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筆者は2011年から2013年までの2年間、東京で9〜18時のオフィスワークをしていました。新宿にある職場までの通勤時間は1時間15分、埼玉方面からの上り電車だったため、朝の通勤ラッシュでは足が床に付かず、体が浮くこともしばしば。あまり楽しい思い出とは言えません。

現在住んでいるベルリンでは体が浮くほどの通勤ラッシュはありませんが、たまにダイヤの乱れが原因の混雑に出くわすことはあります。満員電車と言っても、隣の人と体が触れるか触れないかくらい。

東京の通勤ラッシュで鍛えられた筆者は気にせず乗り込もうとするのですが、外国人の友人が一緒にいると「こんな窮屈な電車には乗れない。もう一本待とう」と言います。その度に筆者は「東京ではこんなの満員電車じゃないよ」と漏らすのです。

東京近郊の通勤事情

日本人の長時間残業ぶりは有名。実はそれだけでなく、通勤時間も長い! 例えばドイツ人の平均通勤時間が片道30分なのに対して、日本人は50分強。東京都内に住んでいても、平均通勤時間は43.8分なのだとか。

神奈川県や千葉県などの東京隣接県のデータでは、通勤時間が片道1時間〜2時間の層がガツンと増えます。マイホームから都心に通う人が多いためでしょう。

通勤時間が長いだけではなく、窒息しそうな満員電車で立ち通しとなると、心身共に疲れ果て、仕事や生活のクオリティに影響が出てもおかしくありません。では、具体的にどんな弊害が出てしまうのでしょうか。

長時間通勤による経済的損失

通勤時間を労働時間とみなすかどうかは意見が分かれるところですが、通勤時間を仕事に充てられたと仮定すると、日本では毎日巨額の損失が出ています。その額、なんと1日約1424億円

計算方法としては、各世代の平均年収から1時間当たりの平均時給を割り出し、世代別の通勤時間の合計に掛けて、結果を足していくというもの。

40代前半男性を例にとると、このグループの年収推計値は599.5万円(A)(2016年の厚労省『賃金構造基本統計』による)で、月の労働時間は183時間(B)。A/12Bとして時間給を算出すると、2730円ですね。

次に40代男性の総通勤時間623万5000時間に、時間給2730円をかけると170億2000万円という結果に。これを各世代で行い、小計を足すと1424億円にも膨れ上がります。

しかし通勤地獄がもたらすのは、時間のムダから生じる経済的な損失だけではありません。

健康面への影響

アメリカのブラウン大学の研究(2009年)では、通勤時間が長くなるほど、睡眠時間が短くなるというデータが出ています。通勤時間が1分増えるごとに睡眠時間が0.2205分のペースで減るのだとか。通勤時間が長い=起床時間が早いわけですから、当然と言えば当然かもしれません。

また、通勤時間が1分増えるごとに運動時間が0.0257分ずつ減る傾向もあるそう。睡眠と運動が減ればもちろん肥満のリスクが上昇します。およそ10万人の健康データを分析したカリフォルニア大学の調査(2006年)では、通勤時間が長い人ほど肥満率が高いという結果が。普通に考えても、ぎゅうぎゅう詰めの電車に長時間閉じ込められるストレスが身体にいいわけがないですよね。

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