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【WAF2018 OSAKA】良いものを作れば勝てる時代は終わった。「デザイン経営の必要性」:鷲田 祐一 教授(後編)

         

デザインすべきは商品なのか、それとも経営そのものなのか?

こうして3つに定義してみると、少し話が進みます。

実はこの定義をもとに、企業に調査をしています。上記の画像のグラフの緑色の線が「経営そのものがデザインだ」と言っている会社です。そんなに多くはないです。102サンプル取れたうちの41社。これはそもそも、比較的新しい企業が回答してくれているので、こういった状況になりました。

その次に赤い線ですね。これは広義のデザイン、つまりUXですね。「デザインとはユーザーエクスペリエンスである」と考えている会社です。それから最後の青い線は狭義のデザインで、「デザインと言えば色や形である」という会社です。

それぞれの違いを見ていくと非常におもしろいです。まず年間の伸び率ですね。営業の伸び率、利益の伸び率を見ると、伸びている会社はデザインという定義を広くとっているということで、ほぼ間違いないですね。ですから、先ほど申し上げた他国の事例とほぼ同じことが、日本でも起こっていることがわかります。伸びが悪いところほど、デザインを狭く見ていると言えると思います。

次に、自分の会社がどういうことに注力しているか。会社の強みは何かということを同じように聞いてみると、これもやはり、デザインを広くとっているところが伸びています。特にUXなど広義のデザインです。「製品やサービスが顧客にとって使いやすいかどうか、それがうちの強みだ」とこういう会社は言っています。

それに対して、「うちの強みは価格」という会社は、デザインを狭く見ていることがわかります。びっくりするほど端的な結果がでていて驚きます。

デザインという言葉を色や形ではなくて、ビジネス全体、それから顧客との接点と捉えていくほうが伸びるというこの現象は、日本でも起こっています。

そもそも企業はデザイナーに何を期待しているのでしょうか?デザインを広く捉えているところでは、人が持つ潜在的な課題や気持ちなどのいわゆるインサイトを読み解く力に期待していたり、マーケティングの知識を持ってほしい、という期待が多いようです。

それからマネジメントです。「企業はデザインだ」「経営はデザインだ」と、マネジメントにも期待しているところがあります。

しかし、この青い線を見ていただきたいのですが、いずれも数字は低いです。つまり「デザインとは色や形です」と思っているところは、雇っているデザイナーさんに期待をしていないということですね。

 

講演者プロフィール

鷲田 祐一 教授

一橋大学大学院経営管理研究科教授

1991年に一橋大学商学部経営学科を卒業。(株)博報堂に入社し、マーケティングプラナーになる。その後、同社生活研究所、研究開発局、イノベーション・ラボで消費者研究、技術普及研究に従事。また2003年~2004年にマサチューセッツ工科大学メディア比較学科に研究留学。2008年に東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士後期課程を修了し、博士(学術)となる。ハイテク分野において、いわゆる「イノベーションの死の谷」現象がなぜ発生するか、克服には何が必要か、という視点から、ミクロ視点での普及学を研究。その延長としてユーザーイノベーション論、シナリオ構築による未来洞察手法、デザインとイノベーションの関係なども研究している。


デザインの3つの定義:
日本のデザイナーの状況はどうか?

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