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マルチチャネルとオムニチャネルは異なる?Macy’sを救った「オムニチャネル」とは?

         

Amazonなどの大手ECサイトの高い販売実績が注目を集めて久しい中、実店舗が中心販路の百貨店やスーパー、小売店舗などが新たな販売経路をEC業界に求めています。

ECサイトを中心にした販売展開の高まりの中、マルチチャネルやオムニチャネルなど今までなかった新しい言葉・販売のしくみがクローズアップされています。一見、同じような言葉に見えるこの二つの言葉ですが、意味や、何を目標としているのかはそれぞれ異なります。

そもそもチャネルとは?

英語のChannelをカタカナ読みしたもので、「経路、水路、道」という意味を持ちます。

マーケティング分野においては、「企業側が顧客と持つ接点」という意味で使用されます。その接点の形には制限はなく、実店舗における接客や販売、ECサイトでの販売や質問応対、SNSやメールマガジン、チラシやイベントの展示など、販売側と購買側がなんらかの接触をすること、いわゆるタッチポイントの全てをチャネルと呼ぶことが可能です

ちなみに、なぜかマーケティング用語として使う場合はチャネルで定着していますが、テレビのチャンネルなどを示すChannelと同じ単語ですので、チャンネルと言っても間違いではないです。(あくまでも言語的な意味では、ということです。)

チャネルには大まかに分けて、1. シングルチャネル、2. マルチチャネル、3. クロスチャネル、4. オムニチャネルの4つの種類があります。

では、一つずつ見てみましょう。

シングルチャネルとは

シングルチャネルとは、販売側と購入側の接点が一つしかない状態です。

例えば、ネット販売などを一切行なっていない駄菓子屋さんへユーザーが直接出かけて行ってお菓子を購入する、などタッチポイントが一種類しかない場合をシングルチャネルと呼びます。

店舗のみ、またはネットショップのみの場合が最近では多いシングルチャネルとなっています。

マルチチャネルとは?

これに対してマルチチャネルとは、企業が複数の販売経路を持っている状態を示すものです。

マルチチャネルは各チャネルが独立して販売、顧客や在庫管理を行っている複数のチャネルがある状態です。例えば、実店舗、ECサイト、企業ホームページ、ソーシャルメディア、チラシ・パンフレット、カタログ通販、電話、FAX、メールなどにより、企業が顧客への多種多様なアプローチを行なっていることを意味します。

ですが、マルチチャネルの状態では、それぞれに関連性はなく、店舗は店舗、ホームページはホームページ、カタログはカタログの状態で、独立して機能している状態のことをマルチチャネルと呼びます。

クロスチャネルとは?

クロスチャネルは、マルチチャネルがさらに進化を遂げた状態です。

マルチチャネルの状態だと、例えば、店舗の在庫とECサイト用の在庫が一元管理されておらず、店舗にサイズがない、などの理由で販売機会を損失している可能性もあります。

クロスチャネルでは、それぞれのチャネルが連携しており、ネットで注文した商品を店舗で受け取れたり、店舗で商品を確認した後、ネットで注文したり、が可能となりました。クロスチャネルは、在庫管理システムやCRMの導入により、それぞれのチャネルの在庫状況がリアルタイムで離れた場所からでも確認することができるため、適切な在庫管理を行うことで機会損失を極力減らせるようにしています。

オムニチャネルとは?

この進化の最終形態がオムニチャネルです。

オムニチャネルでは、ユーザー側がチャネルの違いを意識することなく、サービスを活用したり、商品を購入したりできる状態です。

例えば、しばらく前に発売されたスニーカーの24.5cmの黄色のバージョンを探していたとしましょう。渋谷の店舗で在庫を確認してもらったところ、渋谷店舗の在庫は全て売り切れ。しかし、店員さんがシステム上で確認してくれたところ、横浜の店舗にはまだ1足在庫がある状態だったことが確認できたとしましょう。

選択肢として、うちに帰ってからサイト経由で購入することも、その足で横浜の店舗に出向いても購入は可能ですが、渋谷店舗で支払いを済ませ、郵送によって横浜店舗にあるスニーカーを受け取る、ということも可能です。結局、渋谷店舗で支払いを済ませ数日後にスニーカーを無事に受け取ることができました。

この流れが可能となっている状態が「オムニチャネル」です。ユーザー側は、ネットで購入しているのか、店舗で購入しているのかの違いを意識せずとも、希望するサービスや商品を受け取ることができるわけですから、ユーザーにとっても理想の状態と言えるでしょう。

Macy’sから始まったオムニチャネル

https://youtu.be/K20Fmq1BIKQ

オムニチャネルを最初に実用化させたのは150年の歴史を持つアメリカの老舗百貨店Macy’sでした。

2007年当時、小売業者は、店舗で見た商品をネットで購入する、といういわゆる「ショールーミング」に悩まされていました。そこで、Macy’sはRFID(radio frequency identifierの略で、ID情報を埋め込んだRFタグを使い、電磁界や電波などを用いた近距離の無線通信を可能にするもの)と呼ばれるタグを全ての商品に取り付け、実店舗の在庫とECサイトの在庫がリアルタイムで把握できるシステムを構築しました。また、店員にモバイル機器を持たせ、在庫の管理から他店との価格比較、商品のレビュー状況などが確認できるようにしました。店舗に在庫がない場合は、購入意欲が消えてしまう前に支払いだけ店舗で済ませてもらい、後日配送される、などのシームレスな連携プレーがオムニチャネル化することで可能となったのです。

オムニチャネル化することで、Macy’sは売上が40%増加しただけでなく、このデジタルトランスフォーメーションの成功により、2013年の春から2014年の春にかけて、Macy’sのブランド価値は383%向上したのです。

オムニチャネルのメリット

オムニチャネルは、4段階を経て進化しただけあり、メリットがたくさんあります。その一部をあげると、下記のようにまとめられます。

・統合されたコミュニケーションと分析で在庫の無駄を無くしつつ機会損失を減らせる。
・すでに顧客がいる場所でやり取りできるため、結果に結びつきやすい。
・全てのトランザクションからデータを取得できるため、個人個人を認識できる。
・この商品を買う人はこのブランドにも興味がある、など特定の顧客をターゲットできる。
・店舗、ECサイトなどの区切りに囚われずビジネス全体を統合できる
・それぞれのチャネルコミュニケーション管理することにより、どの顧客がどんな情報を欲しがっているのかを知ることができる。
・体験とサービスに焦点を当てた買い物が可能になるため、ブランドに対するファンが増やせる

このように、ビジネスが統合され、あらゆる角度からでも対応できるようにしておくことで、ビジネスを大きくするだけでなく、ビジネスをより強くすることが可能となり、それはブランド・バリューの向上にも確実に貢献してくれることでしょう。

(データのじかん編集部)


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