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動画配信サービスとして2015年に日本に上陸したNetflix。現在会員数は国内で300万ユーザー超、全世界では1億5000万ユーザーを有し、大きな帝国を築きつつあります。

配信サービスとしての認知はもちろん、この数年で一気に印象が強まっているのがコンテンツ制作関連の事業です。

そうした中で、年末年始、日本で話題を呼んだのが、配信サービスにおけるジャンルごとの視聴回数ランキングの発表です。Netflix で実際に見られている作品とはどのようなものなのでしょうか?

そこで今回は、Netflixのコンテンツ制作の歴史を振り返りつつ、Netflixが発表した2019年のコンテンツランキングと、その背景にある巧みなマーケティング手法をご紹介いたします。

Netflixの意外に長い歴史、あなたは知っていますか?

日本では「新しいサービス」というイメージのNetflixですがその歴史は意外に長く、その創設はGoogleの立ち上げの前年、1997年まで遡ります

サービス開始当初は、オンライン上でのDVD配送レンタルサービスを提供していたNetflixですが、スマートフォンの台頭を目前とした2007年に、現行の動画配信サービスへと踏切ります。

そして2011年にはコンテンツ制作の事業にも着手し、2013年に待望のオリジナルドラマシリーズ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』が公開されます。『ファイトクラブ』などを手がける巨匠デヴィッド・フィンチャーが製作総指揮を手がけたこのドラマは、瞬く間に人気を博し、現在のNetflixオリジナルシリーズの礎を築きました。

その後、年間数千億円をかけてコンテンツ制作に臨むようになったNetflixは映画やドラマ、アニメ等の様々なジャンルで頭角を現します。

アメリカとメキシコが共同制作し、アルフォンソ・キュアロンが監督を務め、2018年に発表された映画『ROMA/ローマ』でゴールデングローブ賞の2部門とアカデミー賞の3部門で最高賞を受賞するなど、専門家からも高い評価を得ています。

また2019年度も『マリッジ・ストーリー』や『アイリッシュマン』などのNetflixのオリジナルコンテンツがアカデミー賞、ゴールデングローブ賞ともに最多部門にノミネートされるなどその勢いはとどまるところを知りません。

日本における2019年度のNetflixの視聴数ランキング

まさに破竹の勢いでコンテンツ制作に取り組むNetflixの作品の中で実際に視聴者に注目されている作品はどんなものなのか?その片鱗を垣間見ることができるランキングが2019年末に発表されました。

それが2019年度の日本におけるコンテンツ視聴数ランキングです。

このランキングは、作品全体から映画やアニメなどのカテゴリー別に発表されています。視聴数は配信後28日の間に、2分以上視聴したユーザーの数をカウントしたものだということです。

ランキング詳細は以下のようになったそうです。


Netflix(日本)で最も見られた作品トップ10


順位

作品タイトル

1位

全裸監督(Netflixオリジナル)

2位

テラスハウス: Tokyo 2019-2020 (Netflix共同制作)

3位

6アンダーグラウンド(Netflixオリジナル)

4位

銀魂2 掟は破るためにこそある 

5位

リラックマとカオルさん(Netflixオリジナル)

6位

ULTRAMAN(Netflixオリジナル)

7位

娼年

8位

新世紀エヴァンゲリオン 

9位

ウィッチャー(Netflixオリジナル)

10位

アクアマン


Netflix(日本)で最も見られた映画トップ10


順位

作品タイトル

1位

6アンダーグラウンド(Netflixオリジナル)

2位

銀魂2 掟は破るためにこそある 

3位

娼年

4位

アクアマン

5位

ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生

6位

MEG ザ・モンスター

7位

スパイダーマン: ホームカミング

8位

ワイルド・スピード ICE BREAK

9位

アイリッシュマン (Netflixオリジナル)

10位

レディー・プレイヤー1

 


Netflix(日本)で最も見られたシリーズトップ10


順位

作品タイトル

1位

全裸監督(Netflixオリジナル)

2位

リラックマとカオルさん(Netflixオリジナル)

3位

ULTRAMAN(Netflixオリジナル)

4位

新世紀エヴァンゲリオン 

5位

ウィッチャー(Netflixオリジナル)

6位

ワンパンマン

7位

ケンガンアシュラ(Netflix独占配信)

8位

ストレンジャー・シングス 未知の世界(Netflixオリジナル)

9位

ラブ、デス&ロボット(Netflixオリジナル)

10位

進撃の巨人

 


Netflix(日本)で最も見られたアニメトップ10


順位

作品タイトル

1位

ULTRAMAN(Netflixオリジナル)

2位

新世紀エヴァンゲリオン 

3位

ワンパンマン

4位

ケンガンアシュラ(Netflix独占配信)

5位

進撃の巨人

6位

七つの大罪

7位

7SEEDS(Netflixオリジナル)

8位

Dr. STONE

9位

慎重勇者 〜この勇者が俺TUEEEくせに慎重すぎる〜

10位

ありふれた職業で世界最強


Netflix(日本)で最も見られたリアリティ番組トップ10


順位

作品タイトル

1位

テラスハウス: Tokyo 2019-2020 (Netflixオリジナル)

2位

あいのり: African Journey (Netflix共同制作)

3位

クィア・アイ in Japan!(Netflixオリジナル)

4位

KonMari 〜人生がときめく片づけの魔法〜(Netflixオリジナル)

5位

You vs. Wild −究極のサバイバル術−(Netflixオリジナル)

6位

田村淳の地上波ではダメ! 絶対!

7位

リズム+フロー(Netflixオリジナル)

8位

ハイパードライブ(Netflixオリジナル)

9位

セリング・サンセット〜ハリウッド、夢の豪華物件〜(Netflixオリジナル)

10位

プランク・エンカウンターズ −恐怖のドッキリ−(Netflixオリジナル)


Netflix(日本)で最も見られたドキュメンタリートップ10


順位

作品タイトル

1位

OUR PLANET 私たちの地球(Netflixオリジナル)

2位

ストリート・グルメを求めて(Netflixオリジナル)

3位

WWⅡ最前線: カラーでよみがえる第二次世界大戦(Netflixオリジナル)

4位

HOMECOMING: ビヨンセ・ライブ作品(Netflixオリジナル)

5位

ザ・シェフ・ショー 〜だから料理は楽しい〜(Netflixオリジナル)

6位

天才の頭の中: ビル・ゲイツを解読する(Netflixオリジナル)

7位

Formula 1: 栄光のグランプリ(Netflixオリジナル)

8位

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー (Netflixオリジナル)

9位

トラヴィス・スコット: Look Mom I Can Fly(Netflixオリジナル)

10位

タコスのすべて(Netflixオリジナル)

このようにランキングで見ると、各ジャンルのランキングでも Netflix オリジナルコンテンツが上位に組み込まれており、特にドキュメンタリーやリアリティ番組といったカテゴリではほとんどの作品が Netflix オリジナルあるいは Netflix独占配信作品であるということがわかります。そういえば、周りにも全裸監督を観るためにNetflixに加入した、と話していた人が一時期やたらと多かったように思います。

今後、Netflixは日本においてアニメ制作にも力を入れると明言しているため、来年以降をアニメカテゴリのランキングの変動にも期待できそうです。

データをブラックボックス化することでインパクトを与える?Netflixの見せないマーケティング

情熱の視聴数ランキングを見る中で、お気づきの方もいるかと思いますが、 Netflixはこのようなランキングを発表する際に実際の数値を開示することはほとんどありません。視聴回数や評価といった指標はNetflixにおいてはブラックボックス化されているのです。

こうした中で、 Netflixはこの見えない指標をマーケティングやユーザー体験の改善の一環として巧みに利用しています。

例えば、 Netflixオリジナルシリーズの中でも世界的な人気を誇る『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のシーズン3公開時には、「配信4日目でNetflix史上最多となる4070万世帯が視聴した」、という発表をSNS上で行うことで、ユーザーの視聴意欲をかきたてることに成功しました。

その他の作品についても、このケースと同様に、配信〜日目で〜万世帯が視聴、という文言で作品の良さをアピールする手法をとっています。

また、作品の評価も「徹底的に見えない化」されており、多くのレビューサイトで採用されているような星5+コメントの評価ではなく、「Good」と「Bad」の二元的な評価方法を採用しており、もちろんユーザーには開示されません。

こうした評価方法の背景には、全ユーザーに開示される星5式の評価だと単純なユーザーの好みだけではなく客観的に見た時にどう評価するのか、という意識も含まれてしまうため、機械的に好みの作品をサジェストすることが難しいという実態があるそうです。

一方で、このようなブラックボックス化によって、実際にNetflix が発表する数値を客観的に判断することができないという問題点を指摘する専門家もいます。

さまざまな批判を受けながらも、止まることなく成長するNetflix。その裏では、新しい手法にも臆せず挑戦する企業努力があるのかもしれません。今後とも配信サービスの拡大や新たなコンテンツ制作においてどのような挑戦が生まれるのか楽しみですね。

【参考引用サイト】
・ Netflixが圧巻の17部門!ゴールデン・グローブ賞ノミネーション発表、賞レースの目玉は『パラサイト』 
・ Netflixの日本の会員数は「ざっくり300万」。日本から世界発信Netflix Japan (@NetflixJP) · Twitterネットフリックスが発表している「すごい視聴者数」には、どこまで意味があるのか?

(大藤ヨシヲ)

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