INDEX
広島県は瀬戸内海沿岸部に向かって、中国山地と平行に高地から低地へ階段状の地形を形成している日本の中国地方に位置する地域です。
瀬戸内海工業地域を中心に自動車産業、製鉄、造船の重工業と広島都市圏、福山都市圏と県内に二つの大きな都市圏が発展する一方、海・山の豊富な自然にも恵まれ、農業・漁業も盛んなことから、「日本国の縮図」とも呼ばれています。
広島市は第二次世界大戦において世界で初めて核兵器の攻撃を受けたことから、国際的に知名度が高く、また安芸の宮島と原爆ドームの2つのユネスコ世界遺産を有していることから、海外から多くの観光客が訪れています。
そんな広島県は、2019年に設置された県のデジタルトランスフォーメーション推進チームを中心に、
など、人材育成・集積、官民データ連携を軸とする「広島たちまちDX」で、県民の利便性の向上を目的とした様々なDX(デジタルトランスフォーメーション)の施策に取り組んでいます。
【引用元】広島県 デジタルトランスフォーメーション推進チーム
中国地方に本店を置く企業1533社を対象に実施された帝国データバンクの「中国地方 DX推進に関する企業の意識調査」を基に、企業のDXの実態を読み解いてみましょう。
まず、DXに取り組んでいる企業の割合ですが、これは全体の12.3%で全国平均の15.7%を3.4%下回っています。
また「言葉の意味を理解し、DXを理解し取り組んでいる」、「言葉の意味を理解し、取り組 みたいと思っている」の回答の合計は36.3%と全国平均の41.4%を5.1%下回っており、“DXへの前向きさ”といった観点では、やや低い水準に位置しています。
No | 回答 | 結果 |
1 | 言葉の意味を理解し、DXを理解し取り組んでいる | 12.3% |
2 | 言葉の意味を理解し、取り組みたいと思っている | 24.0% |
3 | 言葉の意味を理解しているが、取り組んでいない | 33.8% |
4 | 言葉は知っているが意味を理解できない | 11.7% |
5 | 言葉も知らない | 7.8% |
6 | 分からない | 10.4% |
さらに「言葉の意味を理解し、DXを理解し取り組んでいる」と回答した企業の割合を企業規模別で見比べると、
といずれも全国平均の下回っており、企業規模を問わず、地域全体のDXへの消極さがこの地域の課題と言えます。
次に「言葉の意味を理解し、DXを理解し取り組んでいる」と回答した企業の割合を業界別で見比べると、
といった結果を示しており、農業振興地域、交通の要衝といった地域で重要な主幹産業であることから、農・林・水産、運輸・倉庫の業界は他の地域よりDXが進んでいることを示しています。
【引用元】中国地方 DX推進に関する企業の意識調査 | 帝国データバンク[TDB]
人口 | 2,773,069人(2022年1月時点) | |
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面積 | 8,480 km² | |
自治体数 | 27 | |
県内総生産 | 11兆3,520億円(2018年実費) | |
産業 | 農業 | 2018年の農業産出額は全国27位の1,187億円。主な農畜産物の生産量は、レモン、ネーブルオレンジ、わけぎ、くわいが全国1位、八朔(はっさく)が全国2位、鶏卵、シラヌヒ(デコポン)が全国5位、イチジクが全国6位、ナツミカンが全国7位、みかんが全国8位。レモン、かんきつ類が島しょ部を中心に栽培されており、ブランド化によるかんきつ産地育成、地域活性化、菓子・飲料業界との協同による加工品づくり、周年供給体制の確立のための技術開発をはじめとする「ひろしま未来チャレンジビジョン」では、農業産出額1,200億円の達成を目指している。他にも「キャベツ16億円産地計画」、「広島和牛」のブランド化による市場競争力の強化など取組みは様々。また県、市町、JAは、農業就業人口の高齢化の対策として、新規就農者への技術研修や資金援助を積極的に行っており、就農者の増加や、集落営農の組織化、法人化などに取り組んでいる。 |
林業 | 2018年の林業産出額は全国20位の77億円。主な生産物は、素材の広葉樹が全国4位、針葉樹のあかまつ・くろまつが全国7位、食物のエリンギが全国3位、ぶなしめじが全国8位。県内森林面積61万haの内訳は,国有林8%,公有林(県,市町,財産区)11%,私有林(個人,会社,旧公団等)81%。県内における林家数は全国1位の3.6万戸、2020年における県内製材品出荷量は,全国2位の約90万㎥で、林業、木工産業は盛ん。2021年は,輸入木材の価格高騰・調達難(ウッドショック)による輸入木材の代替や木質バイオマス発電所の稼働等によるチップ工場への供給等で、県産材製品の需要が増加しており、期待が高まっている。 | |
水産業 | 2017年の海面漁業・養殖業産出額は全国18位の254億円。漁獲量は海面養殖業ではかき類が全国1位、海面漁業ではかたくちいわしが全国2位。漁業生産量の大半は海面養殖(特にかき)が占め,海面漁業ではかたくちいわしを除き,少量多品目の水産物が漁獲されることが特徴。地域別の漁業形態は西部の広島湾を中心にかき養殖,中部の多島海はかき養殖と多種類の漁船漁業、東部の備後灘はのり養殖業及び小型定置網漁業が主。水産物の加工の年間販売金額が全国7位の67億8,300万円、水産物直売所数が全国8位、漁家レストラン数が全国9位と漁業生産関連事業も盛ん。 | |
製造業 | 2019年の製造品出荷額等は全国11位の9兆7,415億円。広島県の産業は,「ものづくり」を軸として,造船・鉄鋼・自動車などの重工業から,電気機械・電子部品などの先端産業まで,バランスのとれた層の厚い産業群を形成し,地場産業からハイテク産業まで,様々な分野で世界屈指の独自技術をもつオンリーワン企業や,全国的・世界的に高いシェアを持つナンバーワン企業も多い。製造品出荷額等の最も多い産業は、輸送用機械3兆2,569億(構成比33.4%)で、次いで、一般機械1兆5,072億(同12.3%)、鉄鋼業1兆1,869(同 12.2%)の順で、これらで全体の60%を占めている。 | |
商業 | 2016年の卸売・小売業の年間商品販売額は全国10位の11兆8,740億円。年間商品販売額に対し、卸売が73%を占めており、建築材料、鉱 物・金属材料等の28.2%、機械器具の28.0%、飲食品の22.9%の上位3産業で広島県の卸売の約80%を占めている。小売業の年間商品販売額の産業小分類別の内訳は、その他が30.0%、飲食品が27.7%、機械器具が20.2%。広島県は,関西経済圏と九州経済圏の中間にあり、高速道路網も整備されていることから,人やモノの流れが活発。そのため、卸売業・小売業の中国5県におけるシェアも高い。県内には厳島神社をはじめとする観光地も多く、宿泊業,飲食サービス業等の観光消費額も大きい。 | |
エネルギー | 2016年の電力消費量は全国12位の234億kWh。このうち、産業部門と業務地の電力消費量が約75%を占めている。広島県におけるエネルギー消費量や温室効果ガスの排出量,化石燃料の消費を減少させるためにも,県による「第5次広島県環境基本計画」では、省エネルギー対策、再生可能エネルギーの導入促進、カーボンサイクルの推進など、環境の観点も配慮した様々な施策に取り組んでいる。 | |
企業 | 上場企業 | 52社 |
事業所 | 145,400事業所(2019年) |
農業、水産業、製造業の場合、スマート化といった大規模な設備投資を必要とするケースが多く、また個人・中小企業の単独でのDX推進は困難です。
DXの実践ノウハウ、人材育成、経営相談といった立ち上げ、実証実験や補助金といった導入を支援する地域の自治体・団体、またDX戦略・技術支援を提供している地域の企業を紹介します。
運営者名 | 広島県 |
プロジェクト・サービス名 | 広島県DX推進コミュニティ |
活動・事業概要 | 県内の企業・事業者、教育機関、行政等が、切磋琢磨したり、協調・協働したりしながら、デジタル技術やデータの力を有効活用して、将来の広島県を創っていくための活動を実践。メンバーのDX推進の熟度に応じた活動を行うこととし、まずはDXに対する理解・実践意識の醸成を図る活動から始め、メンバーのニーズを踏まえながら、順次活動を拡大 |
支援・取り組み内容 | 〇DXに対する理解・実践意識の醸成 ・地域企業・事業者等を対象としたDXの基礎を学ぶ勉強会の実施 ・地域企業・事業者等を対象としたDXの先進事例を研究するワークショップの実施 ・経営者、専門家など100人に、それぞれが考える未来像をインタビューして共有 〇地域の共通課題の解決 ・人材の確保・育成・活用に関する調査研究等 ・データ活用に関するセミナー、調査研究等 |
設立・運営開始日 | 2020年11月16日 |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | デジタルトランスフォーメーション推進チーム |
公式サイト | 広島県DX推進コミュニティ |
運営者名 | 福山市 |
プロジェクト・サービス名 | まるごと実験都市ふくやま |
活動・事業概要 | 社会課題・地域課題の解決や新たな都市魅力の創造に向けた実証実験の積極的な受入れなどを推進。「ふくやまICT戦略」では、「まるごと実験都市ふくやま」を踏まえ、市民ニーズが高く,かつ新しい要素があり,市民・企業が直接メリットを実感することのできる次の7分野を重点分野として,分野を超えた連携を積極的に行いながら,社会実装に向けた取組みを実施。 |
支援・取り組み内容 | ・次世代を担う人材の育成 ・民間企業等との共創 ・実証実験の積極的な受入れと社会実装への挑戦 ・オープンデータ化(データの蓄積) |
設立・運営開始日 | 2018年 |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | デジタル化推進室 |
公式サイト | 福山市 デジタル化推進課 |
運営者名 | 東広島市 |
プロジェクト・サービス名 | 東広島市DX戦略 |
活動・事業概要 | 総合計画の将来都市像を実現するための2つの方向性をDXの観点から検討し、戦略的に推進 ・最先端デジタル技術を使い、協創の場から、世界に貢献する新たな価値やサービスの創出 ・多様で新たな生活スタイルの創出や地域課題の解決のための、デジタル技術やデータの活用 |
支援・取り組み内容 | 〇セキュリティ対策(安全、安心、強靭) ・デジタルサービス利用時の不安の低減に向けた、個人情報保護や不正利用防止の対策 ・外部からのサイバー攻撃の対策を実施することでの安全性の強化 ・自己点検や外部監査による適切な運用の確保 ・機器故障や事故に備えた安定したサービスを提供するための対策 〇信頼性の確保(プライバシー保護、説明責任) ・サービスを利用するときのルールの明確化 ・サービス利用状況などの説明責任を果たすことでの透明性の確保 ・個人が自分の情報を自分自身で管理できる仕組みの構築 〇人にやさしいサービス(公平性、多様性を重視) ・必要な時に必要なデジタルサービスを利用できる環境の構築 ・わかりやすい表現の使用、多言語翻訳や音声読み上げ機能の活用 ・だれもがデジタルサービスを活用できるような支援体制の整備 ・利用者にとって使いやすい、標準化・統一化されたサービスの提供 ・課題の把握やサービスを見直すときに市民の声を取り入れる仕組みづくり 〇データの利活用と官民連携の推進(相互運用性の確保とオープン性) ・本人の同意に基づいた個人データの有効活用 ・デジタル社会で必要となる人、事業者、公共施設などの基本情報のデータの整備 ・研究機関や事業者による新たな価値の創造などに向けたオープンデータの提供 ・様々な機関とデータを連携することによるワンストップサービスなどの実現 〇持続可能なサービス(事業継続性の担保) ・まちの活力の維持・向上に向けた情報通信やサービスの構築 ・全国共通のルール・仕組みに基づいたサービス利用による連携強化、コスト削減 ・デジタルならではのスピード感あるサービスの実現 ・社会状況やニーズの変化に柔軟に対応 |
設立・運営開始日 | 2022年4月 |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | 総務部DX推進監 |
公式サイト | 東広島市DX戦略 |
運営者名 | 北広島町 |
プロジェクト・サービス名 | 北広島町デジタル町民ファースト宣言 |
活動・事業概要 | ・社会情勢や町民ニーズの多様化に対応する「スマートタウン」の実現へ向けたサービス転換 ・「町民ファースト」の視点で、業務のムダを削り、デジタル技術を活用した利便性の向上 |
支援・取り組み内容 | ・押印・書面・対面業務の見直し ・手続きのオンライン化による窓口での待ち時間短縮 ・キャッシュレス決済の導入 ・アプリケーションツールを活用した行政サービスの提供 ・RPA・AIの実証及び導入 ・リモートワークやオンライン会議の促進 ・デジタル普及員制度の構築 ・FTTH(光ブロードバンド)を活用した新たなサービスの創造 |
設立・運営開始日 | 2021年4月 |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | 総務課 |
公式サイト | 北広島町デジタル町民ファースト宣言 |
運営者名 | 公益財団法人ひろしま産業振興機構 |
プロジェクト・サービス名 | 成長意欲のある中小企業のためのチーム型支援 |
活動・事業概要 | 新事業展開や経営革新に取り組み、新たな成長を目指す意欲のある中小企業に対して、マーケティング・セールス・ブランディング、デザイン、知的財産、生産管理等の経営戦略を通じた売上高や雇用増、企業価値向上を目的としたプロフェッショナルをトップとするチームによる集中支援 |
支援・取り組み内容 | ・マーケティング支援: 市場調査の実施、販売促進計画の企画・立案等 ・デザイン支援: 商品・工業デザイン戦略、パッケージ、グラフィック支援等 ・セールス支援: 販路チャンネルの選択・新規開拓、販売促進活動の実務支援等 ・知的財産戦略支援: 特許・商標等の取得支援、知財の活用戦略支援等 ・ブランディング支援: 商品ブランド、会社CIなどの立案支援等 ・経営戦略・生産管理等支援: 品質向上、コスト削減、生産性改善支援等 |
設立・運営開始日 | 1981年4月 |
運営状況 | 運営中 |
窓口 | 企業支援統括グループ |
公式サイト | 公益財団法人ひろしま産業振興機構 チーム型支援 |
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