About us データのじかんとは?
レッツ仮説検証、と意気込んで、いろいろな資料を探したのですが、今回調査した限りでは具体的なカギっ子デビューの平均年齢のデータを見つけることはできませんでした。
ただ、それぞれの国で具体的な年齢とともにガイドラインが設けられているケースが多く見られたのでそれをご紹介したいと思います。
たとえばアメリカの一部の州では、子どもを家に一人にしておくことが法律で禁止されています。メリーランド州では8歳以下、イリノイ州では14歳以下の子どもを監督なしで家に残しておくことが禁じられており、これはそれぞれの自治体が州法として設置しているものです(詳しくはこちら)。また、オーストラリアの一部地域でも、12歳以下の子どもを特別な理由無く一人にすることを禁じる法律(詳しくはこちら)が定められています。
イギリスでは特にカギっ子を禁じる法律は定められていませんが、全英児童虐待防止協会(NSPCC)が「12歳以下の子どもは家で一人にしてはならない」というガイドラインを提示したりするなどして、基準を定めています。
日本の数字と他の国の基準と比較すると7.5歳というのは幼すぎるのではないかと思えます。たとえばメリーランド州で私たちのように7歳の子どもをカギっ子にしようとすると、それだけで法律に違反する行為となってしまいます。
こういったことからわかるように、海外ではカギっ子(Latchkey kid)は、日本よりも社会問題になっているのです。
共働きしなければいけないほど生活が厳しい一方で、子どもを学童保育や習い事に通わせるだけの収入がない家庭が多いため、必然的にカギっ子が生まれてしまいます。さらに日本と比べて治安の問題もあるため、子どもの安全を守るためにカギっ子を生み出さない仕組みをつくる様々な施策があるというわけです。特に欧米諸国では子どもを家に一人にしておくことは幼児虐待(neglect)であると見なされてしまうので、それぞれの家庭は様々な工夫を凝らしながら子どもを一人にしないようにするのだといいます。
一方で日本ではあまりカギっ子に関する議論がなされないため、このような具体的な年齢を定めた法律やガイドラインはありません。かといってそれが必要かといえば、そこまで求められる状況でないということなのでしょうか。
そこで、また視点を変えて調べてみたいと思います。
幼くしてカギっ子デビューさせることは、子どもの精神や身体にどのような影響を与えるのでしょうか。
カギっ子であることは、子どもにどのような影響をもたらすのでしょうか。
これに関しては様々な研究がなされていますが、良いか悪いかはっきりと言い切ることは今のところはできないようです。
たとえば「American Journal of Nursing Science」の論文によれば、10歳以下の子どもが長時間一人でいると、孤独感や倦怠感、不安感が高まるといい、さらに年齢を重ねるとアルコールやドラッグに手を染める確率が高くなるという結果が出ると紹介されています。
しかし、最新のデータによれば、カギっ子が子どもに与える影響は必ずしもネガティブなものだけではないようで、Harvard Business reviewの記事によれば、親が子育てに費やした絶対時間は、子どものメンタルヘルスに直接的な影響を与えないという研究結果が出ています。その一方で、両親が自分自身の仕事を楽しんでやっているか否か、ということの方が子どもの精神状態により大きな影響を与えるそうです。もちろん一緒にいる時間が長い方がベターではあるそうですが、親がどんな姿勢で仕事に臨んでいるか、という部分の方が子供の精神状態に与える影響が大きい、というのは非常に興味深い結果ではないでしょうか?
むしろ両親が共働きのほうが、子どもが社会と触れる機会が増えるため視野が広がるという意見もあり、全体的に見たら実はカギっ子デビューさせることは、上手に向き合えばむしろ子どもを成長させるために効果的なひとつの“教育法”であるかもしれません。
幼い頃はなぜかあこがれの的だったりしたカギっ子でしたが、今回こうやって調べてみると、どうやらかなり複雑な問題を内包しているように思えます。
カギっ子に適した年齢というのはなく、より重要なのは家族との対話であるというのはどの研究でも書かれていたことでした。
もし気になることがありましたら、地方自治体の教育相談室に電話してみてはいかがでしょうか。そんなわけで今回はカギっ子についてデータの観点から紐解いてみました。
【参考URL】 イマドキ小学生の〝鍵デビュー年齢〟は平均なんと7.5歳!親世代よりも3歳若年化していることが判明 厚生労働白書(令和2年版) The Effects and Behaviours of Home Alone Situation by Latchkey Children How Our Careers Affect Our Children
(織田哲平)
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