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2023年3月、新型コロナウイルス感染症の流行から3年が経過し、ワクチンが広く流通、「マスク着用の考え方」が見直されるなど、コロナ禍が長期化する中で、人々のライフスタイルが見直されつつあります。
コロナ禍において働き方を大きく変えた要素の一つがテレワークです。しかし、ここ一年で徐々にオフィス回帰の流れが生まれつつあります。実際、都内の企業では、コロナ禍当初の2020年3月には62.7%の企業がテレワークを行っていましたが、22年7月にテレワークを行なっていた企業は、52.3%と10%程度減少しているそうです。
そうした中で注目を集めるのが「ハイブリッドワーク」です。
ハイブリッドワークはテレワークとオフィスワークを組み合わせ、従業員の業務内容に応じ、働く場所を柔軟に変えられるというワークスタイルです。テレワークとオフィスワークを柔軟に切り替えることで、ワークライフバランスを調整しながら働くことができます。そのため、従業員のモチベーション向上やオフィスの柔軟性向上といった効果が期待できます。
フレキシブルオフィスを展開するWeWork Japan 合同会社が2021年に行った「コロナ禍長期化における働き方」に関する調査によると、50%以上の人が在宅勤務とオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークを要望していたそうです。
さらに20代の男女では7割以上がハイブリッドワークを要望、さらに「オフィスで働きたいと思わない」と回答した人が全体の23%で5人に1人はオフィスでの勤務を望まないことも明らかになっています。
オフィスへの回帰の動きは2022年初頭以降アメリカの企業においても広がっています。
一部の企業ではオフィス勤務を義務付ける指示が出たと言います。こうした背景には、従業員の生産性をあげたいという経営層の狙いがありました。
しかし、アメリカ統計局のデータを見ると逆の傾向が見えてきたのです。アメリカの生産性は、2020年の第2四半期、つまりオフィスが閉鎖された時期に急上昇し、2021年まで高いレベルで推移しています。その後、企業が2022年初頭にオフィスへの復帰を義務付ける企業が増えたタイミングでその年の第1四半期と第2四半期に生産性が急激に低下していたのです。
こうした結果を受け、オフィスへの復帰命令に伴う生産性の損失が認知され、ハイブリットワークなどを取り入れたことで、第3四半期と第4四半期には生産性がわずかに回復しています。
アメリカで世論調査及びコンサルティングを行うGallupによると懲罰を伴うような規則に基づいて従業員にオフィスに来るように強制することは、従業員の離職や恐怖、および不信につながるといいます。
また、「従業員が勤務時間の60〜80%、つまり週5日の勤務時間のうち3〜4日をテレワークにすると最適なエンゲージメントの向上が見られる」ということがわかったそうです。
アメリカの調査会社Integrated Benefits Instituteが 2022年10月に行った調査では、テレワークまたはハイブリッド環境で働く従業員は、満足度が高く (20.7%)、エンゲージメントが高い (50.8%) という報告が出ています。
360°ビデオ会議デバイスを製造するアメリカの企業Owl Labsの調査によると、従業員がオフィスに通勤する場合のコストは月平均863ドル、テレワークの場合は月額432ドルとオフィスワークはテレワークと比較して2倍のコストがかかるといいます。
ここでハイブリッドワークを導入するメリットについて改めて整理しましょう。
・従業員の生産性の向上
ハイブリッドワークに伴う生産性の向上はアメリカ統計局の調査でも明らかになっています
・従業員のモチベーション向上
最適なハイブリッドワークの導入でモチベーションやエンゲージメントが上がるという調査結果が得られています
・運用コストの削減
オフィス勤務の経費はテレワークの2倍かかることがわかっています
・優秀な人材の採用につながる
ハイブリッドワークの需要が高いため、優秀な人材を集めやすくなります
このメディアを運営するウイングアーク1stでは、テレワークで勤務する従業員が多く、逆に顔を合わせで仕事をできる機会は貴重な存在になっています。だからこそ、オフィス出社する際は、リアルなコミュニケーションを楽しめる、付加価値のある時間になっています。
毎日出社する、は負担が大きいかもしれませんが、目的意識を持って時折オフィスに通勤するのは気分転換にもなりますし、楽しいものです。
上手にオフィスワークとテレワークを組み合わせ、経営層も従業員も嬉しい仕組みを考えていくことが重要かもしれません。
【参考資料】
(大藤ヨシヲ)
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