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ちょびっとラビット耳よりラピッドニュース #035:現世はパスワードが多すぎる… 高齢者を悩ませる「パスワード疲れ」とは?

         

まいどどうも、みなさん、こんにちは。

わたくし世界が誇るハイスペックウサギであり、かのメソポ田宮商事の日本支社長、ウサギ社長であります。みなさま、いかがおすごしでしょうか?いやぁ、しかし、驚きましたね。何かってそれはもちろん、先日の王将戦で後手の藤井聡太七冠が二手目に指した3四歩ですよ。これまで後手番になった公式戦258局全局において8四歩と飛車先の歩を突いていたのですが、ここに来ていきなり違う手を指すとは驚き桃の木マンゴの木でした。こうなったら、初手を指す前にお茶を飲む、通称「初手お茶」にも変化が見られる可能性も否定できません。そのうち、初手にんじん、とか、初手梅昆布茶とかになってるかも知れません。

さて、今回とりあげたいトピックは「パスワード疲れ」について、です。パスワードというのはみなさまもご存知の通り、あらゆるアカウントにログインする際に使われる文字列のことであります。「年々パスワードが増えてきたような気がする」と感じている方も多いかも知れませんが、これは決して加齢による心境の変化ではなく、実際に一個人が管理しているパスワードの数というのは増加する傾向にあるそうです。ちょっと調べてみたところ、とある企業の調査では、平均的な利用者が管理しているパスワード数はなんと191もあるそうです。

かつてはよく電話をかける友人の電話番号とかは暗記していたものですが、携帯電話に番号が登録できるようになるとすっかり覚えなくなり、自分の電話番号ですら怪しいことがある今日この頃ですので、自分が191ものパスワードを記憶し、必要に応じて思い出せるか、と言われると絶対に無理である、と自信を持って言えてしまうわたくしであります。このように現在でもすでに怪しい雲行きな上、この先、加齢とともに記憶力がさらに低下してしまえば、パスワードがあるものは基本的に使いこなせません、という状況になることも現実的に考えられます。これは、自分を守ってくれるはずのパスワードに攻撃されていると言っても過言ではない状態であり、ある程度の高齢になると免許を返納するように、パスワードも返納するような制度が必要になるかも知れません。

このパスワード問題は、もちろん日本だけの問題ではなく、世界共通の問題となっています。アイルランドにあるMunster Technological Universityの研究者が2025年2月に発表した論文“I’m 73, you can’t expect me to have multiple passwords”: Password Management Concerns and Solutions of Irish Older Adultsがその確固たる証拠となっているかと思います。このタイトルからして、「私は73歳であり、複数のパスワードを管理できる能力があると思ってもらいたくない:アイルランドの高齢者のパスワード管理に関する懸念と解決策」となんだか切実に訴えかけるものがある内容となっております。

気になるその内容ですが、アイルランドの59歳から86歳の高齢者37人にインタビューを行い、パスワード管理に関する認識やパスワードの管理方法などを調査したものとなっています。その時にインタビューに応じた73歳の方が「私は73歳であり、複数のパスワードを管理できる能力があると思ってもらいたくない」と述べたセリフがそのままこの論文のタイトルとなっており、複数のパスワードを使いこなさなくてはならない現代社会の状況が高齢者にとって大きなストレスとなっていることを象徴しています。一見すると、73歳の研究者が発表した論文なのか!と思ってしまいそうですが、そういうわけではないみたいです。

このインタビューが行われたのは2024年で、1人あたりが管理しているアカウント数の平均は168アカウントでした。つまり、これは168のパスワードを使いこなす必要があることを意味しています。ちなみに2020年と比較して、68%ほどアカウント数が増えていたそうですので、5年間でそれだけアカウントが増えたってことになります。やはり妄想ではなく現実的に増えていらっしゃったのですね。神様仏様アカウント様。。。

そして、各個人がどのようにしてパスワードを管理しているのか、についても質問しており、昔ながらの物理的なノートに書き込む方法などのほかに、電話に連絡先としてパスワードを登録する、あるいはメールで自分に送信しておく、などの方法を採用している人が多かったようです。中にはデスクトップに「ゴミ箱」という名前のフォルダを作成し、そこにパスワードを保管している、という風変わりな方法もあったようです。しかしながら、物理的にノートに書き込む方法は物理的であるがゆえに物理的にノートを紛失してしまう危険性もあり、物理的紛失による情報漏洩が起きてしまった際のリカバリーが非常に大変になるリスクを秘めておりますし、このパスワードにしよう、とまずusagi1984などとノートに書き込んでからそのパスワードを登録しようとすると、数字と記号とアルファベットの大文字もパスワードに含めた上で8桁以上、などの制約があったりして、では、別のパスワードにするか、とUs@gi1Q84などに変えて登録したはよいけれど、後日どれが正しいパスワードなのかノートを見てもわからないのでパスワードをリセットして再登録する、を繰り返した結果、ノートで管理する制度が崩壊する、というのもわたくし自身体験済みあるあるであります。この調査によると、手書きノートによる管理を行っている人が63%、携帯電話の連絡先として登録する方法を採用している人が19%だったそうです。わたくし的には携帯電話の連絡先率が高くて驚きでした。



数だけでなくややこしさまでをも増していくパスワード管理ですので、もうここはパスワード管理ツールを使用するしかない、とわたくしような記憶力に自信のないウサギはさっと諦めの境地に達して思うわけですが、なんと高齢者の89%がデジタルパスワード管理ツールの使用を断固として拒否しており、そんな得体の知れないものにワシの大切な情報を預けることなんてできるか、という確固たる意志をここでは表明していらっしゃるそうです。そして、これらの一連のことが面倒である、ストレスフルである、と感じた結果、「安全よりも利便性を優先」してしまう人が多く、その結果、パスワードの使い回しや、パスワードをpasswordや123456などの単純明快シンプルそのものなものにしてしまい、セキュリティがあるのかないのかもはやわからないような状態になっているアカウントが山ほど作成されている、というのが2025年現在のパスワードをめぐる世界情勢となっているそうなのです。ああ、なんと悩ましい。世の中便利になっているのかそれとも複雑化して不便になっているのか、どっちなんだいって気にもなりますが、これがなかなかの難題であることは確実であります。

そして、今後も当然のような顔をしてパスワードは複雑化し、アカウント数は増えることでしょう。わたくしたちはパスワードの守られているという妄想を抱え、アカウント管理地獄へと続く高速道路を最高速度で直進しているだけのかも知れません。オンラインバンキングや投資口座のアカウントなどお金を扱うところは特に2段階認証、2要素認証などの方法を導入するサービスが増えてきてはいます。ログインするたびにSMSにワンタイムパスワードが送られてくるシステムも一般的になりつつあります。しかし、どれもこれも結局どこかしら不完全な印象は拭いされない状態であるようにわたくしは感じております。顔認証や指紋認証などの生体認証も少しずつでは増えてきており、今後はこれらを組み合わせたものが主流になってくるのではないかとわたくしは推測しておりますが、もしかしたらもっと良い方法があるのかも知れません。ちなみにわたくしが通っておりますスポーツジムは顔認証で扉が開錠されるので、カードを忘れる、などのリスクがなくなかなか便利なものであると感じておる今日この頃です。そんなわけで、今週はパスワードにまつわるあれこれについてピックアップしてきました。もうこれ以上パスワードが増えませんように。。。

そんなわけで、また来週お会いしましょう。ちょびっとラビットのまとめ読みはこちらからどうぞ!それでは、アデュー、エブリワン。

(ウサギ社長)

 

参照元

・「フォルダ名をゴミに変更」「電話の連絡帳に登録」――アイルランドの高齢者のパスワード管理法が“独特”すぎた | IT media NEWS ・もはや気休めに過ぎないパスワードにいつまで頼るのか | PC-Webzine ・“I’m 73, you can’t expect me to have multiple passwords”: Password Management Concerns and Solutions of Irish Older Adults | Munster Technological University

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