マーケティングに用いられるデータに大きな変化が生まれています。eコマースの勢力拡大に加え、スマートフォンやタブレットの普及で消費者の生活様式が大幅に変わり、時間や場所に関係なく購買行動が行われるようになりました。さらにこれらの消費者行動は、モバイルデバイスを通じてリアルタイムに集められます。
時代の変遷に合わせて的確なマーケティングをするには、この大きな変化を最初に考慮する必要があります。しかし、それは簡単にはいきません。たとえば、リアルタイムに集積される購買行動のデータだけでも膨大なものになることは容易に想像がつくでしょう。これからのマーケティングには、膨大なデータ量を分析する能力と、多様化する消費者の動向を先読みする予測能力が求められるのです。
デジタルデバイスの多様化がもたらした生活スタイルの変化は、マーケティングにもうひとつ大きな流れを生み出しました。顧客との接点を多点で求める、オムニチャネル・マーケティングです。
かなり昔から、顧客と購買行動が多重になるマルチチャネル化については課題とされてきました。たとえば、直接店頭で買う、PCからインターネットにアクセスしてものを購入する、といった一連の流れをそれぞれに分けてマーケティングする方法です。現在では旅先から、あるいはリアル社会の店頭で買い物をしている最中でも、スマートフォンでネット通販ができます。このように購買行動が複雑化することを考えると、いくらマルチチャネルへ向かって情報を発信しても、顧客とすれ違う可能性が出てきます。そこで生まれたのがオムニチャネルマーケティングというわけです。
たとえばネット通販では、複数のサービス業者がさまざまな製品を販売していますが、支払いや商品の受け取り窓口としてコンビニエンスストアが活躍しています。スマートフォンで買っても、PCで自宅から注文しても、同じサービスが受けられます。さらにいうと、同じ顧客がコンビニエンスストアへ足を運ぶことで店舗の売上にも好影響があります。顧客との接点(受け皿)をコンビニエンスストアに集約したオムニチャネル・マーケティングの好例といえるでしょう。
こうしたオムニチャネルマーケティングの例は、今後も増え続けると見込まれており、サービスを提供する側の企業やマーケターはその対応を急がなくてはなりません。これまで以上にデータを重視し、顧客が求めているサービスの本質をさまざまな角度から分析する必要があるのです。
また、オムニチャネルマーケティングには欠点もあります。先ほどの例でいえば、コンビニエンスストアの店員の負担が大幅に増えるなど、事前に対応を考えておかないと導入が困難、あるいは失敗に終わるケースも出てきてしまいます。しかし、成功すれば大きなチャンスとなるはずです。これからIoTが活性化するにつれ、顧客やシステムがより多くのチャネルを持つようになります。オムニチャネル対応の考え方を今から作っておくことは、企業にとって必須の取り組みともいえるでしょう。
(企画・構成・デザイン:野島光太郎)
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