インターネットが普及し、人々のつながりもデジタル化。対面でのコミュニケーションをしなくとも他者とコミュニケーションが取れるようになりました。さらにコロナ禍によりリモートワークやリモート授業が一般化し、外食や旅行に対し自粛が要請される中、リアルで人と会う機会はさらに縮小傾向にあります。
1人の気楽さを心地よく感じる人も多いかと思いますが、病気や怪我などのいざという時に身近に頼れる人がいない、ということについて悩んでいる人も少なくありません。このようなケースでは、病気により仕事を続けることが困難になり家賃が払えずに住む家を失ってしまったり、孤独死にいたったりするような場合もあります。
そこで今回は、 内閣府が発表している「満足度・生活の質を表す指標」から実際にどの程度の人が孤立化しているのか、そして、周囲に頼れる人がいる場合といない場合でどの程度満足度が違うのかをデータで見ていきます。
まず総務省の統計局が発表している「社会生活基本調査」より1日あたりの交際時間、付き合い時間の平均時間の推移を見て行きます。
この調査は5年ごとに行われており1991年からの推移をグラフ化したのが以下になります。
1991年には29分あった交際、付き合いの時間ですが2016年には17分と40%以上減少しています。
時代ごとに生活の変化を見ていくと、1990年代には家庭用PCが普及し始め、インターネットの利用が広がりはじめました。さらにもっとも下げ幅の大きい2001年から2006年にかけては携帯電話が広く普及し始め、電話やメール、写真機能やテレビ機能など多機能化が進みました。その後20年代にはスマートフォンが普及、人々は一つの端末で様々なことができるようになりました。
PCから携帯、そしてスマートフォンと人々のコミュニケーションのデジタル化が進むに連れ、リアルなコニュニケーションが減少していったと推察できます。
つづいて、「満足度・生活の質を表す指標」より、友人との交流頻度や頼れる人の数などと総合主観満足度の関係を見ていきます。
まず友人との交流頻度と総合主観満足度の関係をグラフ化したものが以下になります。
全体の傾向として、友人との交流頻度が高くなればなるほど総合主観満足度は高まる傾向にあります。特に平均の満足度が高い「週に3、4回」と回答した人と「該当者がいない」と回答した人の間では、総合主観満足度が2ポイント以上の差が出ています。
さらに回答数を見てみると、この調査の全回答件数が10,293件だったのに対し、「該当者がいない」という回答数は1,170件で全体の10%以上の人が交流する友人がいないとしていることがあきらかになりました。
一方で月に1回以上となる回答数を合計すると全体の50%以上になっています。
また、頼れる人の数と総合主観満足度の関係をグラフ化したものが以下になります。
頼れる人の数が増えれば増えるほど総合主観満足度は高まる傾向にあるようです。とくに、頼れる人がいない(0人)場合と1人いる場合では、1.5ポイント以上の差が、さらに最も多い30人以上いる場合との差は3.5ポイント以上と総合主観満足度に差が出ています。
こうした結果は、頼れる人を1人でも増やすことで大幅に総合主観満足度を上げることができる可能性が示唆しています。
また、回答数を見ていくと、「0人」という回答数は990件で、全体のおよそ10%を占めています。さらに最も多い回答は「1人」の26.3%で次いで「3人」の18.6%となっています。一方で4人以上の回答をしたしと全体の30%未満でした。
ここまで見てみると、定期的に会える友人や頼れる人がいない、と回答した人はどちらも全体の10%程度となっており、社会の中で孤立する人は決して少数派ではない、ということがわかります。
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