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【WAF2018 OSAKA】良いものを作れば勝てる時代は終わった。「デザイン経営の必要性」:鷲田 祐一 教授(後編)

         

2018年11月2日、「WAF2018 大阪」がヒルトン大阪にて開催されました。2018年度からWAFと銘打たれたこのイベントはウイングアーク1st株式会社が毎年主催しています。

2018年度は「データによるエネルギー革命、あなたが変わる、世界を変える」をテーマに掲げ、名古屋、大阪、東京の3拠点でデータ活用にまつわる多種多様なセッションが行われました。

本記事では、大阪会場で行われた一橋大学大学院 経営管理研究科 鷲田祐一教授によるセッション「デザイン経営の必要性」の概要をお届けします。

デザイナーは狭義のデザインではなく、経営にも参加するべきである、と提唱する「デザイン経営」のススメとはいったいどんなものなのか?について語ったその講演のハイライトをお届けします。

前編はこちらからどうぞ

Appleはユーザーのワクワクをデザインしている

下記の画像をみてください。家電の外箱です。これを見ていただければ、ユーザーからの見え方に、どれだけ気を使っているかは一目瞭然です。

日本人の考えからすると、「外箱にお金をかけるより、本体にお金をかけるべきだ」となります。これは「良いものを作っていれば、絶対勝てる」という信念の下に行われているのです。

 

その視点で見ると、Appleは無駄なところに金を使っているように見えます。ですが、ユーザーにとって重要なのはそこではありません。買うときにはせっかくなら誰しもワクワクしたいものです。

「ユーザーがどれぐらいワクワクするだろうか」と考えると、やっぱりこの日本の外箱は「改善の余地あり」と言わざるを得ません。

デザインに力を入れている会社は伸びている、という現状

デザインに力を入れてきた会社は、利益が4倍、成長率では2.1倍、成長そのものの量は2.0倍になるとのデータが出ています。

このデータは「にわかに信じがたい」のが本音だと思いますが、現実にこのようなことが起こっているわけです。先ほど申し上げたとおり、経営の最上流工程にデザインを置いている会社が、実績としてこれだけのデータを出してきているということが、日本以外のほとんどの先進国で報告されています。日本の場合は、公会計システムにそもそも「デザイン」という費目がなく、こういった統計データが取れていません。

デザインの3つの定義:

一言にデザインといっても、デザインの定義は少なくとも3つあります。

1つは狭義のデザインで、いわゆる意匠や、ユーザーインターフェースを指します。物に付着する色や形に近い世界。

その1つ外側に、広義のデザインがあります。先ほど家電の外箱の例をご紹介しましたけれども、これはいわゆるユーザー体験、つまりUXですね。サービスや製品全体を考えるようなデザインを表しています。経営の最上流工程に入ってくる寸前のところです。「うちの会社では何を売ろうか?」「うちのサービスを使ってくれているのは、どういう顧客なのだろうか?」を担っているのが、この広義のデザインになります。

それから、その外側にもう1つあります。「企業経営自体がデザインである」という話です。

最近非常に伸びているベンチャー企業は、「自分のビジネスモデルそのものがデザインである」「エコシステムそのものがデザインである」とおっしゃる方が非常に多いです。

「GAFA」も、会社が小さかったころはたぶんそうしていたと思います。自分の会社が何をするかと言えば、技術や色、形でもない。「こういった仕組みで、こうやって顧客にサービスを提供したい。そのためには、こういう会社を目指さなくちゃいけない」と考えていたはずです。これは、「経営そのものがデザインである」と言えるかもしれません。

 

講演者プロフィール

鷲田 祐一 教授

一橋大学大学院経営管理研究科教授

1991年に一橋大学商学部経営学科を卒業。(株)博報堂に入社し、マーケティングプラナーになる。その後、同社生活研究所、研究開発局、イノベーション・ラボで消費者研究、技術普及研究に従事。また2003年~2004年にマサチューセッツ工科大学メディア比較学科に研究留学。2008年に東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士後期課程を修了し、博士(学術)となる。ハイテク分野において、いわゆる「イノベーションの死の谷」現象がなぜ発生するか、克服には何が必要か、という視点から、ミクロ視点での普及学を研究。その延長としてユーザーイノベーション論、シナリオ構築による未来洞察手法、デザインとイノベーションの関係なども研究している。

デザインすべきは商品なのか、それとも経営そのものなのか?

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