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IoTモニタリング技術で製造業界に革命を:【第1章】i Smart Technologiesの軌跡とビジョン

IoTモニタリング技術で製造業界に革命を:【第1章】i Smart Technologiesの軌跡とビジョン

         

工場の生産効率を上げたい、というのは製造業に関わる全ての人が思っていることでしょう。道具を変えてみる、機械の配置を工夫する、人の体制を変更する、ムダな作業をなくす、従業員の歩数を減らす、などあの手この手でこれまでにも挑戦は続いてきました。

昔と比較すれば効率化や自動化は確かに進んでいますが、それでも現実は甘くありません。人件費は上がり続け、働き手の確保もより難しくなりつつある今、効率化は必須です。しかし、特に中小企業にとって、結果が伴わない投資は経営を悪化させることになり、これは文字通り死活問題となり得ます。

その解決策として注目されているのがデータを活用した生産性のカイゼンです。

もしもデータを活用することで、あなたの工場の生産効率をたった3ヶ月で12%上げてみましょう、しかもリーズナブルな価格で、という会社が目の前に現れたらあなたはどう思うでしょうか?

渡りに舟、とすぐさま飛びつきますか?それとも、なにやら怪しいのではと疑いの目を向けますか?

愛知県碧南市に本社を構える旭鉄工はIoTモニタリングを活用することで自社工場の効率化を成功させました。その数年後、IoTモニタリング技術と自社で蓄えたノウハウを使い、同じ問題を抱える他の中小企業の工場の効率化を支援しようと、工場にIoTを導入し、生産効率を上げることに特化した子会社i Smart Technologies(以下、iSTC)を設立しました。 

工場のIoT化にはどのようなメリットがあるのでしょうか?なぜIoTを導入することで生産効率が上がるのでしょうか?そのノウハウを他の工場に公開する真の狙いとは?iSTCの執行役員COOである黒川龍二氏にタイの工場で話を聞きました。

なぜ工場をIoT化したのか?:iSTC設立の経緯

もともと、iSTCは、旭鉄工という自動車部品製造業者の子会社です。IoT活用のきっかけは2013年に木村社長がトヨタ自動車から旭鉄工に転籍してきたことです。当時の旭鉄工は受注が増え続けていたため、受注量を捌ききるには3000平米ほど床面積が不足していました。そのため、事業拡大のための投資判断を迫られていました。床面積を増やして、ラインを増やせば生産量は増えますが、それには巨額の投資が必要です。そこで、木村社長は設備投資を行うことではなく、既存の設備の生産効率を上げることで対応できないか、と考えました。

幸い、木村社長は前職で工場のカイゼンプロジェクトに携わったことがあり、カイゼンに関する知見を持っていました。そこで設備投資を行う前にカイゼンでできるところまでやってみよう、という方向性が決まりました。

カイゼンとは簡単に言うと製造工程からあらゆるムダを省いていくことで生産性をアップさせるメソッドです。カイゼンを行うにはまず現状を把握する必要がありますが、従来の方法は、ストップウォッチを持った人がそれぞれの工程にかかる時間を測定する、というアナログな手法が主でした。このやり方は効率的とは言い難く、正確なデータを取り続けることも不可能でした。そこで、当時よく耳にするようになってきていた「IoT」を使うことで自動化できるのではないかと木村社長は考えました。

工場のIoT化を行なう業者に問い合わせてみましたが、初期費用が高額、収集されるデータも的外れ、古い機器には対応していないものも多く、業者側にもデータ活用の知見がない状態でした。これでは結果を出すことは不可能、と判断した木村社長は秋葉原で入手可能な安価なセンサーを買い集め、欲しいデータを集めるための「手作りIoT」戦略を開始しました。試行錯誤の末に、欲しいデータを収集できる環境が整い、データを生産性向上につなげるためのノウハウが旭鉄工の現場で生み出されました。その結果、設備投資費4億円、労務費年間1億円以上のコスト削減に成功しました。これは年間売上が150億円規模の中小企業にとってはかなりインパクトのある金額です。

自社工場のコスト削減を実現させたやり方を応用すれば、同じ悩みを抱える中小企業の工場が直面している問題も解決できるのではないか、と次第に考えるようになりました。そこで、IoTモニタリング技術を活用した工場の生産効率化に特化したiSTCを2016年9月に旭鉄工の子会社として設立しました。立ち上げメンバーは木村社長と私のみでしたが、それが半年で5名になり、現在は12名まで増えています。

 
IoTだけでは結果は出ない:データとカイゼンの間

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