「IoT活用支援のリニューアル」の目玉は、iSTC社の製造遠隔ラインモニタリングサービスを刷新した「iXacs(アイザックス)」です。その紹介はiSTC社執行役員・CTOの今井武晃(いまい・たけあき)氏により行われました。
「弊社は日本一現場に近いIoTスタートアップです」と今井氏。iSTC社設立から2年以上サービスを続ける中で得た現場の声が反映されたのがiXacsです(iSTC社設立の経緯について詳しくはこちら)。 その特筆すべき点は以下の3ポイント。
分析に適したグラフを自動で出力する機能が実装されています。機器の停止時間、サイクルタイムのばらつき、出来高率の変遷など、知りたい情報がグラフやガントチャートで直感的かつグラフィカルに表されるため、分析しやすさは抜群。背景には、データを自動で見やすく整理することで改善活動に直結しやすくする意図があります。
目標数値や作業状況などの設定変更が一部を除いて現場で自由に行えます。現場に設置されたスマートボタン「iXacs Click」をワンプッシュするだけで即座にラインの停止理由を登録することも可能。臨機応変に調整を行うことでよりデータ活用はより身近になるでしょう。当日はデモ機の設置もされていました。
iSTC社には膨大な製造現場のデータが蓄積されているため、各計測項目について根拠のある最頻値や平均値、ばらつき(標準偏差)と言った統計値が割り出せます。その値をベンチマークとすればこれまでにない視点で目標設定や分析が可能となります。さらにウイングアーク1stのBIツールMotionBoardと組み合わせることで、あらゆるデータとの比較検証が可能に。録画データや生産計画のCSVデータと比べることでより精緻な検証や戦略設定が可能になるとのことです。
このような機能に加え、古い設備にも取り付けられる設置の容易さや一日300円/ラインの安価な価格設定はiXacsの大きな魅力。現在導入している企業は約200社、そのうち80%ほどが中小企業とのことです。
前半パート最後のスピーカーは、数年前まで作業着を来て奔走していたという現場を知り尽くしたiSTC社ゼネラルマネージャーの鳥居克成(とりい・かつなり)氏。
鳥居氏が語るのはiSTC社の「サポートの充実」について。それは、「データ活用・改善活動にトライしても効果が出ない」という悩みに答えるべく構築されました。その原因は改善のやり方・結果が出る方法を知らないからだ、と鳥居氏。
具体的なサポートとして挙げられたのが「iSmart Academy」と「iSmart Consulting」です。
iSmart AcademyはIoTによる改善の基礎が学べるe-learningです。ここで基礎知識を仕入れることで改善に必要な知識が身に付きます。すなわち時間のかかる座学などを経ることなく、データ分析と実際の改善活動にすぐに取り掛かれるのです。そうしてすぐに結果を出せる人材を育てるのがiSmart Academyだと鳥居氏はいいます。
iSmart ConsultingはIoT導入後のコンサルティングサービスです。まず、iSTC社により5日分のデータが分析された「iSmart Report」が提供され、それをもとにアドバイスがなされます。その内容はiSTC社の知見を結集した弱点の分析や改善の提案など。対象は製造業・非製造業を問わないとのことです。
さらにiXacsから得られるデータと設備や作業者の画像をもとに分析・アドバイスを行う遠隔サポート(データドリブン改善・作業改善)が毎日30分受けられます。さらに現地派遣型のアドバイザー「現地サポーター」も用意される予定であり、遠近両面からのサポートが受けられるプランとなっています。
このiXacs、iSmart Academy、iSmart ConsultingをiSTCの3種の神器とし、将来的には遠隔からのコンサルティングでカイゼンを実現させることを目指す、と鳥居氏は語り、それが実現できればこれは正に製造業にとっては革命である、と力強くセッションを締めくくりました。
(後編へ続く)
(宮田文机)
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