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2023年5月31日、ノーコード推進協会(No Code Promotion Association:NCPA)により、「ノーコード宣言シティー」プログラムの開始が宣言されました。プログラミングの技術が不足していてもWebサイトや業務システムが開発できるノーコード・ローコードのことは、これまでもデータのじかんで何度か取り上げてきました。
一体「ノーコード宣言シティー」とはどんなプログラムで、自治体やその住民にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?
その詳細や運営団体NCPAの取り組み、実際の自治体におけるノーコードの活用事例を見ていきましょう。
「ノーコード宣言シティー」とは、自治体DXの推進を目的に職員向けノーコードツール活用勉強会、ノーコード導入伴走サービス、デジタル関連イベントのサポートといったプログラムがNCPAより提供される都市のことです。
2023年6月30日現在、以下の10都市が第1次宣言自治体として選定されています。
愛媛県西予市 | 静岡県焼津市 |
鹿児島県奄美市 | 福岡県飯塚市 |
鹿児島県指宿市 | 福岡県直方市 |
熊本県小国町 | 北海道旭川市 |
静岡県伊豆市 | 北海道釧路市 |
NCPAには、プログラムの宣言が行われた2023年5月31日時点で122の自治体・企業が会員として参画しており、そのベンダー企業からノーコード研修や業務改善コンサルティングが受けられるのもメリットのひとつ。また、寄付に応じて税額控除の措置が受けられる企業版ふるさと納税においてNCPA会員企業に宣言自治体が推薦される、ワーケーション開催地としても候補に挙がりやすくなる、といったメリットも提示されています。
第1次宣言自治体首長により出されたコメントでは、ノーコードの学習を通したデジタル人材の育成や自治体業務の効率化とともに、職員や市民が自ら変化を生み出していく端緒としていきたいという意気込みも見受けられました。また、デジタル化に積極的な自治体としてのアピール効果も「ノーコード宣言」により発揮されるでしょう。
そもそも、「ノーコード宣言シティー」プログラムを開始したNCPAとはどのような団体なのでしょうか?
設立されたのは2022年9月1日。その設立趣旨として、世界デジタル競争力ランキング2020で28位(※筆者補足:2022年は29位に低下)という日本のデジタル活用の遅れに対し、「ノーコード」が抜本的な解決につながるという考えが示されています。
発起人企業は以下の7社。
・アステリア株式会社
・サイボウズ株式会社
・株式会社船井総研デジタル
・株式会社 INDUSTRIAL-X
・株式会社シムトップス
・株式会社セゾン情報システムズ
・ウイングアーク 1st 株式会社
また、2023年6月時点では以下の3部会が存在します。
・出版部会
・広報教育部会
・地方創生部会
「ノーコード宣言シティー」のほかの主要な取り組みには、ノーコードによる優れたプロジェクトを表彰する『日本ノーコード大賞』や、電子冊子『ノーコード開発バイブル 2023 Summer』のリリース、オンラインイベントの開催などがあります。
「日本のソフトウェア文化を変革する」 という同団体のビジョンを実現するべく、地方創生部会主導で進められているのが今回の「ノーコード宣言シティー」プロジェクトです。
ノーコードを活用して、自治体には具体的にどのような成果がもたらされるのでしょうか? ノーコード宣言シティーにも選定された鹿児島県奄美市、段階的な取り組みで具体的な成果を達成した大分県別府市の事例をご紹介します。
第1回日本ノーコード大賞を受賞した鹿児島県奄美市は、ノーコード業務改善プラットフォーム「kintone」やその連携サービス「FormBridge」「kViewer」「PrintCreator」を用いた効率的なデータ集計・共有環境の構築や効率化といった成果を達成しました。
災害時の被害者数や選挙投票者数といったデータをkintoneで集計。さらに、Webフォームとkintoneを連携させる外部サービス「FormBridge」で市民の声や集計係の報告を効率的に収集し、「kViewer」で情報を外部に公開します。さらに「PrintCreator」で帳票を出力、kintoneをハブに、ノーコード思考で実現されたさまざまな業務改善はほかの自治体での応用可能性も高いでしょう。
大分県別府市で行われたのは、ロボットにティーチングした作業を自動化できる「RPA」を用いた業務改善です。
同取り組みが始まったのは平成30年度。2度のPoC(概念実証)を経て、令和元年5月にプロジェクトは本格始動します。令和元年度は税部門を中心に34業務、令和2年度は福祉部門を中心に59業務、令和3年度は全庁に、と段階的に展開を進め、縮減できた業務時間は1,715時間→4,611時間→6,000時間と伸長。3年間の費用対効果額は「2,175万1,856円」と試算されています。
RPAシナリオ作成の82%が内製で行われており、情報部門が利用部門と共同で本番実行の最初の段階まで進め、そこからは利用部門のみで実行する手順が組まれているとのこと。
このように、利用する文化を段階的に浸透させていき、全部門を巻き込んだ大きな成果につなげやすいのもノーコード・ローコードの利点といえるでしょう。
ノーコード・ローコードについて「IT音痴な自分には難しいんじゃないか?」「結局できることには限界があるのでは?」と、懐疑的な気持ちを持っている方はまだまだ少なくないはずです。ノーコード宣言シティーの取り組みが成功すれば、そうした疑念が払しょくされていく端緒となるでしょう。
まだノーコード宣言シティーに選定されていなくとも、ノーコード・ローコードを活用し始めることはいつでも可能です。より具体的な知見やサポートが必要な場合は、NCPAに加入、あるいは相談してみてはいかがでしょうか。
【参考資料】 ノーコード推進協会が自治体DXを推進する「ノーコード宣言シティー」を開始第1次宣言自治体として全国10の自治体がプログラムへの参画を表明┃NCPA 「ノーコード宣⾔シティー」プログラム開始、10自治体がノーコード活用へメッセージ┃Ledge.ai 水口幹之,ITmedia『全国10の自治体が「ノーコード宣言シティー」を宣言』┃ITmediaビジネス RPAを活用して3年、職員の負担軽減、年間6,000時間までの道のり 別府市 愛媛県┃愛媛県庁 行革甲子園 日本におけるソフトウェア文化を変革する「ノーコード推進協会」を 9/1 設立┃NCPA 「第1回日本ノーコード大賞」受賞者決定┃NCPA ノーコード推進協会(NCPA)とは┃NCPA ノーコード推進協会がノーコードの更なる普及を目指して電子冊子「ノーコード開発バイブル 2023 Summer」をリリース┃NCPA 奄美市役所、トヨクモkintone連携サービスを活用し、「第1回日本ノーコード大賞」を受賞┃讀賣新聞オンライン 避難所管理、選挙の投票、コロナ禍の健康観察などマルチにkintone×トヨクモ製品を使いこなす奄美市役所┃トヨクモ
(宮田文机)
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