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「2030年問題」と呼ばれる問題をみなさまはご存知でしょうか?
これは、2030年に日本国内の人口の約3割が高齢者となることで引き起こされる各種問題の総称です。 少子高齢化による、医療費の増大や地方の過疎化といった社会問題はもちろん、働き手の人口がぐっと減るため、企業もその影響を免れません。
そうした中で、さまざまな技術を活用する動きが広がっています。その一つがドローンです。近年、ドローン技術が進化し、さまざまな法規制も整備されています。例えば、2023年11月には、過疎地のドローンの利用について、条件付きで監視者不要でも可能とする規制緩和が発表されるなど、その活用範囲は急速に広がっています。
今回の記事では、ドローン市場の市場規模と将来予測、各分野の成長の動向、焦点を当て、未来のドローン市場がどのように変革されるかについて紹介します。ドローンが様々な産業で活用され、未来社会においてどのような役割を果たすか、その可能性に迫ります。
今回は、株式会社インプレス(東京都千代田区)のシンクタンク部門、インプレス総合研究所が実施した「ドローンビジネス調査報告書2023」から市場規模に関するデータを紹介します。
調査によると、2022年度の日本国内ドローンビジネス市場は前年比33.7%増の3086億円に達したといいます。2023年には、さらに前年比24.0%増の3828億円規模になると予測されています。さらに、冒頭でも触れた、規制緩和などにより、有人地帯での目視外飛行(レベル4飛行)が解禁され、2028年度までには9000億円を超える市場が期待されています。
市場別に見ても、規模は拡大しつつあります。最も比率が高いのがサービス市場で、これは、ドローンを活用した業務の提携事業の市場規模に該当します。サービス市場の2022年度の事業規模は、前年比38.4%増の1587億円となっています。
次いで機体市場が前年比22.4%増の848億円、周辺サービス事業が前年比39.3%増の652億円と続きます。
では、ドローンの市場規模を世界規模で見るとどのくらいになるのでしょうか?
株式会社矢野経済研究所が行った調査によると、2021年の世界ドローン市場規模は1兆8,687億6,500万円で、2018年から2021年までの年平均成長率は11.3%で成長したそうです。コマーシャル(産業用)ドローンが主要な成長要因である一方で、コンシューマー(個人用)ドローンは既に成熟しており、業界内での状況は分かれているといいます。
新規参入も見られ、今後も淘汰や統廃合が続く見通しです。コロナ禍の真っ只中では、ドローンデリバリーが注目を集め、自動化により人間同士の接触を最小限に抑制でき、オンラインショッピングやフードデリバリー需要に対応できると期待されました。しかし、米国では規制が課題となり、特にBVLOS(目視できる範囲を超える距離)飛行にはまだ課題が残っているといいます。
また、海外市場では軍需向けのドローンの市場も大きく、単純に、便利というだけではないドローンの負の側面も垣間見えます。
将来展望では、2027年のドローン市場規模は2兆9,988億2,100万円に達し、年平均成長率は7.7%の予測されており、個人向けドローンの縮小傾向に対し、産業用ドローンとそのサービスが市場をけん引すると見込まれます。特に点検・検査が最大の成長分野として浮上しています。
2030年問題に備え、ドローン技術に一層の期待が高まる中、ドローン市場の動向を解説しました。世界でも日本でもドローンの市場規模は成長しています。一方で、便利なだけでなく、軍事目的での流通や利用も拡大しており、改めて、その活用方法を模索しなくてはならないと感じました。
今後も、社会課題への解決策としてのドローンの市場規模の成長に期待すると共に、しっかりと負の側面にも目を向けていく必要があるのではないでしょうか。
(大藤ヨシヲ)
・2022年度のドローンビジネス市場規模は前年比33.7%増の3086億円 レベル4飛行の解禁によりドローン活用が進み、2028年度は9000億円超へ 『ドローンビジネス調査報告書2023』3月27日発売 | インプレス総合研究所・過疎地のドローン規制緩和=条件付きで監視者不要―国交省 | 時事通信ニュース・ドローン機体ビジネスの動向について
・ドローン(UAV/UAS)の世界市場に関する調査を実施(2021年)|矢野経済研究所
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