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本記事「帳票設計とは?企業が抱える帳票設計の問題とその解決策について」では、一般的な帳票の設計方法と帳票設計ツールの有用性について紹介します。

帳票設計とは?

企業の活動内容の記録の役割を担う「帳簿」や「伝票」の作成を「帳票設計」と言います。

企業で取り扱う帳票の種類は100種類以上あると言われており、これらの様式(レイアウト、フィールド)は帳票毎に異なります。

そのため企業では、新たな企業との取引や法律改正、社内の業務プロセスの変更の度に、要件に沿った帳票を設計することになります。

帳票設計では、帳票に記載する項目を紙面に配置した帳票様式(レイアウト)と各項目(フィールド)に記載する帳票元データを用意します。

また帳票は、社外へは郵送、FAX、電子メール、ダウンロード等で、社内には電子ファイル、ブラウザ、帳票ツールの閲覧機能にて使用するため、用途に沿った出力様式も決める必要があります。

帳票様式(レイアウト)

帳票に配置するフィールドを出力する紙や閲覧する画面上にレイアウトしたものを指します。

多くの企業では帳票の種類毎に項目が未記入のままの「共通様式」を作成して運用しています。また同じ帳票でも、紙媒体、電子ファイル、業務システム、ブラウザなどで使用するため、それぞれの使用シーンを配慮して帳票様式は決める必要があります。

帳票元データ(入力データ)

帳票様式で決められたフィールドに表示するための元データです。

帳票元データは、

  • 帳票フォーマットに直接入力する
  • 入力フォームにて入力したあと帳票に自動転記する
  • CVSなどのデータフォーマットを作成し、帳票に自動転記する

といった方法で帳票の入力データに使用します。

なお帳票ツールや専用の業務システムでは、帳票元データをデータベースとして蓄積し、帳票の出力・閲覧毎に帳票様式に自動転記して使用します。

出力様式(プリンタ、FAX、情報端末画面)

帳票は取引先との取り決めや企業内の運用ルールによって使用します。

取引先が手渡し、郵送、FAXを指定した場合、紙媒体に出力する必要がありますし、電子メールでの送付が求められた場合はPDFで配布します。

企業内の担当部署間での情報共有の場合は、編集が可能なExcelやWord形式の電子ファイルやPDF、あるいは帳票ツールや業務システムの閲覧機能で共有します。

このように帳票は様々な形式で使用するため、紙や情報端末画面(PC、タブレット、スマホ)の画面のサイズ、配布方法などの出力様式を決める必要があります。

帳票設計の進め方

帳票設計は専任体制と採っていないと、社内に様々な様式の帳票が散乱することになります。
帳票設計では業務の無駄や混乱を招かないよう「運用ルール」に従い実践します。

帳票はExcelや専用の帳票ツールを利用して設計しますが、ここでは専用ツールを利用しない場合の進め方を紹介したいと思います。

・運用ルール/業務プロセスの確認:

多くの企業では帳票設計で例外やプロセス違反が発生しないように、運用ルールや業務プロセスを設け、設計の標準化を図っています。

まずは設計しようとする帳票が社内の標準化の範囲内か?を確認し、もし逸脱しているのであれば、運用ルールや業務プロセスの制定、改正から始める必要があります。

・全体像の設計

帳票の種類、分類、使用用途の明確化と記載すべきフィールドの抽出を行います。

フィールドに漏れ、重複がないことを確認した上で全体のイメージを描きます。

日付の自動化や集計、計算を必要とする場合、関数や計算方法なども併せて検討します。

また帳票元データの入力から出力・配布までのフローを検討することで利便性の高い帳票を設計することができます。

・出力様式の設計

帳票の利用シーンから紙で印刷か?電子データで配布か?といった出力様式を設計します。

出力様式にバリエーションがある場合、帳票様式や帳票元データの仕様にも影響を及ぼすため、出力様式は早い段階で決めておきます。

・帳票様式の設計

見やすさ、わかりやすさを考慮して、帳票の表現方法やフィールドのレイアウトを設計します。

計算が必要なフィールドに対しては、関数や計算式を設計します。

帳票元データをデータベースにする場合、データの転記機能も設計します。

・帳票元データの設計

帳票に直接入力する場合はあまり配慮する必要がありませんが、出力様式が複数の場合、同じ帳票でも帳票様式が複数になる場合があります。

このようなケースでは、それぞれの帳票様式に対応できるよう帳票元データへの入力、蓄積、データフォーマットなどの設計が必要になります。

企業が抱える帳票設計の問題点

帳票設計はExcelやWordでコストをかけずに設計出来るものの、中小規模以上の企業では、取り扱い数が膨大になり、設計の度に「帳票設計の進め方」で紹介したプロセスを繰り返さなければなりません。

また過去に設計した類似の帳票の流用は帳票設計の負担の軽減に有効ですが、設計者の個人管理で運用している企業では、このような施策を困難にしてしまっています。

使用用途が似た帳票を流用しようにも帳票元データ(データベース)や関数、数式の仕組みが理解できず、流用を断念してしまうケースも多々あります。

帳票は種類ごとに帳票元データ、帳票様式、出力様式が異なっているため、ちょっとした仕様の変更でも精巧な修正や入念な検証が必要になるからです。

このような問題に直面している企業の多くは、帳票業務専用のツールやITサービスに頼らず、独自のプロセスで運用している傾向が強く、帳票業務で過大な負担が強いられてしまっています。

帳票設計ツールとは

帳票設計ツールとは、帳票様式や出力様式の設計をサポートするソフトウェア、およびクラウド上で動作するサービスです。

予め用意された帳票様式の流用や簡単な操作(ノンプログラミング)によるレイアウト作成により、設計にかかる工数の大幅な削減を実現してくれます。

帳票元データ(テキスト、CSV、XML、DBなど)から取り込みを行い、PDF、HTML、Excelへのファイル出力、各種プリンタへの印刷など様々なアウトプットに至る一連の業務処理を支援してくれます。

[関連記事] 帳票ツールとは?選ぶポイントと2020年おすすめの帳票ツールの紹介

・レイアウト作成

イメージ通りに帳票のフィールドをレイアウトする機能です。多くの帳票ツールでは、マウスやGUI操作によってレイアウトを作成する機能を備えています。

高機能な帳票設計ツールには、より柔軟なレイアウト作成に加え、画像の配置、集計機能、グラフやチャートを動的に作成する機能も備えています。

・データ取り込み

レイアウトした帳票の各フィールドに表示、計算元のデータを取り込む機能です。帳票設計ツールで最も重要とも言える機能で、自社のデータソースとの親和性が高いツールほど業務の効率を劇的に高めてくれます。

データの取り込み方法はツールによって様々で、

  • ツール上でフォームに直接データを入力
  • 大量のExcelデータをインポートして入力
  • 業務システム上のデータベースに接続

といったインタフェースを備えています。

またツールにSQLを生成するGUIが備わっていれば、SQL文を書くことなく効率よくデータを取り込むことができます。

データ取り込み機能は自社の帳票元データの仕様に合ったものを選ぶか、帳票元データの仕様をツールに合わせるか?の検討が必要になります。

・出力・配布

帳票を紙印刷、電子ファイル(Excel、Word、PDF)に出力したり、FAXや電子メールで配布したりする機能のことです。

配布機能には権限を付与した部署や、メンバーなどにメールで一斉送信できる機能なども備えており、配布効率とセキュリティを高めてくれます。

・表示・閲覧

パソコンやタブレット、スマホなどの情報端末機器の画面に帳票を映し出す機能で、出力・配布の機能とは区別されています。

クラウドに対応した帳票設計ツールでは、データベースから閲覧したい帳票の元データを抽出し、いつでもどこでも、様々な情報機器で閲覧する機能を備えています。

出力・配布機能と同様にアクセス権を付与することで閲覧者を制限する事ができます。帳票の紙印刷や電子ファイルを書類棚やファイルサーバー上に置かなくても済むため、情報漏洩の防止対策に有用です。

・入力チェック

データの入力規則を設定して入力可能なデータを制限する機能です。条件に合わない数値が入力された場合、エラーメッセージを表示して入力者に注意を促します。人為的な入力ミスを防止でき、データが効率的に収集できるようになります。

・出力エラー検出

帳票の出力・配布が正常に行われなかった場合にエラーとして検出する機能です。検出した際には、ツールやメールでエラーの内容を通知してくれます。

主にプリンタ、社内ネットワーク、サーバーのトラブルを原因とするケースが多く、帳票業務の品質低下を防いでくれます。

導入実績が豊富なシェアトップ3社の帳票ツール

SVF(ウイングアーク1st)

製品サイト

https://www.wingarc.com/product/svf/outline/what.html

SVFは、柔軟な帳票レイアウト設計と各社のプリンタに最適化した印刷出力を実現できる導入実績26,000社、国内シェアNo1の「帳票基盤ソリューション」です。複雑な帳票様式の設計、上位システムに蓄積されたデータを取り込み、および帳票フォームへのマージを実現します。出力様式も紙印刷だけでなく、PDFやExcelにも対応しているため、多様な運用にも対応が可能です。

帳票の設計だけでなく、既存の紙帳票のスキャン・OCR(光学文字認識)にも対応しており、帳票の共通利用化により、圧倒的な生産性を実現してくれます。


EUR(日立製作所)

製品サイト

https://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/eur/index.html

EURは日立製作所が提供する多彩な機能を備えたオールインワンの帳票ツールです。

  • マウス操作によるイメージどおりの帳票作成・修正の実現
  • 取り込みデータの準備と起動するだけのシンプルなインタフェース
  • 大切なデータを堅牢に守る高いセキュリティ機能
  • 多言語対応によるスムーズな帳票展開

を特徴としています。
なお、EURはSVFを提供しているウイングアーク1stが資産を取得し、2020年を目処に「SVF」との統合を現在推進しています。

【関連記事】
ウイングアーク1st、日立の帳票ソフト「EUR」の資産を取得し、2020年をめどに「SVF」との統合を推進
https://enterprisezine.jp/news/detail/10636


Interstage List Creator(富士通)

製品サイト

https://www.fujitsu.com/jp/products/software/middleware/business-middleware/interstage/products/listcreator/

Interstage List Creatorは富士通が提供する帳票設計・生成ソフトウェアです。日本の帳票文化にマッチした帳票をかんたん、きれい、安全に出力し、帳票業務の効率化とスピードアップを支援してくれます。

  • かんたん、スピーディーなノンプログラミングの帳票設計
  • シンプルで柔軟な帳票システム
  • プリンタ、Excel、PDF、FAX、ブラウザ表示など、様々な利用シーンに対応した出力機能
  • 国内、海外を問わない多言語機能

を特徴としています。

帳票設計ツールの有用性

帳票設計に対応したツールは、社内標準化が難しい帳票の作成、出力はもちろん、保守、管理といった業務の効率も大幅に高めてくれます。

2005年4月に施行された「e-文書法」で認められた「電子帳票」、2016年1月から利用されている「マイナンバー」への対応には帳票設計ツールの導入は必要不可欠といっても過言ではありません。

多様なレイアウトや出力形式に対応

日本の帳票は海外と比較して複雑なため、難易度の高い帳票様式への対応が求められます。帳票設計ツールでは既に有用性が示されている様々なテンプレートを利用し、要望にあった帳票が作成できるのはもちろん、独自性のある帳票のイメージ通りの作成も支援してくれます。

また、同一の元データから印刷や電子ファイル(Excel、PDF)、FAX、メールでの出力・配布にも対応しているので出力様式の設計をほぼ割愛することができます。

帳票開発・保守・メンテナンスの工数を大幅に削減

帳票設計ツールの多くは、作成した帳票を保守、管理する機能を備えているため、法律で定められているライフサイクル管理、マイナンバーの消去といったメンテナンス業務の大幅な削減を実現してくれます。

出力・配布の際のエラー検出機能による業務効率低下の防止、セキュリティ機能によるクライアントとの信頼構築に大きく貢献してくれます。

各種業務システムとの連携

帳票設計ツールの多くは、各種業務システムとの連携に対応しており、データベースからのデータ取り込み機能により、帳票の生産性を大幅に高めてくれます。

まとめ

帳票設計の一般的な概念と進め方、企業が抱える問題についてご紹介させて頂きましたが、帳票設計の有用性をご理解して頂けたでしょうか?

最後に今回紹介させて頂いた要約をまとめとして、以下に記載させて頂きます。

  • 「帳票設計ツール」を導入していない企業では、帳票の設計数の多さ、流用の難しさ、自社プロセスの限界といった問題に直面している。

  • 帳票設計ツールはノンプログラミングで操作するので、帳票設計の教育コストや設計工数を大幅に削減してくれる。また帳票の様々な利用シーンに対応しているので、出力様式の設計をほぼゼロにしてくれる。

  • 帳票設計ツールは、保守、管理機能も備えているので、メンテナンス業務の負担を大幅に削減してくれる。

  • 帳票設計ツールが備える業務システムとの連携機能は帳票の生産性を大幅に高めてくれる。

TEXT:畑中一平

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