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ゼロパーティデータ、というものは簡単に言うと『お客様から同意を得たサービスに関する情報』ということです。皆さん、思い出してみてください。ネットサーフィンなどしてる時に、質問形式の画面が出てきてそれに答えていくと、あなたに合った商品が表示されたことなどありませんか?このような工夫をして得られるお客様自身のデータをゼロパーティデータ、というのです。
なぜゼロなのかというと、マーケティングの分野ではサイトを訪れた時に得られるクリック数などの『自社で集められるデータ』をファーストパーティデータと呼んでいるからです。これは各企業が独自に集めてマーケティングの参考にしているデータですが、このほかにもGoogleなどの第三者が集めているCookieなどの膨大なデータをサードパーティデータといいます。
これらの理由から、お客様の同意を得てえられる信用度の高いデータとして『ゼロ』パーティデータという概念が生まれました。
ファーストパーティデータやサードパーティデータという概念に関してもより詳しく知りたい!と思った方は、以下の記事が分かりやすく説明されているので参考にしてみてくださいね。
ゼロパーティデータのことについてはなんとなく理解できたかと思いますが、なぜ今それが注目されているのでしょうか?
近年このゼロパーティデータの重要性がとかれているのには、世界的なサードパーティデータの規制が背景にあります。サードパーティデータはGoogleなどの第三者によって集められたデータですが、これらのデータは私たちの同意なく集められ、かつ企業に利用されてきた歴史があります。皆さんもサイトを見ているときに、なんとなく別のサイトで調べた商品の広告がでてきて「え、怖!」と思った経験はありませんか?ちょっと不気味ですよね。
それは企業が私たちのサイトの閲覧履歴といったサードパーティデータをマーケティングに利用しているからなのです。しかし、これらのデータに関するプライバシーの問題は昔から指摘されていました。それがGDPR(EU一般データ保護規制)やCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)などによって加速し、サードパーティデータ利用によるマーケティングは変革を求められているのです。
そこで注目を浴びたのがゼロパーティデータです。ゼロパーティデータは最も信頼のおけるお客様のデータでありながら、お客様自身の同意を得ているので、プライバシーの問題やサードパーティデータのような不確実性を解決するものとして期待されています。
確かに、私たちは普段からいろんなサイトを気ままに見ます。それは必ずしも自分が好きなものだけではありませんよね。だからこそ、より信頼のおける情報であり、プライバシーの問題も解決しているゼロパーティデータは、今後マーケティングする上でとても重要なデータになってくるのです。
データの収集や使用方法によって、ゼロパーティデータ、ファーストパーティデータ、セカンドパーティデータ、サードパーティデータという4つのカテゴリに分類されます。以下に各データの特徴や違いをまとめてみます。
・ゼロパーティデータ:
ゼロパーティデータは、消費者がブランドや企業と直接的に共有するデータで、消費者の意図や興味、希望などを直接的に理解するのに非常に有効です。ゼロパーティデータは消費者がアクティブに提供するデータであり、例えばアンケートの回答やプリファレンスの選択、登録情報などが該当します。
・ファーストパーティデータ:
ファーストパーティデータとは、企業が直接的にその顧客やユーザーから収集するデータです。例えば、自社のウェブサイトやアプリ、物理的な店舗などでの顧客の行動や取引履歴、登録情報などがこれに該当します。ファーストパーティデータは、その企業のみが持っているオリジナルな情報であるため、競合との差別化やマーケティング戦略の策定に非常に価値があります。
・セカンドパーティデータ:
セカンドパーティデータは、他の企業やブランドから直接的に取得したデータで、ファーストパーティデータと同じく、そのデータを共有しているパートナーだけが持っている情報です。例えば、パートナーシップや提携関係を持つ他の企業とのデータ共有がこれに該当します。
・サードパーティデータ:
サードパーティデータは、外部のデータプロバイダーやブローカーから購入したり、取得したりしたデータです。様々なソースから収集され、多くの企業やブランドに販売され、広範な市場調査やターゲティングのために使用されています。
このように、これらのデータは収集の方法や出典、用途によって異なる特徴を持っています。最近のデジタルマーケティングのトレンドでは、特にプライバシーの問題やサードパーティクッキーの廃止により、ファーストパーティデータやゼロパーティデータの重要性が高まっています。
ここまでゼロパーティデータの説明を見てきた方は、ゼロパーティデータが新時代の画期的なデータに思えるかもしれません。しかし、ゼロパーティデータにもメリット・デメリットがあります。
ゼロパーティデータの最も大きなメリットは『信頼性が高い』ということです。サードパーティデータなどは日常のあらゆる動作に左右され、特に意味のない行動がマーケティングとして利用されることがあります。その結果興味のないものをゴリ押しされて、嫌いになってしまうこともあるでしょう。
しかし自分から進んで送るデータであるゼロパーティデータはどうでしょうか。自らの趣味・嗜好を最も反映したデータであるゼロパーティデータは、自分にとっても企業にとってもより興味やニーズのあるものに出会える&提供できる可能性があります。それこそがゼロパーティデータを活用する上での大きなメリットなのです。
しかしゼロパーティデータにもデメリットがあります。それは『データの数が少ない』ということです。
お客様から同意を得なくてはならないということは、そもそも考えられるデータの最大値が既にいるお客様の数になってしまいますし、さらにその中でも同意を得た方々に絞られると考えると、そのデータ数はサードパーティデータなどに比べて圧倒的に少なくなってしまうことが分かると思います。
また、お客様自身がデータを進んで提供したくなるような工夫をしないといけません。これらの工夫には対話形式の画面を表示したり、最後まで頑張ると特典がもらえるといったものがありますが、そこにコストがかかることもデメリットになってしまいます。
また、既存のお客様からのデータしか取れないことが、新規顧客の開拓には向いていないのでは?という声もあります。
しかしこれには別のとらえ方があって、今いるお客様が『なぜこの商品を選んでくれるのか?』を正確に分析することができれば、自社サービスの強味を理解したり、誰も気付いていなかったニーズの発見につながることで新規顧客の開拓に利用できるのです。
ゼロパーティデータは消費者が企業やブランドと直接的に共有するデータで、アクティブに提供されるものです。そのため、消費者が自発的に情報を提供したくなるような取得方法を考えることが重要です。以下は、ゼロパーティデータを取得するための方法を例として紹介します。
・アンケートや調査:
消費者に製品やサービスに対する意見や感想を尋ね、新しい製品やサービスのアイデアを取得する。
・コンテストやキャンペーン:
SNSでの投稿キャンペーンや写真コンテストなどの実施し、賞品や特典の提供を通じて消費者から情報を収集する。
・カスタマイズされたコンテンツ:
「あなたの好みに合わせた製品を提案します」という形で、好きなカラーやスタイルを選択させることで、消費者にカスタマイズされた体験やコンテンツを提供するためのプリファレンス(好み)を収集する。
・ロイヤルティプログラムやメンバーシップ:
ポイントや特典を提供することで、消費者の購入履歴や好みの情報を収集する。
・インタラクティブなコンテンツ:
「あなたに最適な製品を見つけるクイズ」など、クイズや診断、ゲームなどを通じて消費者のニーズや好みを知る。
・フィードバックツール:
ウェブサイトやアプリ内で直接的なフィードバックを収集するツールの使用し、製品やサービスに関する満足度の評価や改善点を提案する。
ゼロパーティデータを取得する際には、何の情報を収集するのか、その情報がどのように使用されるのかを明確に伝え、消費者の同意を得ることが重要です。また、提供される情報が消費者にとって価値をもたらすことを確認し、データ保護やプライバシーに関する法律や規制を遵守することも不可欠です。
ゼロパーティデータの重要性は分かったけれど、頑張って集めてもどう利用していいのか分からない、といった方がいると思います。そこで、ここからはゼロパーティデータのおすすめの活用法について2つ紹介したいと思います。
ゼロパーティデータを提供してくれるお客様は、既存のお客様でもそれなりに企業のことやそのサービスが好きという方が多いと予想されます。
そんなお客様のニーズをより正確に理解して、自社のサービス改善やマーケティングに利用することは、既存のお客様がさらにサービスを満足出来るようになるということです。まさに『好き』から『大好き!』へとお客様の気持ちをアップさせていくことが出来るのです。
そういった企業や商品に愛着をもってずっと購入してくれるお客様をマーケティングではロイヤルカスタマーというのですが、そのロイヤルカスタマーがいかに多いかが企業の売上に大きく関わっています。なのでゼロパーティデータを集めて、既存のお客様をロイヤルカスタマーに育てるために活用する、というのがおすすめの活用法の1つとなっています。
通常は市場のニーズや新規顧客のイメージなどを固めて、サービス開発や改善につとめることで新規顧客の開拓をするものですが、ゼロパーティデータを活用することでこれとは逆の戦略をとることができます。
例えば、今あなたはマスクを作る会社のマーケティング担当だとします。今いるお客様のゼロパーティデータを集めた結果、なぜか女性が多く、しかももっと小さくしてほしい、という声が多かった、とします。これを詳しく分析していくと、自社のマスクはコロナ禍で女性のリップがつきにくいマスクとして選ばれていたり、マスクをしていてもより小顔に見せたい、といった潜在的なニーズがあることが分かりました。すると新規顧客の開拓には、メイクを楽しみたい、マスクをファッションとして取り入れたい方々をターゲットにしていくことが出来ます。
このように、ゼロパーティデータを詳しく分析することによって、既存顧客の満足度を上げるだけでなく、新たな需要の開拓にも利用していくことが出来るのです。
ゼロパーティデータの収集と活用がこれからの時代においてとても重要なことが分かったと思います。サードパーティデータなどの個人の同意を得ずに集められるデータは今後規制が加速していくことでしょう。
この時代の流れの中で、いかに新たなデータを集めてマーケティングに活用していけるかが、企業や商品が生き残っていくための鍵となります。ゼロパーティデータの収集にはコストがかかりますし、そのデータ数も多くはないといったデメリットもあります。
しかし、集まったデータは今後の企業の存続さえも左右していく本当に大切なものを含んでいるのです。これらの重要性を今のうちから理解して、積極的にデータを収集、利用していくことで新時代に乗り遅れることなく、お客様のニーズに応え続けることが出来ると思われます。
少しでも興味を持った方、また今後のマーケティングにゼロパーティデータを活かしたい!と思った方は、本記事を参考にしてゼロパーティデータの活用を進めてみてはいかがでしょうか?
【出典】
(髙村あゆみ)
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