高須正和×大川真史対談 21世紀の産業革命はメイカームーブメントの先にある | ページ 3 | データで越境者に寄り添うメディア データのじかん
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高須正和×大川真史対談 21世紀の産業革命はメイカームーブメントの先にある

         

自分で作ったものを売る

高須 – ものを売るという行為は、面倒くさいんですよ。特に、日本でものを売るのは超面倒くさい。一方、中国のクラウドファンディングはおもしろいですよ、ほんとに。普通のものが十分おもしろいんですよ。

大川 – 普通のものが十分おもしろいのか。

高須 – たとえば、シャオミ[9]が出資したスタートアップの1個なんですけど、Populeleという7000円くらいのインテリジェントウクレレというのがあるんですよ。

大川 – どういうことですか。聞いたことのない言葉ですね。インテリジェントウクレレ。

高須 – 楽器としては普通のウクレレです。ちゃんと弦が張ってあって電源を入れなければ普通のウクレレとして使えます。電源を入れると、指板に入っているLEDがスマホと連動して、押さえる指板が光るんです。スマホで音を聞かせると、チューニングもやってくれて。スマホの画面にタブ譜が出て、音ゲーみたいな感じでこんな風に押さえて。曲が終わるとPerfectとか出て。

大川 – ダンスダンスレボリューションとか太鼓の達人みたいじゃないですか。

高須 – LEDと連動して伴奏もしてくれて、タイミングと音の大きさ測ってくれて。演奏が上達する。7000円くらい。うまくなったら電源入れずにそのまま弾けます。ホンモノのウクレレなんで。

大川 – これを教育アプリですというわけでもないわけですよね。スマートウクレレですね。これを日本の楽器メーカーがなぜ作れないのかですよね。アイデアは思いつくでしょうけどね。

高須 – これは北京のベンチャーが作ってます。ギターもあるけど、ウクレレが売れてるらしい。

大川 – このレベルまで来てるんですね。これ、メイカーフェアに出てるものと全然次元が違います。それで7000円は安すぎますね。

高須 – こういうのがゴロゴロ売られているんですよ。

大川 – やばいな、なるほど。深センに行ったときに感じた感覚と、結局一緒。勝ち目ないじゃんっていう。

高須 – 先日僕が買った、ルンバとブラーバ[10]を足したやつとかも、極まってるんですよ(笑)。1台でゴミ吸うタンクと水掃除のタンクを取り替えて両方で使える。オートマッピング機能で部屋の形を把握して、モップやバキュームそれぞれ別の動きをするんです。あの辺はきちんとロボット開発をやってるなという感じがします。これは約3万5000円。

大川 – そうですよね。それができない理由がないんですよ、今までの産業構造のなかで。日本もやってきたはずなんです、90年代くらいまでは。急にやんなくなっただけで。何がどう足りないんだろうか。

高須 – そんなにすぐに変わるはずもないので、僕はやれる範囲で、身の回りの資本主義を増やしていくしかないと思ってて(笑)。シャオミがまともに日本で家電を売り出すと、日本の家電メーカーはびっくりすると思うんですけど。でも出てきたほうがいいと思います。ぶっちゃけ、日本は面倒くさいから来ないだけなので。

自分で作ることの重要性

高須 – 今は大企業でも、一般職の採用をしていませんよね。

大川 – R&Dとマーチャダイジングだけですね。

高須 – つまり一般職という人間は必要なくなってきているということですよね。

大川 – 非正規の人間を雇えるようになってから顕著になってきましたね。非正規の人の仕事が明らかに人以外にシフトしているという感じです。

高須 – Excelが偉いのかグループウェアが偉いのかはわかりませんが、人がやっていたことを機械がやっている。同じことがハードウェアの世界でも起きていて。これまで面倒くさすぎて、そもそも触ることがビジネスにならなさすぎたハードウェアは、逆に触んないと仕事にならない、つまり面倒くさいことこそが最後の人間の仕事になってくると思われるので、いまだに機械化が通用しづらい世界ですよね。

大川 – 2000年代前半の日本の製造業って、サプライチェーンマネージャーみたいな人が偉かった時期があって。

高須 – 今でもめちゃめちゃ偉いんですけど(笑)。

大川 – サプライチェーンマネージャーが偉いっていうのも製造業としておかしいだろうみたいな感覚です。

高須 – エンドユーザーサプライチェーンマネージメントみたいな感じになってくるんだと思うんですね。データベースアドミニストレーターみたいな仕事が、今はあまりないわけじゃないですか。で、もちろん大きなクラウドは専用のアドミニストレーターを取るんですけど。そう言いながら、今だと1プロジェクトにつき1つの大規模WEBサービスくらいのイメージじゃないですか、ワンビジネスワンクラウドみたいな。そうすると全部にアドミニストレーター置いているかというとそうでもないんだけど、クラウド側も偉くなって、一応それなりにアドミニストレーションができるようになってますよね。たとえば、HTML書くのとか、外注に出さないで内部でできる人がちょっと修正するくらいはやるじゃないですか。同じようにハードウェアに関しても、ちょっとは内部の人がやることになるんじゃないかなと思っていて。

大川 – プログラムをゴリゴリに書けなくてもいいけど、読み書きそろばんのレベルでできないとおかしいっていう世の中に多分なるんだと思います。ハードウェアも同じなんでしょうね。それは我々より上の世代にしてはきつい話なのかもしれないですし。

高須 – 仕事そんなに変わんないですからね、言ってもね。

 
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本質的に正しい中国のIoT

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