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7月1日からレジ袋が有料に!この取り組みがエコにつながるのかを冷静に論点を整理して考えてみたら、、、

         

2020年7月1日、全国でレジ袋が一律有料となりました。

プラスチックごみ問題への取り組みにおいて世界に出遅れていると批判されることも多かった日本ですが、これで大きな変化が生じたといえるでしょう。

しかし、レジ袋が有料になったことは、本当に私たちや地球にとってプラスに働くのでしょうか?

これまで何度となくプラスチックごみ問題について取り扱ってきたデータのじかん。既存記事を援用しつつ、レジ袋有料化の本質に迫ります!

レジ袋有料化、その対象や収益の用途は?

まずはレジ袋有料化とはそもそもどういう内容になっているのでしょうか?概要を下記の表にまとめてみましたので、まずは以下をご覧ください。

【レジ袋有料化の概要】

対象小売業を営む全ての事業者
開始日2020年7月1日
対象となる袋持ち手のあるプラスチック製買い物袋
※対象外の条件にひとつでも該当するものを除く
対象外の条件・プラスチックフィルムの厚さが50マイクロメートル以上
・海洋生分解性プラスチックの配合率が100%
・バイオマス素材の配合率が25%以上
・商品ではなく景品や試供品を入れる
・消費者が辞退できない
価格自由(1円/枚以上)
収益の用途自由(公開推奨)
関係機関財務省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、環境省

この取り組みはそもそも2019年5月に政府が発表した「プラスチック資源循環戦略」における「リデュース等の徹底」の戦略の一環として策定され、容器包装リサイクル法の関係省令の改正を持って義務化されました。

2018年6月のG7シャルルボワサミットで出された「海洋プラスチック憲章」に署名せず国際的な批判を浴びたこと、2017年末に中国が「廃プラスチック輸入禁止措置」を実施したことは以前の記事でご紹介しました。そんななかで翌月にG7サミット大阪を控え、日本政府が策定した打ち手のひとつがこのレジ袋有料化なのです。

国際的な要請・緊急性が高まったからこそ、日本政府も“義務化”という大きな決断に至ったのでしょう。

プラスチック問題についておさらい─なぜレジ袋は有料に?

レジ袋有料化の目的は「消費者がその必要性を吟味する機会を提供し、ひいてはマイバッグを携行する習慣が浸透するなどライフスタイル変革を促すこと(※)」と経済産業省・環境省の資料に明記されています。

※…プラスチック製買物袋有料化実施ガイドライン┃経済産業省・環境省 p.9

2020年3月に行われたアンケート調査では店頭で1週間レジ袋を1枚ももらわなかった人の割合は約3割でした。環境省はレジ袋チャレンジと題し、この割合を12月時点で6割に引き上げるという目標を掲げています。

ではなぜ、我々はライフスタイルを変革しなければならないのでしょうか?
まずは以下のグラフをご覧ください。

引用元:六辻彰二「「世界最大のごみ捨て場」中国の終焉──日本のプラスチックごみはどこへいく」┃Newsweek

2016年時点の世界のプラスチックごみ排出量において、日本は香港、アメリカに次ぐ世界3位に位置します。同年のプラスチックごみの輸入量において香港は1位、アメリカは4位だったことを考えると、世界一のプラスチック排出大国といっても過言ではありません。

前述の通り2017年に中国が「廃プラスチック輸入禁止措置」を実施し、年間100万トン以上のプラスチックごみを輸出していた日本は大きな打撃を受けました。代わりにタイ、マレーシア、台湾などほかのアジアの国々への輸出を増やしたものの、それらの国々も次々と輸入基準を厳格化。国内での処理に回すことで対応しましたが、それも限界を迎えつつあります。
2018年に都道府県、廃棄物処理法上の政令市及び廃棄物処理業者に対して行われたアンケートでは24.8%の自治体が2018年1月~7月の間に「保管料が増加した、または、保管上限の超過等、保管基準違反が発生した」と回答しています。

引用元:プラスチックを取り巻く国内外の状況<第4回資料集>┃環境省

このようにプラスチックごみ問題がひっ迫する中で有効な手段の筆頭は“余計なプラスチックごみを出さない”ことです。そして、私たちにとっても最も身近なプラスチックごみのひとつがレジ袋。日本は世界有数の過剰包装大国だともいわれています。

その意識は多くの人々に共通しており、環境省が2018年7月に実施したWeb調査でも6割近い人々が「小売店のレジで、店員がレジ袋を、商品購入者に必要かどうか確認せずに入れる」サービスを過剰に感じると回答しています。

引用元:プラスチックを取り巻く国内外の状況┃環境省

レジ袋有料化に潜む問題点

レジ袋有料化に反対する声のうち、代表的なものは2つ。

ひとつはレジ袋有料化ではプラスチックごみ問題は解決しないというもの、もう一つはエコバッグの利用により衛生上の問題が発生するというものです。

レジ袋は日本で一年間に出されるプラスチックごみの2%に過ぎないといわれています。全国10地点に漂着したプラスチックごみの内訳でもポリ袋の割合は0.3%にすぎません。

引用元:レジ袋有料化、なぜ急に? 海洋プラごみ対策後追い┃NIKKEI STYLE

つまり、レジ袋有料化にプラスチックごみ問題の解決への直接的な効果はあまり期待できません。

実際、レジ袋はごみ袋などとして再利用するのでそれほど無駄にはなっていないと感じる方が多いのでは? レジ袋が有料でもごみ袋は必要なため、ごみ袋の売り上げが伸びるだけで結局プラスチックごみの総量は減らなかった、というオチも考えられます。

またエコバッグの衛生状況に疑念を抱く声もSNSなどで多数上がっています。特にこのコロナ禍で衛生意識が高まったなかで、「使い回し」が及ぼすリスクが気になる人が多いようです。世界でも新型コロナウイルスの流行により使い捨てプラスチックの利用が増えていると報道されています。

終わりに

レジ袋有料化の実態と、その背景にある事実をデータとともにご紹介しました。

政府も掲げているとおり、レジ袋有料化には社会の意識を変化させるためのいわば象徴的な効果を期待されています。すなわち、漁具の不法投棄抑制やペットボトルや食品トレイといったプラスチック容器全般のムダ遣いの抑制に個人・企業が関心を持たなければ意味がありません。

その点が大勢に理解されれば、マイクロプラスチック問題や資源の有効活用にある程度の効果が生まれるはずです。数年後には効果がデータに現れるのか、生活実感と照らし合わせて検証していきたいですね。一人一人の意識が変わればおのずと何かが変わるはずですしね。

参考資料
・レジ袋削減にご協力ください!┃経済産業省
・垣田達哉「レジ袋の有料化が、プラスチックごみの削減にならない理由」┃Diamond Online
・プラスチック資源循環戦略(概要)┃環境省
・枝廣淳子「「プラスチック資源循環戦略」のポイントと留意点」┃Yahoo! Japan ニュース
・来年7月から全国一律でプラスチック製買物袋の有料化がスタートします┃経済産業省
・レジ袋有料化、なぜ急に? 海洋プラごみ対策後追い┃NIKKEI STYLE
・柏瀬 あすか「行き場を失う日本の廃プラスチック」┃JETRO
・六辻彰二「「世界最大のごみ捨て場」中国の終焉──日本のプラスチックごみはどこへいく」┃Newsweek
・プラスチックを取り巻く国内外の状況<第4回資料集>┃環境省
・新型コロナウイルスの影響で、使い捨てプラスティックの削減に向けた取り組みが後退しつつある┃WIRED

宮田文机

 
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