バーチャルにはバーチャルならではのハプニングもつきものです。どんな事件がこれまで起きたのでしょうか?トライアスロンのバーチャルレースで起きた例をご紹介します。
トライアスロンの世界選手権の中でも最も過酷と言われている「IRONMAN(アイアンマン)」も2020年は史上初の試みとなるバーチャルレース「Ironman VR Pro Challenge」として生まれ変わりました。
この大会では、参加選手自身の自宅の地下室やジムスペースに設置したサイクリングマシンを活用して、過去のアイアンマンワールドチャンピオンを含む4人の女性と4人の男性が、自転車で対戦する、というもの。
大会中にはバーチャルレースならではの珍事件が発生しました。当事者となるのは途中まで2位に付けていた参加選手の1人であるミリンダ・カーフレーさん。カーフレーさんの夫のオドネルさんが彼女を鼓舞するために過去のトロフィーを取ろうと部屋を出た拍子にトレーニングバイクの電源コードの足を引っ掛けてしまい、トレーニングバイクの電源を落としてしまったのです。その後カーフレーさんの順位は落ちてしまい、オドネルさんは謝り倒したそうです。
150年以上の歴史を誇る全英オープンも2020年は中止に。しかし、そんな逆境の中で大会主催者であるThe R&Aは新たな挑戦に乗り出しました。それが「The Open for the Ages」と呼ばれる取り組みです。
この取り組みでは、過去50年間の全英オープンの映像を組み合わせて、タイガー・ウッズさんをはじめとした往年の名プレイヤーたちが参加する大会を仮想的につくりあげたといいます。
大会の様子は第149回の全英オープンが予定されていた7月16~19日に配信されました。
準備期間が短かったにもかかわらず大会は大成功。バーチャルトーナメントは順調に最初の3ラウンドを終え、7月19日には最終ラウンドの様子ととも優勝者まで発表されたというのだから驚きます。
しかし、どのように優勝者を決めたのでしょうか?その背景には緻密なデータ分析がありました。
スコアデータはもちろん画質の良い近年の大会では動画からショットの特徴までを抽出し、R&Aが所有する様々なデータを組み合わせたほか、会員制のデジタルプラットフォームでのアンケート調査や、FacebookとInstagramを活用した投票など観客の意見も取り入れ補強したそう。
こうして集めたデータをAIを駆使したシミュレーションにかけた結果、優勝はジャック・ニクラスさんがタイガー・ウッズさんに競り勝つかたちで手にしたそうです。
伝統があるからこそ実現できた唯一無二のこの大会は大きなインパクトを残し幕を閉じました。
同様の動きはボクシング界でも発生しています。
それが50戦無敗で世界5階級を制という圧倒的な記録を残し、2017年に引退したフロイド・メイウェザーさんをはじめボクシング界のスター選手をバーチャルな存在として構築し、仮想現実空間で対戦させ放送するというもの。
これらも過去の映像からパンチの速度や反応速度、戦略、スタミナなどをデータで取得し、そのデータをもとにAIで選手を再現するというもの。
この取り込みは現在進行中でどんな選手が参加するのか、が注目されています。
未曾有のパンデミックの中、失われた日常生活を少しでも取り戻すために進化しつつあるバーチャルスポーツは今後、私たちの生活に根付いていくのではないのでしょうか?
できないからと諦めず新たな挑戦に乗り出す人々の姿は見ていてきもちのいいものです。見る側としてプレイする側として、ぜひ、バーチャルスポーツを楽しんでみませんか?
【参考引用サイト】 ・ 【2020年:急速に進むeスポーツ化】バーチャルスポーツ 8つのハイライト ・ メイウェザーとマイク・タイソンが「夢の対決」?コロナ禍で衝撃のバーチャルプラン ・ コロナ禍でトップ選手が躍動する「バーチャルスポーツ」が大注目 ・ 甲子園なき全国の代替大会終わる! 交流試合とは違った重みも ・ 史上最強のゴルファーは誰に?--データ分析やAI活用、バーチャル全英オープンの試み
(大藤ヨシヲ)
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