リフォーム業者に見積もりを依頼したけれど、高額すぎて手が出ず、そのまま放置されてしまった、という空き家は数えきれないほどたくさんあります。
私たちがターゲットとする物件は問題のある物件ばかりですから、当然リフォームが必要です。ボロボロの状態の空き家を安く直すには、リフォーム業者をどう使うかが重要です。DIYで修理を行って人件費を浮かせよう、という方法はすぐに思いつくかと思いますが、それは投資家がやることではありません。投資家が肉体労働を始めてしまうのは危険だと私は考えています。
人間は体が忙しいと頭が進化しません。問題解決は、知識と経験と知恵で行うものであって、肉体労働で行うべきものではありません。なので、肉体を動かして稼いではいけないという制約条件を自分に課して頭を使って考えないとイノベーションは起きません。作業を行うと満足感がありますが、実はそれは罠です。もちろん、それが楽しいのであれば止めはしないですが、投資というのは体を使って稼ぐことではありません。私は、効率的にイノベーションを起こすにはDIYをするべきではない、というスタンスでいます。
どのリフォーム業者にお願いするか、という点と、どんな頼み方をするか、という2点が重要です。それもリフォーム業者にできるだけ安くお願いします、という方法ではありません。リフォーム屋さんにはちゃんと自社の利益を確保してもらいつつ、リフォームを安く行う、というのがポイントです。ですが、こちらの予算と向こうの予算を合致させるには知識が必要です。知識に基づいた頼み方をするとリフォーム代は安くできます。
まず、どこのリフォーム業者にお願いするかですが、リフォーム会社業界を俯瞰するとグレードと目的ごとに分類可能です。リフォーム業者も自然と住み分けができているんです。まずグレードで言うと、高級、中級、基本、目的で言うと、マイホーム、賃貸目的、と下記の図のように分かれています。
では、空き家のリフォームをどこにお願いすべきかというと、基本のグレードで賃貸目的のリフォームを行っている業者になります。そういう業者さんにお願いしないと意味がないですよね。高級グレードのマイホームのリフォームを請け負っている業者に話しかけても会話は噛み合いませんし、場合によっては怒られたりもします。多くの空き家オーナーは高級グレードのリフォーム業者から相見積もりを取って、この金額ではとても空き家の修繕はできない、と諦めてしまいます。高級グレードのリフォーム会社にいくら声をかけても実りはありません。なので、次はどうやってそのゾーンにいる業者を探すか、というのがミッションとなります。ここのゾーンの業者とやり取りするためには基本知識が必要です。
例えば、スペックの高いパソコンを安く手に入れようと思ったら、秋葉原に行って、店主に質問をしながら欲しいと思うパーツを購入して、自分で組み立てれば良いわけです。ただ、パソコンの知識もない、勉強する気もない、今すぐにスペックの高いパソコンが欲しい、となるとヨドバシカメラやビックカメラなどでピカピカの箱に入った20万円や18万円、15万円といった値札の付いたパソコンを買うことになるわけですが、当然パーツを買って自分で組み立てるよりは高くつきます。パーツを買って自分で欲しいスペックを組んだ場合は5万円でできるかもしれません。リフォーム業者も同様です。リフォーム費用をできるだけ抑えるためには、リフォーム業者の言葉で、リフォーム業者の常識の範囲内のお願いをする必要があります。そのための知識と経験が不可欠となります。
次にそれを踏まえてリフォーム業者をどうやって検索するか、について説明します。
しかるべきキーワードで検索しない限り、理想の業者にはなかなかたどり着けません。そのためにはリフォームがどういう項目で成立して、総額が計算されているのかを理解する必要があります。総額というものは計算プロセスがあっての総額です。プロセスに対する理解があれば、不要な項目を省けたり、この項目に対してはこの単価でやって欲しい、という具体的な注文を持って検索することができるようになります。リフォーム費は単価x数量の集合体でできています。ということは、自分の希望単価と希望数量を把握しなくてはなりません。そういう知識はどうしても必要となります。
例えば、壁紙の交換の最低価格がいくらなのか、フローリングに見た目が似ているクッションフロアの張り替えはいくらなのか、畳の表替え、ふすまや障子の張り替えとか、網戸の交換、塗装、カーテンレールの交換などそれぞれの作業に対する単価、つまり人件費+材料費の総額をしっかり頭に入れておく必要があります。例えば、壁に貼るクロスであれば1平米あたり750円から850円くらいです。クッションフロアであれば1平米あたり2200円から2500円くらいです。これらの目標単価以内で治るリフォーム業者にお願いするわけです。
また、リフォーム代は単価x数量で決まります。では、6畳の部屋にはどれくらいの大きさの壁紙が必要でしょうか?実際は窓の大きさや収納の大きさなどで部屋ごとに異なりますが、概ねの平均は28平米くらいです。天井と床は同じ面積ですから大体10平米くらいです。この種のデータはホームセンターで簡単に入手できます。ホームセンターには壁紙が普通にグルグル巻きにされて売られてますから。その数値を知っていれば、例えば見積書にクロスの数量が40平米と書いてあった場合、それを指摘することができます。と言っても、壁紙一式、と書いてある場合も多いですが。
目安としては、6畳の部屋の壁紙を張り替えるのにかかる費用は850円x28平米=2万3800円くらい、です。6畳の部屋の床、壁、天井などのフルリフォームを行う場合でも6万2700円くらいが標準的な価格です。この金額で壁と天井は新築と同じ印象に生まれ変わります。ちなみに言うと、綺麗な壁にクロスを貼る値段と汚い壁にクロスを貼る値段は全く同じです。しかし、物件を購入する際には汚い物件の方が安いわけですから、汚い物件の方が投資対象として優れている、ということになります。人の気持ち的に、汚い方がリフォーム代が高い、と思いがちですが、リフォーム代は実は変わりません。ですが、多くの投資家は綺麗な状態の物件の方が安心感がある、イコールこちらの方が堅実な投資である、と判断してしまいがちですが、これはよくある勘違いです。
一部屋のリフォーム価格がわかれば3LDKの物件の部屋のリフォーム代も計算できます。6万2700円x3部屋=18万8100円がその金額です。なので、どうやって計算してもリフォーム代が1000万円かかります、という計算にはならないはずです。
先日、とあるお店で気分転換に畳の張り替えをしませんか?という張り紙がしてあったのですが、そこに書かれていた金額は6畳の部屋で4万円から、でした。私の価格表で調べると畳の表替えは一畳2700円から、ですから、実際は2700円x6畳=1万6200円で表替えは可能です。その差額を安心代、という形で多くの人は支払っているわけです。ここらへんのことは基本的なことですが、この基礎知識を持っているだけでもリフォームの際にはかなりの金額が節約できます。
なんの業界でもそうですが、買い物のプロにならないと良い買い物をすることは難しいです。ただその対象が不動産物件となると一生に何度も売り買いをする人は多くありません。例えば、IT業界と比較して、知らなくてはならない知識の量がさほど多くないにも関わらず、一般の人は不動産の売買やリフォームに関する知識をあまり持っていません。さっきの価格表と計算方法を持っているだけでも、不動産人生は大きく変わるはずです。雨漏りの修理でいうと1箇所につき1万円から3万円です。床の傾きを直す場合、曳家、という方法で家を引っ張る方法があるのですが、それをやると300万円くらいは簡単にかかってしまいます。ですが、床の部分だけを直すのであれば、そこまでの金額はかかりません。部屋の傾き調整はだいたい8万円から13万円くらいです。これは部屋単位での価格ですが、家の全ての部屋が傾いていることは正直あまりないです。廊下や押入れなど部屋以外の部分が傾いているのは生活にあまり支障がないですから、極端な話、直す必要がない場合も多々あります。どこまで直すのか、というのは戦略に依存します。次は戦略についての考え方をご紹介します。
株式会社ベル 代表取締役
礒崎和彦氏
神奈川県藤沢市出身
中央大学 商学部 商業・貿易学科 卒業
アメリカ モンタナ州立大学 会計、税務、法律、監査等の関連単位取得
大学卒業後、株式会社リクルートにて新規開拓営業マンとして従事し、事業部トップの営業成績を残す。その後、IT業界に転職。どんな事業を行うにしても、新規営業、会計、ITが非常に重要であるという認識の下、この3つを意識しながらキャリアを形成。2006年10月まで一般企業のサラリーマンとして勤務。2006年11月より独立。たとえ営業力、会計力、IT能力があっても、修羅場で絶対に逃げ出さない精神力が必要であるという認識のもと、資金も、事業経験も、何もかもがない中でまずは自力で生き抜く強さを身につけるため、インターネット事業に着手。元手資金ゼロから富を生み出すプロセスのみに徹底的にこだわり、とにかく生き抜く底力の獲得に注力。その結果、コストを一切かけない方法のみで、しかも仕組み化によってアフィリエイト月収200万円以上を達成。そのかたわら、より良い不動産投資とはどんな形かを10年間模索。その結果、問題解決型不動産投資が良い成果を出せると確信し、廃墟の空き家を安定した高収益に変える投資手法を習得。元・ライブドア社長、堀江貴文氏(ホリエモン)と共同で不動産投資会社を設立し、代表取締役に就任(現在退任)。
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