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【2021年最新版】M-1での錦鯉の優勝は必然だった? データから見えた休止期間の芸人たちの努力

         

年末の楽しみの一つであり、売れっ子芸人になるための登竜門でもある、漫才の頂上決戦「M-1グランプリ(通称:M-1)」。通算17回目となる今大会への出場に向け、約4ヶ月間にわたる審査にのぞんだのは昨年の5081組より1000組近く増え、過去最多となった6017組

大幅に増加した参加者の中から、2021年12月18日に開催された2021年のM-1グランプリに残った10組。彼らが残した結果は、例年と比べどのような変化があったのでしょうか、今回はデータでじっくり見ていきます。

今大会、印象深い「過去最高」とは? 年齢とM-1

2021年度のM-1で印象深い数値と言えば、錦鯉のボケ担当の長谷川雅紀さんが50歳、過去最年長でのM-1優勝を勝ち取った、という点です。

M-1の受賞対象となるのは、結成15年以内の漫才師ということで、大会参加者の大半は、20代後半から30代。実際に、過去のM-1優勝者の年齢を表にすると以下のようになります。

中川家(2001)

中川剛

31

 

中川礼二

29

ますだおかだ(2002)

岡田圭右

34

 

増田英彦

32

フットボールアワー(2003)

後藤輝基

29

 

岩尾望

28

アンタッチャブル(2004)

柴田英嗣

29

 

山崎弘也

28

ブラックマヨネーズ(2005)

吉田敬

32

 

小杉竜一

32

チュートリアル(2006)

徳井義実

31

 

福田充徳

31

サンドウィッチマン(2007)

伊達みきお

33

 

富澤たけし

33

NON STYLE(2008)

石田明

28

 

井上裕介

28

パンクブーブー(2009)

黒瀬純

34

 

佐藤哲夫

33

笑い飯(2010)

西田幸治

36

 

哲夫

36

トレンディエンジェル(2015)

斎藤司

36

 

たかし

29

銀シャリ(2016)

橋本直

36

 

鰻和弘

33

とろサーモン(2017)

久保田かずのぶ

38

 

村田秀亮

38

霜降り明星(2018)

粗品

25

 

せいや

26

ミルクボーイ(2019)

内海崇

34

 

駒場孝

33

マヂカルラブリー(2020)

野田クリスタル

34

 

村上

36

錦鯉(2021)

長谷川雅紀

50

 

渡辺隆

43

過去最年少での優勝は、2018年の霜降り明星の粗品さんの25歳。錦鯉、長谷川さんの年齢はダブルスコアになります。

ここで、優勝コンビの平均年齢を年別にグラフとして見ていきましょう。

参照引用: Wikipedia

こうしてみると優勝コンビの平均年齢は年々高くなる傾向にあることが見てとれます。

大会休止以前の2001〜2010年と、2015年以降の優勝コンビの平均年齢を見ていくと以下のようになりました。

大会期間

2001〜2010年

2015年以降

平均年齢

31.35

35.07142857

大会の休止期間の前後で、優勝コンビの平均年齢がおよそ4歳増加していることがわかります。これは大会休止期間の4年と合致し、休止期間にもM-1を目指して、漫才を磨いてきたコンビが2015年以降にその力を発揮していると推察できます。

何歳になっても挑戦ができるのだ、という希望を視聴者に与えてくれた錦鯉の優勝。一方でそれは、大会の休止期間にコンビ結成し、頂点を目指すことを諦めなかった、という彼らにとっては必然的な結果だったのかもしれません。

年齢だけじゃない!過去最高尽くしの2021年大会

一方で、今大会で「最高」を記録したのは年齢だけではありません。

ここで、今大会の得点について見ていきましょう。

漫才を発表した順にそれぞれの得点を表にしたものが以下になります。

コンビ名

上沼恵美子

松本人志

サンド富澤

立川志らく

ナイツ塙

中川家礼二

オール巨人

得点

平均(コンビごと)

モグライダー

93

89

93

89

92

90

91

637

91

ランジャタイ

88

87

91

96

90

89

87

628

90.6

ゆにばーす

94

88

92

91

91

93

89

638

91.2

ハライチ

98

92

90

90

89

89

88

636

89.2

真空ジェシカ

89

90

89

94

92

94

90

638

91.8

オズワルド

93

96

95

96

95

96

94

665

95.2

ロングコートダディ

96

91

90

95

93

95

89

649

92.4

錦鯉

95

94

94

90

94

96

92

655

93.2

インディアンス

98

93

91

94

93

94

92

655

92.8

もも

90

92

90

96

91

95

91

645

92.6

平均(審査員ごと)

93.1

91.2

91.5

93.1

92

93.1

90.3

644.6

92

出典:M-1グランプリ2021年大会(コンビの並び順は、漫才を発表した順番に従う)

90点以上が頻発し、一見してハイレベルであることが見て取れる今大会。

2001年から過去17回にわたるデータと比較して紹介します。

大会の最高点、最低点、平均点をグラフ化したものが以下になります。

出典:M-1グランプリ(2001〜2021年大会)

今大会は最高点、平均点が非常に高い水準であることが見てとれます。さらに、最低点は過去最高だった昨年を2点上回る87点と非常にハイレベルで接近した戦いであったことが伝わります。

そこで数値の集まり具合をグラフとして可視化できる箱ひげグラフを用いて点数を可視化してみましょう。

なお、青い真ん中の箱はその年の得点の真中約50%が分布する領域。そして箱より上の細い線に上位約25パーセント、下の細い線には下位に約25%が分布しています。

 

出典:M-1グランプリ(2001〜2021年大会)

今年度は過去の大会と比較しても、最高点と最低点の差が非常に小さく、また箱が線の中央辺りに位置し、外れ値などがないこと、さらに箱の位置が非常に高いことが見てとれます。

したがって、今大会は「過去にないほどハイレベルで接近した戦いであった」ということが見て取れます。

年々ハイレベルになる大会で起こった倍率の急増。今後のM-1はどうなる?

箱ひげ図をみると年々線の長さは短く、箱の位置は上がっていく、という傾向が見てとれます。

M-1の応募者は年々増加し、今年度は過去最高の1000組近い応募数の増加で一気に倍率600倍まで高まりました。

開催年度

応募組数

決勝組数

倍率

2001年

1,603

10

160.3

2002年

1,756

9

195.1

2003年

1,906

9

211.8

2004年

2,617

9

290.8

2005年

3,378

9

375.3

2006年

3,922

9

435.8

2007年

4,239

9

471.0

2008年

4,489

9

498.8

2009年

4,629

9

514.3

2010年

4,835

9

537.2

2015年

3,472

9

385.8

2016年

3,503

9

389.2

2017年

4,094

10

409.4

2018年

4640

10

464.0

2019年

5040

10

504.0

2020年

5081

10

508.1

2021年

6017

10

601.7

倍率が伸びれば伸びるほど、接近した争いになる、という傾向は以下のグラフからもわかります。

出典:M-1グランプリ(2001〜2021年大会)

ここでの接近度は、分散(得点のばらつき具合)の逆数をとることで求めています。

年々、過去最高で接近した戦いが起こる中で、現行の1点刻みで100点満点、という方式では賞レースとして成り立たなくなってしまう可能性は決して低くありません。

そうした中で、今後、採点基準や採点方法をどのように工夫していくべきか、迫られる日が来るかもしれません。

ぜひ、皆さんも未来のM-1を想像してみてくださいね!

【参考引用サイト】
・ M-1グランプリ M-1グランプリ - Wikipedia

(大藤ヨシヲ)

 
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