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「ノーコード/ローコード」は日本のIT人材不足の救世主となるのか? カギとなる「市民開発」とは?

         

日本国内においても、プログラミングなしや簡略化によるWeb/アプリ/業務システム等の開発を実現するノーコード/ローコードの市場は大きな広がりを見せています。アイ・ティ・アール(ITR)の調査によると、2020年度の日本のノーコード/ローコード開発の市場規模は前年比24.3%増の515億8,000万円に達し、今後も右肩上がりの拡大が予想されるとのこと。

データのじかんでは2020年11月公開の記事『ウェブサイトやアプリはコードが書けなくても作れちゃう!?プログラミング不要のNoCode(ノーコード)は新たな標準となるか?』でノーコード/ローコードについて紹介しましたが、それから数年後の現在、ノーコード/ローコードを取り巻く状況はどのように変化しているのでしょうか?

ノーコードを実際に導入している企業はまだまだ少ない! DX推進企業とそうでない企業の間にある格差

全国23歳~89歳のビジネスパーソン600人を対象にしたノーコード総研の調査によると、2022年2月時点で「ノーコードを知っている」と回答した人は全体の23.0%でした。

また、「実際にあなたの会社ではノーコードツールを導入していますか?」という質問に「導入している」と回答したのはわずか9.5%です。

ほぼ同時期の2022年1月、株式会社ドリームアーツも「ノーコード・ローコードツールを利用した市民開発の取り組み進捗」についてアンケート調査しています。その対象は従業員数1,000名以上の企業に所属しており、自社のDX推進状況や市民開発、ノーコード・ローコードについて知っているビジネスパーソン1,000名です。

同調査によると、DX推進企業の19.3%がすでにノーコード・ローコードツールを導入しており、検討中(29.9%)と合計すると回答者の約5割に達するとのこと。

冒頭で述べたようにノーコード/ローコードの市場規模は順調に拡大してきていますが、実際に導入している企業はまだまだ半分にも届きません。しかし、DX推進企業とそうでない企業の間ではすでに導入率に開きがあり、今後両者の格差は拡大していくことが予想されます。

また、ノーコード総研の調査で着目すべきなのが「社内でノーコードツールを導入しているのかわからない」人が全体の39.8%を占めるということです。

選択的にノーコードを導入していないのではなく、そもそも名前を知らない、何ができるのかわからないという人が多くを占めるのが日本企業のリアルなのです。

「ノーコード/ローコード」とあわせて押さえたい「市民開発」とは?

「ノーコード/ローコード」と合わせて押さえたい、今後伸びるであろうキーワードとして「市民開発」が挙げられます。

市民開発とは、IT部門やエンジニアではなく、現場で実際にアプリを活用するビジネス部門の社員によるIT開発のことを指します。

前述のドリームアーツ社の調査において、市民開発を実施済みの企業は57%に及び、検討中、興味があるといった回答も含めると、市民開発に前向きな回答の割合は9割近くに及びます。

引用元:約6割の企業が「市民開発」への取り組みを開始 DX推進企業の約5割がノーコード・ローコードツールを導入または検討中┃ドリームアーツ

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ハイプサイクルなどで知られるガートナーは『日本企業の市民開発に関する実態調査』を2021年に行っており、ユーザー部門に所属する個人の62%が「エンドユーザーが開発したアプリケーションがある」と回答していることを発表しています。

ノーコード/ローコードに先行して日本企業に市民開発は浸透しており、その手段として間口を広げていく可能性は高いと予想されます。

経済産業省の委託のもと作成された『IT 人材需給に関する調査』において、日本では2030年に約79万人~約16万人の範囲でIT人材が不足することが予想されており、調査が行われた2018年時点でも約22万人の需給ギャップが発生しています。

同資料において「IT人材」には“ユーザー企業の情報システム部門以外の事業部門でITを活用する人材”も含まれており、市民開発者の増加は不足の解決につながります。

ノーコード/ローコードは市民開発を促進し、日本のIT人材不足を解決する突破口となるかもしれません。

「市民開発」に役立つノーコード/ローコードサービスの事例

ここからは、「市民開発」で役立つノーコード/ローコードサービスの事例をいくつかご紹介します。

テンプレートから簡単にアプリが作成できるPlatio


ノーコードでアプリ開発が可能なクラウドサービスです。小売、サービス、製造、公共など業界・目的ごとにカテゴリ分けされたテンプレートを選ぶだけで簡単にアプリが作成でき、項目やデザインのカスタマイズも容易とのこと。
テンプレートの種類は、下記のように多岐にわたります。

・勤怠連絡
・検温レポート
・アルコール検査記録
・写真日報

参考:https://plat.io/ja/features

ノーコード開発の相談窓口も用意されているMagic Instractions


ミニアプリの組み合わせで、業務をモバイルアプリ化できるサービスです。他のノーコードツールと組み合わせての開発などについて相談できる窓口も用意されており、下記のようなアプリのテンプレートが用意されています。

・アプリ予約
・QRコード棚卸し
・資材発注
・取引先管理

参考:https://magicinstructions.app/

終わりに

ノーコード/ローコードの市場が拡大の途上にある今押さえておきたい日本のノーコード/ローコードのリアルと、普及のカギとしての「市民開発」について解説してまいりました。

「この記事で初めてノーコード/ローコードを知った」という方も、ノーコード/ローコードについて聞いたことがないという方も多い現在の世の中に対し、先行してIT人材としての一歩を踏み出しているといえます。

早速無料体験などでツールに触れてみて、市民開発者としての次のステップを踏み出してみてください!

【参考資料】
・ローコード/ノーコード開発市場は今後も2ケタ成長を継続、2023年度は1000億円規模に―ITR┃IT Leaders
・ビジネスパーソン600人に聞いた、プログラミング学習意向・ノーコード認知度調査【2022年版】ノーコード認知率は23%、導入メリットの訴求が課題┃ノーコード総研
・約6割の企業が「市民開発」への取り組みを開始 DX推進企業の約5割がノーコード・ローコードツールを導入または検討中┃ドリームアーツ
・ガートナー、日本企業の市民開発に関する実態調査の結果を発表┃ガートナー
・-IT 人材需給に関する調査-調査報告書┃みずほ情報総研株式会社

宮田文机

 
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