシステムからの脱却などが挙げられます。
教育業界では、ICT教育の実現を目的とした「GIGAスクール構想」という取組の実現年度を前倒しするなど、国主導の積極的なDX推進の動きも見られます。そういった取り組みが進む一方、現在教員のデジタルリテラシー不足やインフラ整備などが喫緊の課題になっています。教育業界におけるDXが実現した場合には、教育の質・幅の向上や、学習機会の増加などが期待可能です。
実は早期のIT導入が、金融業界におけるDX実現の足かせになっています。システムのセキュリティの高さを求め構築した結果、手間やコストがかかるものの柔軟性の低いレガシーシステムになってしまいました。DX実現に向け、システムの整備や社内の見直し、意識改革などが必要とされています。
建設業界では、少子高齢化に伴い人手不足となっているため、DXを実現することで建設事業各段階(計画、設計、施工、維持管理)における労働生産性向上が期待されています。また、3D モデルを施工段階から導入し連携させることで、情報共有や一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図ることを目的としたワークフローであるBIM/CIMの活用が進められています。
アクセンチュアが 2014 年に保険会社 141 社に対して実施したデジタル化に 関する意識調査によると、デジタル化戦略を策定している企業は半数以下の 47%に留まっていました。また「DX推進指標 自己診断結果分析レポート2020年版」を見てみるとDX推進指標に回答した企業数は全体の5.6%ほどで、DX推進の初期段階と言えます。
小売業界では、EC化への対応や決済方法の多様化、社内オペレーションの改善、顧客データの活用などが課題として挙げられます。DXの実現に向けて、実際にオンラインとオフラインを融合させた販売手法であるOMOの導入や消費行動に関するデータ活用を行っている企業も。また、デジタル技術を活用したオペレーションの改善などが実施されている企業もあります。
食品業界において、労働生産性が望まれています。DX推進による省人化、低コスト化、人材育成による高度かつ効率的な作業の実現が必要です。人材不足が深刻化するなか、デジタル技術を活用した業務の生産性向上が求められており、柔軟な体制づくりが必要不可欠でしょう。
DXは一部の業界、一部の組織ではなく全企業が取り組む価値のあるものです。DX推進にあたり経営層がDXの本質について理解し、実際に取り組みを行う現場レベルまで落とし込むこと必要があります。
自社の課題を見極め、戦略を策定し、社内全体を巻き込みながらDXを推進していきましょう。
ウイングアーク1stでは、「守りのDX」と「攻めのDX」という2ステップを経て、DX推進を行います。ウイングアーク1stのDX推進について詳しくは以下のページで解説していいるので、興味のある方はぜひ一度ご覧ください。
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