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エコシステムのキーワードは「間接的な関係」

一方で、この記事で解説している「エコシステム」のキーワードは「間接的な関係」です。さきほど説明した、ヤドカリとイソギンチャクのような共生関係ですね。

わかりやすい例が、スマートフォンとアプリです。

スマートフォンが売れればアプリが必ず売れるわけではありませんが、スマートフォンが売れることでアプリが売れる可能性が広がります。同時に、アプリが人気になり売れることで、スマートフォンが売れるという逆の現象も起こりえます。

この場合、スマートフォンを製造するメーカーとアプリを開発するデベロッパーの間に直接的な金銭のやりとりがないことがポイントです。直接的な関係はないのに、お互いの売上が影響しあって両方が売れるという環境が生まれています。

最近話題のIoTで言えば、AIスピーカーの売上は直接的にスマート照明の売上に影響しませんが、AIスピーカーが普及することでスマート照明を購入しようと考える消費者が増えるようになります。

逆に、スマート照明を購入しようと考える消費者が増えれば、同時にAIスピーカーを購入しようと考える消費者も増えます。この場合も、AIスピーカーのメーカーはスマート照明のメーカーにお金を払って「開発させている」のではないのがポイントです。

なんとなくイメージが掴めてきたでしょうか?

生態系には「キーストーン種」がいる

ではここで、生物学の「生態系」に話を戻しましょう。

2013年(第21回)にコスモス国際賞を受賞したワシントン大学名誉教授 ロバート・トリート・ペイン(Robert Treat Paine)博士の有名な実験を紹介します。「ヒトデの野外実験」です。

ペインは、海の岩場からさまざまな生物を取り出して観察し、また戻すという実験を繰り返しました。すると、ある種のヒトデをすべて取り除いたらその一帯の生き物が絶滅したのです。この実験から、ペインはそのヒトデがその生態系にとって非常に重要な位置をしめている「キーストーン種」だと結論づけました。

このような生物はいろいろなところにいます。

有名なのはビーバーで、彼らがダムを作ることで、他の生き物がそのエリアで生活し始め、生態系に変化をもたらすという現象はよく知られています。

ビジネスの「エコシステム」におけるキーストーン種

この「キーストーン種」はビジネスにおける生態系、つまりこの記事で言う「エコシステム」にも存在しています。それが、GAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)のようなプラットフォーム企業です。

さきほど例に取ったスマートフォンとアプリは共生関係にありますが、実のところ仮にAppleが倒産したら多くのアプリデベロッパーもまた、倒産に追い込まれるでしょう。

また、Amazonが倒産すれば非常に高いシェアを持つ「Amazon Echo」がなくなってしまい、IoT関連業界は大打撃を受けるはずです。つまり、これをAmazonのEchoシステムと呼ぶ、わけでは断じてありませんが、このような例は挙げ始めればきりがありません。

プラットフォームを持つことによってキーストーン種となったGAFAはこの状況をうまく利用し、アプリストアで高い販売手数料をとったり、プラットフォーム上で収集されたユーザーデータを寡占することに成功して大きな利益を上げています。

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