「自社の事業にIoTを取り入れたい」。
そうした経営方針が示されると、担当者がまずするのがソリューション探しだ。しかし、展示会に足を運び、パンフレットを集めても、何がどう自社の役に立つのかが今ひとつピンとこない……。そんな経験に悩んではいないだろうか?
社内にデータは確かにある。それも日々膨大な量が生まれ、蓄積されているのも分かる。しかし、その量に圧倒されているだけでは、適切なデジタル・ソリューションとは出会えない。膨大なデータの中から、自社の価値向上に役立つデータを見極める。さらには、価値あるデータを生み出し活用する。その展望を持ってこそ、はじめて自社にとって有益なIoT活用の道筋が見えてくる。一方、企業ごとのITソリューションは、“共創”により新たなデータの価値が続々と生まれている。
2017年4月14日、恵比寿のウエスティンホテル東京で開催された「WingArc Partner Conference 2017」では、セッションと併せて複数の企業がブース出展。さまざまシーンでBIツール「MotionBoard」と連携することで、新たなデータ活用、データの価値化を開発した企業の担当者に、「それって何の役にたつの?」という質問を直球で投げてみた。そこには、「IoT」を単なるキーワードで終わらせないための、データ活用、可視化、価値化のヒントがあるはずだ。
株式会社アロバは、監視カメラ録画システムで培った技術で、顧客対応の新しい切り口を提案。ネットワークカメラと画像解析を組み合わせた店舗マーケティングソリューション「アロバビューコーロ」を開発し、半年で約40社に提供している。従来、来店客の情報は、会員カードやPOSの情報など、何かしら行動を起こした顧客のみのものだった。来店したが、コンバージョンに至らなかった「目の前にいたはずの見込み客」との関わり方を実現したのが同ソリューションだ。
店内に設置されたカメラが来店客を撮影した画像から、その人物の「様子」を数値化して解析する。性別、年齢、さらには顔認証の技術を用いてIDデータとして登録。このデータはテキスト化され、画像そのものは消去されるため、IDデータが個人情報と結び付くことはない。しかし、再度来店時、データが90%以上の近似値であれば「同一人物」、つまり「リピーター」と判断することができる。さらに、人物の表情を解析することができ、「笑顔」や「困惑」を判断する。これを分析することで、品揃えや陳列などの効果を検討することが可能だ。現在は、小売店の店舗での利用が中心だが、その応用範囲は広いと言う。
「イベント会場など大勢の人が周囲にいても担当者が関われる人数が限られています。私たちもブースに立って、質問をされたり名刺交換ができたりするのは小数の方だけ。どんな人がブースに感心を持ち、どの程度その場にいて、どんな表情をしていたのか。従来、目の前にいながら“見えていなかった”ことが、データとして分かります。さらに『MotionBoard』と連携させることで、そうした人々の割合、年齢性別構成が自在に見える化を実現しました。顧客対応の迅速な判断、次の一手の検討などが容易にできるようになります」(株式会社アロバ担当者)
「にぎわいを創る」という言葉が目的化することも多いが、その「にぎわい」の実態と質をデータとして見ることで、施策の効果が客観的に判断できる。イベント会場、商業施設、レジャー施設など、その活用範囲はますます広がっていくだろう。
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