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クラウドサービスの例:企業、個人で活用されているクラウドサービスを紹介

         

最近よく耳にする「クラウド」とはどういったものかご存じでしょうか?

筆者の私は以前、クラウドの土台となっているネットワーク機器の開発に携わっており、不特定多数の中継機器や通信ケーブルが素性の分からない「雲」のような概念であることから、端末と端末との間を雲でつないだ図でネットワークを設計していました。

「クラウド」とは、世界中に網の目のように敷かれているWANと企業や施設に敷かれているLANによる情報機器同士の通信とそれによって利用できるアプリ、ITツール、サービスなどを指します。

昨今では個人はスマホ、企業はパソコンといった情報機器に多くの人が触れており、そこで利用できるアプリやITツールは、個人の生活の質や企業の業務効率の向上を実現してくれています。

クラウドサービスとは?

「クラウド」はネットワークやインターネットでパソコンやスマホ同士が繋がる技術だけでなく、それによって利用できる「サービス」そのものを示す言葉としても使われています。

後者に関してはインフラや機器といった技術領域との混同を避けるため、「クラウドサービス」と呼ぶことが多く、これらはクラウド事業者が提供しています。

サービスとしてのクラウドは、

  • ●アプリ、ITツールそのものの利用
  • ●任意のアプリ、ITツールを動作させる環境の利用

に大別され、前者はパブリッククラウド、後者はプライベートクラウドとしてクラウド事業者は提供しています。

クラウドサービスの概略については以下の記事で紹介していますので、詳しくはこちらをご参照下さい。

クラウドサービスが注目される理由

クラウドサービスは、

  • ●情報端末機器(PC、スマホ)とインターネット環境があれば簡単に利用できる
  • ●無料、もしくはサブスクリプションの料金形態なのでリーズナブル

といった特徴を有しており、様々な機器(ストレージ、家電)にも代替してくれるので、生活の利便性の向上、娯楽手段として個人の間で注目が高まり続けています。

企業においても、

  • ●手作業の脱却、リモートワークの実現
  • ●データ活用による業務効率の改善、成功率の高い経営判断
  • ●設備費、保守費、人件費といったコストの削減

といった従来の「働き方改革」や昨今の「新型コロナの感染対策」とも方向性が一致しており、ビックデータ・AIを駆使したDX化の構想に多くの企業が「クラウドサービスの活用」を掲げています。

生活の利便性の向上、企業の負担の軽減をクラウドで実現するソリューション、システム、サービスはまだまだ発展途上の段階で、現状、あらゆるモノを情報端末機器のディスプレイに集約する動きが活性化し続けています。

クラウドサービスのタイプ

クラウドは、WANとLANという網(ネットワーク)の上にあるクラウド事業者のサーバーが提供するサービスですが、利用する側の目的・用途に沿えるよう、クラウド事業者は、サービスをタイプで分類した形で提供しています。

個人の場合、既に完成されたソフトウェア、企業の場合、それに加えて、自社が独自に作ったプログラムを実行するための実行環境、もしくは機器・インフラ・サーバーと用途や目的によって利用範囲が異なるからです。

企業の場合、以下に紹介するSaaS、PaaS、IaaSを用途に応じて組み合わせて使用しますが、個人の場合、大半の方はアプリとして提供されているSaaSのみの利用になります。

SaaS(サース:Software as a Service)

クラウドで利用するアプリケーションソフトを提供するサービス

PaaS(パース:Platform as a Service)

アプリケーションソフトを稼働するためのデータベースやプログラム実行環境を提供するサービス

IaaS(イアース:Infrastructure as a Service)

情報システムの稼働に必要な仮想サーバーやハードディスク、ファイアウォールといったインフラを提供するサービス

クラウドのタイプについては以下の記事で詳しく紹介していますので、詳しくはこちらをご参照下さい。

クラウドのメリット・デメリット

クラウドは個人や企業に多くのメリットをもたらしてくれますが、どうしても拭うことが出来ないデメリットもあり、導入にあたってはこれらを十分に熟慮しておく必要があります。

また、クラウドサービスはオンプレミス型、パブリッククラウド・プライベートクラウド、タイプ(SaaS・PaaS・IaaS)など、様々な形態で提供されているため、現状、どの形態でアプリやITツールを運用しているかによってメリットやデメリットも変わってきます。

クラウドのメリット

  • ●目的に応じたサービスが選択でき、生活の質(個人)や業務効率(企業)の向上を実現
  • ●簡単に導入でき、保守、運用の負荷を軽減
  • ●災害やトラブルによるデータ損失のリスクを回避

クラウドのデメリット

  • ●初期導入、年間保守といったコストの発生
  • ●クラウド事業者側の制約下のサービスのため、自由度に限りがある
  • ●セキュリティやサービス停止のリスク

クラウドサービスのメリット、デメリットについては以下の記事で紹介していますので、詳しくはこちらをご参照下さい。

企業で活用されているクラウドサービスのジャンル

クラウドサービスのジャンルとは、用途や目的に応じたサービスの分類のことを指します。

企業向けのものとしては、コンピュータリソース、ストレージ、データベースサービス、ネットワーク、アプリケーション開発・運用管理・セキュリティ・機械学習・IoT・モバイルなどがパッケージされたGCP(Google Cloud Platform)、AWS(Amazon Web Services)、Microsoft Azureがその代表格です。

【データのじかん】を運営するウイングアーク1stでは、企業のデータ活用を支援するBI製品、ITツールを提供しており、用途に特化した形態でも企業向けのクラウドサービスとして提供しています。

企業の場合、顧客・従業員が利用するアプリ、ITツール、サービスの提供を目的にクラウドサービスを導入するケースも多いため、多くの個人に活用されているSaaSだけでなく、PaaS、IaaSといったタイプも併せて活用されています。

企業向けのPaaS、IaaSといったクラウドサービスの詳細はまた別の機会として、ここでは主に従業員が業務で使用するSaaSのクラウドサービスについて紹介します。

コミュニケーション

主に従業員同士、顧客とのやり取りに使用します。

テレワークが進む昨今では、SNSやメールを中心としたコミュニケーションでは効率が悪いため、リアルタイムに音声と動画でやり取りができるテレビ会議を利用する企業が増え続けています。

グループウェアとは企業の従業員同士の連携に必要なチャット、IP電話、Web会議、スケジュール、ファイル・画面共有の機能を統合したITツールのことでネクストノーマルな働き方を支援するツールとして脚光を浴びています。

  • ●SNS
  • ●Webメール
  • ●テレビ・Web会議
  • ●グループウェア
  • ●名刺管理ツール

データ共有

企業の業務で使用するデータをクラウド上に置かれたデータサーバーに保存するサービスです。

Windowsのエクスプローラーで使用するものや、クラウドツールを介して同一名ファイルをバックアップした時点のバージョンで閲覧できるものなどがあり、データを消失するリスクの回避、データ管理の効率化を実現してくれます。

  • ●オンラインストレージ
  • ●バージョン管理システム
  • ●文書管理
  • ●EDI(電子データ交換システム)

バックオフィス

企業の経理・人事・管理部門の業務を支援するサービスです。

クラウドを介すことで各従業員の業務を共有することが出来るようになり、業務プロセスの構築、フォーマットの策定といった負担の高い作業を軽減し、業務効率を大幅に高めてくれます。

これらのツールを企業内のネットワークだけでなく、VPN通信を導入して企業外、即ちテレワークで利用する企業が増えています。

  • ●勤怠管理システム
  • ●人材管理
  • ●採用管理
  • ●オンライン学習(e-learning)

ビジネス

企業に利益をもたらす経営戦略、マーケティング、営業活動等を支援するサービスです。

スタンドアローンな情報機器では利用できないビッグデータやAIで膨大な量のデータの集計と分析を自律的に実行し、判断や意思決定に有用な情報を”見える化”してくれます。

これまで企業の経営戦略の策定において、勘や経験に依存しがちでしたが、選択肢とトレードオフで意思決定するデータドリブンのプロセスの有用性が多くの企業で広まり続けています。

業務効率化改善

情報化の発展に伴い企業が取り扱うデータの種類・量は膨張し続けており、多くの企業ではこれらの処理、管理に苦慮しています。

企業の異なるシステム同士の連携によるデータの共有は、人の目で気づきにくいチェック・監視、自動化などを実現し、業務の効率を大幅に高めてくれます。

  • ●ERP(基幹システム)
  • 帳票業務
  • ●在庫・生産管理
  • ●プロジェクト管理・工数管理

宣伝・広告

企業の販促活動に欠かせない宣伝・広告のサービスもクラウドサービスで提供しています。

自社の製品やサービスを紹介するためのホームページや直販するためのECサイトは不特定多数のインターネットユーザーを見込み客にできるため、多くの企業がWebサーバーのサービスを活用しています。

リピートを目的とした特定顧客へのダイレクトメールの自動配信は宣伝・広告活動の負担を大きく軽減してくれます。

  • ●サイト運営
  • ●メール配信システム

セキュリティ

クラウドに繋がった情報機器は常にウイルスやスパイウェアといった脅威に晒されています。

OSやシステムのセキュリティホールを突くウイルスやスパイウェアは常に新しいものが登場しており、情報漏洩やシステムの損傷から守るためにクラウドに対応したセキュリティ対策は必要不可欠です。

  • ●ウイルス対策
  • ●ネットワークセキュリティ(WAF)

ウイルス対策は、個人のPCでも必要不可欠ですが、企業の場合、機密性の高い情報を取り扱っているため、より堅牢性の高いサービスを導入しています。

個人で利用できる人気・おすすめのクラウドサービス

個人向けのクラウドサービスとしては主に生活の利便性向上、エンタメ、副業支援といったものが多く、従来のソフトウェア購入ではなく、無料、もしくはサブスクリプションにて提供されているため、比較的リーズナブルに利用することができます。

個人向けのものはプライベートで使用するSNS、メール、データ共有(バックアップ)、データストレージ、ビジネスソフトなどが人気を集めています。

ここでは、GoogleをはじめメジャーなIT企業とその企業が提供しているクラウドサービスを紹介します。

Google

ワールドワイドな検索エンジンで有名な“Google”は、インターネット環境と情報端末(PC、スマホ、タブレット)とブラウザで利用できる様々なサービスを提供しています。

クラウドメール(Webメール) ・Gmail
オンラインストレージ ・Googleドライブ(ファイル)
・Googleフォト(写真用)
ビジネス関連 ・Googleカレンダー(スケジュール管理)
・Googleドキュメント(文書作成)
・Googleスプレットシート(表計算)
・Google翻訳
配信 ・Google Play Music(音楽)
・Google ビデオ(動画)
・YouTube(動画共有)

icloud

AppleのiOS搭載デバイスであるiPhone、iPad、MacBook同士を相互に連携させるクラウドサービスです。

ブラウザでも利用が可能ですが、アプリとして機能毎に提供されており、Appleユーザーであれば、誰もが使用しているクラウドサービスです。

コミュニケーション ・メッセージ
・メール
・探す(位置情報共有)
オンラインストレージ ・フォトストリーム
・iCloud Drive
・バックアップ
ビジネス関連 ・カレンダー
・メモ
・リマインダー
・Pages(書類)
・Numbers(プレゼンテーション)
・Keynote(表計算)
・連絡先
・iCloudタブ(検索キーワード共有)
・iCloudキーチェーン(アカウント、パスワード共有)
配信 ・iTunes(音楽、動画、書籍)

Microsoft

マイクロソフトが提供しているクラウドサービスのラインナップは、個人から企業まで幅広く網羅しており、個人向けとしては、グループウェアであるMicrosoft 365(旧Office365)が人気を集めています。

Excel、Word、Power Pointといった従来のオフィス製品がクラウドベースとなったことで、ますます使いやすくなっています。

コミュニケーション ・Outlook(メール、スケジュール)
・Skype(無料通話、チャット)
オンラインストレージ ・OneDrive for Business
ビジネス関連 ・Teams(リモートワーク)
・Web用Word(文書作成)
・Web用Excel(表計算)
・Web用PowerPoint(プレゼンテーション)

Amazon

アマゾンは、ECサイトの最大手で、個人向けには、エンタメ(動画、音楽、書籍)などの配信サービス、データストレージといったクラウドサービスを提供しています。

ECサイトを利用しての個人の販売サービスも人気を集めています。

オンラインストレージ ・Amazon Cloud Drive
配信 ・Kindle Unlimited(書籍)
・Amazon Prime Video(動画)
・Amazon Prime Reading(書籍)
・Amazon Prime Music(音楽)

Yahoo!Japan

日本で人気の検索サイトで、主にウェブブラウザで利用できる販売、情報提供などサービスを提供しています。

多くのサービスのうち、スマホ向けのものはアプリで提供しているため使い勝手がよく、アカウントを切り替えることで複数のデバイスで情報を共有しながら利用できます。

コミュニケーション ・Yahoo!メール
・Yahoo!知恵袋
オンラインストレージ ・Yahoo!かんたんバックアップ
・Yahoo!ボックス
ナビゲーション ・Yahoo!天気
・Yahoo!カーナビ
・Yahoo!MAP
・Yahoo!乗換案内
ビジネス ・Yahoo!カレンダー
配信 ・GAO!(動画)
購入・販売 ・Yahoo!ショッピング
・ヤフオク!

まとめ

今回は、クラウドの概略と個人、企業におすすめのSaaS系クラウドサービスをジャンル毎に紹介しましたが、その内容とこれらが個人、企業の双方に注目される理由をご理解頂けたでしょうか?

最後に今回紹介させて頂いた要約をまとめとして、以下に記載させて頂きます。

  • クラウドサービスは、ネットワーク、インターネットを介してクラウド事業者、ツールベンダーが提供するアプリ、ITツール、サービスなどのことで個人、企業問わず様々な人たちに活用されている

  • クラウドサービスの種類は、SaaS、PaaS、IaaSといったタイプと利用用途、対象を示すジャンルで区別される

  • クラウドサービスには、個人向けと企業向けがあり、クラウドのタイプとしては、企業はSaaS、PaaS、IaaSを用途や目的に応じて組み合わせて利用しており、個人は主にSaaSを利用している

  • クラウドサービスのSaaSのジャンルは、提供側も発展途上の開拓状態で、様々なモノを情報端末のディスプレイに置き換えたシステム、ソリューション、サービスの登場が今後も見込まれている

 

 

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