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近年日本の音楽シーンは劇的な変化を迎えています。

YouTubeでのフル尺MV配信、配信限定リリースの増加、定額聴き放題サブスクリプションサービスの開始など、ユーザーは選択の幅が広がっています。

そしてそれぞれのサービスが年間ヒットランキングを発表しているのですが、見てみると決まったアーティストや作品による独占がないことがわかりました。

今回は各チャートのトップに君臨するアーティストや作品は、一体どのような層に、どのような形で求められているのか、各統計データから考察して見たいと思います。

YouTube国内MV再生回数ランキング

1位「打上花火」DAOKO×米津玄師


  • Twitterフォロワー数:DAOKO(9万1千人)、米津玄師(144万9千人)
  • instagramフォロワー数:DAOKO(70万4千人)、米津玄師(37万8千人)
  • Spotifyランキング:年間国内ソング再生回数3位
  • オリコン年間シングルランキング:不明(TOP100以下)

まずはプロモーションには欠かせなくなったYouTube

最近ではフル尺での配信も珍しくなく、YouTubeだけで音楽を楽しむことを完結させるユーザーも増えているようです。

特にYouTubeでのMV配信が活発になってきたここ4、5年(YouTube自体が13年ほどの歴史であることからの推測)にリリースされている作品は、CD購入やダウンロード販売を利用せずとも楽しめます。

もちろん過去の作品をアップするレーベルも多いですが、やはり何も購入せず新しくリリースされた音楽を楽しめることが当たり前になった若い層の注目がYouTubeでのブレイクに必要でしょう。2017年のトップを勝ち取ったDAOKO×米津玄師ですが、ソロアーティスト同士のコラボレーションとしてのリリース。両者共にデビューのきっかけは「ニコニコ動画」とネット動画ユーザー間での知名度は元々高いのでしょう。

そしてTwitter、instgramのそれぞれのフォロワー数を見ると、米津玄師はTwitterのフォロワーの方が多く、DAOKOはinstagramのフォロワーが方が多いため、お互いがこれまで取り込めなかったSNSユーザーの支持も得てネット上のプロモーションは隅々まで完璧。YouTubeでのブレイクも頷けます。

ちなみにこの曲はSpotify国内ソング再生ランキングでも、国内アーティストで1位となっています。

Spotify国内ソングランキング

1位「Shape of You」エド・シーラン(Ed Sheeran)


  • Twitterフォロワー数:1946万3千人
  • instagramフォロワー数:25億7万9千人
  • Youtube国内MV再生回数ランキング:6位

今回取り上げるサービスの中で最も歴史が浅いのがSpotifyですが、その一位に輝いたのがこの曲「Shape of You」です。全世界での再生回数は14億回以上アメリカでのサービス開始は2011年、日本では2016年に開始されています。Spotifyはストリーミングによる音楽再生が定額で聴き放題、というサービス。Spotifyについて詳しく知りたい方はこちらのサイトをどうぞ。

国内ランキングにも関わらずTOP5のうち4作品が洋楽という結果になっていました。これは、日本でのサービス開始当初に洋楽作品に比べて邦楽作品が少なかったことから、洋楽ファンが率先してSpotifyを活用していたからではないか、と推測できます。

「Shape of you」が好きすぎて逮捕される人がでるほど世界的な大ヒットを記録したこの曲ですが、日本でも、国内連続ドラマ「僕たちがやりました」の挿入歌として起用されました。「僕たちがやりました」は人気漫画を原作とした実写ドラマで、若手俳優窪田正孝が主演を勤めています。国内でのトレンドを掴んだこのドラマに使用されたことで、普段洋楽を聴かない層にも浸透し、日本での人気やさらなる知名度アップに繋がったのではないでしょうか?昨年、コンサートツアーで日本にも来る予定でしたが、自転車で怪我をしてツアーが延期になった、というのもエド・シーランの曲の世界感とマッチしていて好感が持てたという人も多かったのではないでしょうか。全世界のSpotifyで再生回数が最も多いのもこの曲です。

ちなみに、Spotify国内アルバムランキング1位も同曲が収録されたEd Sheeranの「÷(ディバイド)」でした。エド・シーランのあまりの人気っぷりにはジョン・メイヤー(John Mayer)も嫉妬していたとか。

Spotify国内アーティストランキング

1位 ONE OK ROCK


  • Twitterフォロワー数:152万3千人(バンドオフィシャルアカウント)
  • instagramフォロワー数:514万7千人(バンドオフィシャアカウント、各メンバーアカウントの合計)
  • Spotifyランキング:国内アルバムランキング2位
  • Youtube国内MV再生回数ランキング:33位(「We are -Japanese ver.-」の順位)
  • オリコンランキング:アルバムランキング11位

ソング、アルバムランキング共に海外アーティスト、エド・シーランが首位を獲得しましたが、なんとアーティスト別だと1位にONE OK ROCKが。

国内でのサービス開始2016年よりも4年前の2012年からSpotifyでの配信を開始しており、いち早くSpotifyをはじめとするストリーミング系サービス利用が今回の結果につながったのではないでしょうか。

全編英詞の楽曲や、海外でのツアーの成功など洋楽ファンの多いSpotifyユーザーが注目するのも納得です今回調査した各ランキング全てに関連作品がランクインしており、細分化していく音楽シーンにおいていわゆる次世代スターのポジションに1番近い存在かもしれません。ちなみに海外でもっとも再生回数の多かった国内アーティスト1位ももちろんONE OK ROCK、でした。

2017年オリコンアルバムランキング

1位「Finally」安室奈美恵


  • Twitter:アカウント未作成
  • instagram:アカウント未作成
  • Spotifyランキング:未配信
  • YouTube国内MV再生回数ランキング:35位(今作に収録された新曲「Just You and I」によるもの)

さて、ここではじめてCDというソフトとしての音楽の売り上げです。

堂々の1位を獲得した安室奈美恵「Finally」ですが、安室奈美恵のデビュー25周年&引退を記念した3枚組52曲入りのオールタイムアルバムということで、従来のファンのみならず昔ファンだったユーザーや報道に触発されて購入するユーザーも多かったことが勝因ではないでしょうか。

注目すべきはSNS未使用という点。

前述のチャートのアーティスト達はSNSを通して、日々ファン達に文字や写真でメッセージを届けているのに対して、安室奈美恵はTVや雑誌などSNSが流行する前からあるプロモーション方法で今回の結果を残しています。

そのためかYouTube国内MV再生回数ランキングにおいては35位と、オリコンチャートとは打って変わった結果になりました。25年間トップを走り続けてきたアーティストでも、ここ数年でデビューした新人×新サービスを超えることは難しいようです。

2017年オリコンシングルランキング

1位「願いごとの持ち腐れ」AKB48


  • Twitterフォロワー数:729万8千人 
  • instagramフォロワー数:317万人(※AKB内フォロワー数上位5組合計)
  • Spotifyランキング:不明(TOP5以下)
  • Youtube国内MV再生ランキング:不明(TOP50以下)

CDシングルランキング1位例年のごとくAKB48

握手会券やツーショット撮影会券を特典にすることにより、買えば買うだけ好きなアイドルと触れ合える時間が増えるというまさに夢のような商品にCDが早変わり。

しかし、これまで何度も話題になっていますが、はたしてこれは「音楽」チャートに載るべきものなのでしょうか?現にSpotifyやYoutubeチャートでは両方とも圏外。曲自体に影響力があるとは言い難いです。

一方で、派生グループであり、同じ路線のマーケティング戦略を活用している乃木坂46や欅坂46はオリコンランキング、Youtube再生回数ランキング共に上位にランクイン。(欅坂46「不協和音」はYoutube再生回数ランキング5位、オリコンランキング8位。乃木坂46「インフルエンサー」はYoutube再生回数ランキング8位、オリコンランキング6位。)

どちらもダンスが話題になった作品であり、ビジュアルやダンスが売りのK-POPと同じジャンルで結果を残している数少ない国内アイドルとして活躍しており、勢いは新たな波に乗って増してゆくでしょう。

今後の音楽ランキング

今回の記事で取り上げたランキングの数から分かるように、音楽の提供方法やトレンドの形は多種多様となってきています。それぞれの提供方法にマッチした音楽が存在しているため、今後もしかしたら、ある特定のアーティストが全分野で1位を取るなんてことはなくなるかもしれませんね。

国際レコード産業連盟(IFPI)の2017年のレポートによると、音楽録音物の収益は3年連続で拡大しており、ストリーミングサービスの収益が最大の収入源になったそうです。

国別の市場の大きさではアメリカに次ぐ2位を記録する日本ですが、ストリーミングサービスは前年比+8%とまだまだCDの需要が高く世界的に見ると特殊な音楽市場となっています。はっきりとした理由はわかりませんが、AKB勢の活躍や、レンタルCDの普及、ストリーミングサービスでの邦楽アーティストの反応の悪さ、が主な原因かも知れません。

今後このまま日本は独自の市場展開を見せていくのか、トレンドの形はどうなっていくのか、とても楽しみですね。

坂本龍之介:シンガーソングライター)

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