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【WAF2018 OSAKA】良いものを作れば勝てる時代は終わった。「デザイン経営の必要性」:鷲田 祐一 教授(後編)

         

デザイナーと経営陣のすれ違い

デザイナーの提案はお金がかかることが多いです。ですが、「デザインにお金をかけたくない」と経営側は考えており、コスト削減の対象だと思っている節もあります。であれば、デザインの値段が下がっているということと符合してきます。

最近では、美大を出た人でなくてもデザインもどきはできるようになりました。3Dプリンターや、CAD、あるいはIllustratorやPhotoshopなどを使えば、デザインもどきは作れます。すると「デザイナーに高い金を払わなくても、似たようなことはできる」となり、「では、デザイン費を削減しよう」となりがちです。

一方で、デザイナー側にも全く非がないわけではありません。というのも、アメリカや中国ではデザイナーが大学院で経営やマーケティングの勉強をすることは珍しくありません。しかし、日本のデザイナーが大学院へ行くことは一般的ではないため、「デザイナーはデザインをする人」というポジションに留まりがちな状況が、現状ではあるように思います。

まとめ

デザイナーは目の前にある問題を解決する「ある1つの解」を人より先に見つけ出す力が強いと言われています。こういう人たちを企業の上流工程に置くというのが、私が今日申し上げている「デザイン経営」のお話です。

申し上げたとおり、非常に勇気がいる判断だと思います。ですが、これを推進することによって、他の国は実際に伸びています。とくに情報産業に一番近いところで、このデザイン経営を試してみていただけたらというのが、今日のお話の中心部分でした。

(データのじかん編集部)

 

講演者プロフィール

鷲田 祐一 教授

一橋大学大学院経営管理研究科教授

1991年に一橋大学商学部経営学科を卒業。(株)博報堂に入社し、マーケティングプラナーになる。その後、同社生活研究所、研究開発局、イノベーション・ラボで消費者研究、技術普及研究に従事。また2003年~2004年にマサチューセッツ工科大学メディア比較学科に研究留学。2008年に東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士後期課程を修了し、博士(学術)となる。ハイテク分野において、いわゆる「イノベーションの死の谷」現象がなぜ発生するか、克服には何が必要か、という視点から、ミクロ視点での普及学を研究。その延長としてユーザーイノベーション論、シナリオ構築による未来洞察手法、デザインとイノベーションの関係なども研究している。


日本のデザイナーの状況はどうか?

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