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【WAF2018 OSAKA】良いものを作れば勝てる時代は終わった。「デザイン経営の必要性」:鷲田 祐一 教授(後編)

         

日本のデザイナーの状況はどうか?

研究をもっと深掘りして、「日本のデザイナーがどういう状況にあるか」について、500サンプルぐらい集めたおもしろい結果があります。同じ質問を、アメリカと中国で実施してみたんです。それは「ICTが入ってきたことで、デザイナーの仕事がどう変わったか」という質問です。

まず、デザイナーの案件数ですね。仕事が増えたかどうかということに関しては、アメリカと中国では、「ICTが入ってくることで、デザインの仕事が増えました」とはっきりした結果が出てますね。

日本はすばらしいです。こんなにきれいな正規分布はなかなか出ないです(笑)。簡単に言うと、増えもしないし減りもしないということです。ICTがこれだけ入ってきているのに、デザイナーから見たときに、デザインの仕事が増えていないという現状があります。

さらに質の変化もすごいですね。アメリカと中国は「ICTが入ってきたことで、デザインの質が向上した」とはっきり言っています。これまた美しい正規分布になっているのですが、日本の場合はICTが入ってきても、デザインの質は変わっていません。

デザインのスピードは速くなっています。3国ともかなり速くなっている。納期が短くなったということを意味しているのですが、これはICTの直接的な効果です。

最後に、これが衝撃的なのですが、ちゃんとお金がもらえているのかという話です。アメリカや中国は「お金は取れてます。デザインの値段は上がりましたよ」ということがはっきりわかります。日本だけは逆に値段が下がっています。これはいったいどういうことでしょう?

 

講演者プロフィール

鷲田 祐一 教授

一橋大学大学院経営管理研究科教授

1991年に一橋大学商学部経営学科を卒業。(株)博報堂に入社し、マーケティングプラナーになる。その後、同社生活研究所、研究開発局、イノベーション・ラボで消費者研究、技術普及研究に従事。また2003年~2004年にマサチューセッツ工科大学メディア比較学科に研究留学。2008年に東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士後期課程を修了し、博士(学術)となる。ハイテク分野において、いわゆる「イノベーションの死の谷」現象がなぜ発生するか、克服には何が必要か、という視点から、ミクロ視点での普及学を研究。その延長としてユーザーイノベーション論、シナリオ構築による未来洞察手法、デザインとイノベーションの関係なども研究している。


デザインすべきは商品なのか、それとも経営そのものなのか?
デザイナーと経営陣のすれ違い

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