近年日本の音楽シーンは劇的な変化を迎えています。
YouTubeでのフル尺MV配信、配信限定リリースの増加、定額聴き放題サブスクリプションサービスの開始など、ユーザーは選択の幅が広がっています。
そしてそれぞれのサービスが年間ヒットランキングを発表しているのですが、見てみると決まったアーティストや作品による独占がないことがわかりました。
今回は各チャートのトップに君臨するアーティストや作品は、一体どのような層に、どのような形で求められているのか、各統計データから考察して見たいと思います。
まずはプロモーションには欠かせなくなったYouTube。
最近ではフル尺での配信も珍しくなく、YouTubeだけで音楽を楽しむことを完結させるユーザーも増えているようです。
特にYouTubeでのMV配信が活発になってきたここ4、5年(YouTube自体が13年ほどの歴史であることからの推測)にリリースされている作品は、CD購入やダウンロード販売を利用せずとも楽しめます。
もちろん過去の作品をアップするレーベルも多いですが、やはり何も購入せず新しくリリースされた音楽を楽しめることが当たり前になった若い層の注目がYouTubeでのブレイクに必要でしょう。2017年のトップを勝ち取ったDAOKO×米津玄師ですが、ソロアーティスト同士のコラボレーションとしてのリリース。両者共にデビューのきっかけは「ニコニコ動画」とネット動画ユーザー間での知名度は元々高いのでしょう。
そしてTwitter、instgramのそれぞれのフォロワー数を見ると、米津玄師はTwitterのフォロワーの方が多く、DAOKOはinstagramのフォロワーが方が多いため、お互いがこれまで取り込めなかったSNSユーザーの支持も得てネット上のプロモーションは隅々まで完璧。YouTubeでのブレイクも頷けます。
ちなみにこの曲はSpotify国内ソング再生ランキングでも、国内アーティストで1位となっています。
今回取り上げるサービスの中で最も歴史が浅いのがSpotifyですが、その一位に輝いたのがこの曲「Shape of You」です。全世界での再生回数は14億回以上。アメリカでのサービス開始は2011年、日本では2016年に開始されています。Spotifyはストリーミングによる音楽再生が定額で聴き放題、というサービス。Spotifyについて詳しく知りたい方はこちらのサイトをどうぞ。
国内ランキングにも関わらずTOP5のうち4作品が洋楽という結果になっていました。これは、日本でのサービス開始当初に洋楽作品に比べて邦楽作品が少なかったことから、洋楽ファンが率先してSpotifyを活用していたからではないか、と推測できます。
「Shape of you」が好きすぎて逮捕される人がでるほど世界的な大ヒットを記録したこの曲ですが、日本でも、国内連続ドラマ「僕たちがやりました」の挿入歌として起用されました。「僕たちがやりました」は人気漫画を原作とした実写ドラマで、若手俳優窪田正孝が主演を勤めています。国内でのトレンドを掴んだこのドラマに使用されたことで、普段洋楽を聴かない層にも浸透し、日本での人気やさらなる知名度アップに繋がったのではないでしょうか?昨年、コンサートツアーで日本にも来る予定でしたが、自転車で怪我をしてツアーが延期になった、というのもエド・シーランの曲の世界感とマッチしていて好感が持てたという人も多かったのではないでしょうか。全世界のSpotifyで再生回数が最も多いのもこの曲です。
ちなみに、Spotify国内アルバムランキング1位も同曲が収録されたEd Sheeranの「÷(ディバイド)」でした。エド・シーランのあまりの人気っぷりにはジョン・メイヤー(John Mayer)も嫉妬していたとか。
ソング、アルバムランキング共に海外アーティスト、エド・シーランが首位を獲得しましたが、なんとアーティスト別だと1位にONE OK ROCKが。
国内でのサービス開始2016年よりも4年前の2012年からSpotifyでの配信を開始しており、いち早くSpotifyをはじめとするストリーミング系サービス利用が今回の結果につながったのではないでしょうか。
全編英詞の楽曲や、海外でのツアーの成功など洋楽ファンの多いSpotifyユーザーが注目するのも納得です。今回調査した各ランキング全てに関連作品がランクインしており、細分化していく音楽シーンにおいていわゆる次世代スターのポジションに1番近い存在かもしれません。ちなみに海外でもっとも再生回数の多かった国内アーティスト1位ももちろんONE OK ROCK、でした。
続いてオリコンランキングをみていきましょう。
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