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AIとビッグデータ

IBMが開発したAI(「コグニティブ(認知型)・コンピューター」と紹介されることもあります)である「ワトソン」。アメリカのクイズ番組で賞金100万ドルを獲得したことで有名です。ワトソンは、事前にクイズに出題されそうな情報をインプットしておけば、機械学習(人間がもつ学習能力と同じく、コンピューターも経験から学習し、将来予測や意思決定を実現できるようにする技術や手法)や統計の解析などによってクイズに答えることができます。音声や画像を認識できたり、経験から学んで自ら賢くなっていったりするなど、人間の知能に非常に近づいているAIです。

このワトソンの機能とビッグデータを組み合わせた使い方が始まっています。例えば、アメリカとタイの医療機関では、医療の現場にワトソンを導入。がん治療のガイドラインや医学文献の抄録、図書館の公開データなど分析し、「この症状ならこの診断になる」とか「この治療をしたらどうか」など、医師の判断をサポートしています(参考記事)。このほか、資産運用や人材育成支援などにもワトソンは使われているようです(参考記事)。

社会保障分野におけるビッグデータの活用

2016年に利用が始まったマイナンバー制度。マイナンバーとは国民全員に割り当てられる12桁の番号のこと。現在は「社会保障」「税」「災害対策」の3つの分野での利用が認められています。利用分野については、今後利用範囲拡大も議論されています。

社会保障、とくに医療費に関しては、2014年度に40兆円を突破。医療費削減が課題になっています。医療分野でマイナンバーが利用されるようになれば、レセプト情報が医療機関で共有され、重複した診療等を減らすことができ、医療費削減につながります。このレセプト情報や電子カルテなど医療情報のデータが集まった「医療ビッグデータ」が実現すれば、大学や製薬会社の研究・新薬開発などにも役立つでしょう。もちろん個人が特定されない仕組みが必要ですが、医療の質が向上するのは言うまでもありません。

ビッグデータの導入に関して

組織で新しいことにチャレンジしようとすると、社長や上司から「導入した際の費用対効果」の検証を求められることも多いと思います。ビッグデータの導入に関しても同様でしょう。しかしながら、ビッグデータはそもそも試行錯誤を繰り返して情報・ノウハウを蓄積していくものです。さらに、ビッグデータが結果を出し始めるにはある程度の年月が必要になります。ですから、従来のように検証をしてから導入を検討するという意思決定プロセスにはそぐわないといえます。

もし本気でビッグデータを導入しようと考えている場合は、トライ&エラーを許容し、迅速な意思決定権を付与しつつ、ある程度の時間を覚悟する必要があるでしょう。このように、経営層の意識改革が必要なのです。

まとめ

Photo by TheDigitalArtist

ビッグデータの利用に関しては、Suicaのデータの外部販売が問題になるなど、まだまだ乗り越えなければならない課題も多いです。ベネッセの個人情報流出問題など、消費者は依然として企業の個人情報の扱いに関してナイーブになっています。このような状況下でいかにビッグデータを活用していくのか、各自治体・企業には適切な対応策が求められています。

ビッグデータの活用事例など関連記事をもっと読みたい方はこちらからどうぞ

 (参考文献)
 ※1 岡村久和 監修『IoT時代のビッグデータビジネス革命』(2018年、インプレス社)
 ※2 野村総合研究所「ビッグデータの真実~ビッグデータの誤解を解く~」(PDFファイル)
 ※3 稲田修一『知識ゼロからのビッグデータ入門』(2016年、幻冬舎)
 ※4 大槻知史 「Suicaシステムの概要」(PDFファイル)
 ※5 朝日新聞出版「知恵蔵」(コトバンク)
 ※6 デジタル大辞泉(goo国語辞書

(安齋慎平)

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