2018年9月6日(木)7日(金)の2日間にわたり、未来の経営と働き方に出会うEXPO「Future of Work Japan 2018」が虎ノ門ヒルズにて開催されました。
こちらの記事では9月7日(金)に開催された、株式会社刀代表取締役CEOの森岡毅氏の講演「ビジネスを成功に導くマーケティングが機能する組織とは」をレポートします。
森岡氏は、わずか数年で経営危機にあったUSJを再建し、その使命完了後、マーケティング精鋭集団「株式会社刀」を設立、マーケティングによる日本の活性化に邁進しています。
まず森岡氏は「私のビジネスにおけるアプローチ方法は、『売上をあと20%増やそう』と考えたとき、そのビジネス関数を作ることです。一見偶然と思われる現象でも、本質的な法則を見つけて数式に落とし込む。ビジネスはブラックボックスではなく、関数です」と語りました。
「『商品を売る』のは営業の仕事、『商品を売れるようにする』のがマーケティングの仕事です。マーケティングとは、市場価値を見出し、価値を付けて売れる仕組みを作ること。マーケティングが成功すると、消費者が自社のブランドを選ぶ確率が上がります。この『確率を上げる』ことが何よりも大事」と森岡氏は強調しました。
森岡氏は「狭い意味でマーケティングを捉えている人が多い。『ここまでがマーケティング部の仕事』と区切ってしまうスコープが狭い会社では、マーケティングが機能しない」と苦言を呈します。
森岡氏は「正しいマーケティングは研究開発の前から始まっています」と指摘。商品とはプロダクト(Product)であり、マーケティングにおける“4P”の筆頭であるにも関わらず、研究開発がマーケティングの外で行われている会社が数多く存在します。森岡氏は研究開発に良い仕事をしてもらうためにも、マーケティング戦略の下で機能させるべき、と主張しました。また、CMOの役割については「マーケティング最終責任者として、研究開発とマーケティングをブリッジさせ、トータルでマーケティングシステムを管理し、経営者をサポートすること」とし、その重要性についても説明しました。
こうした前提を踏まえて、森岡氏はUSJで行った組織改革の事例を紹介。
森岡氏が理想とする組織は感知、判断、行動がシームレス連動し、統合された動きをする「人体」である。「人体は、長い環境変化に適応するために進化した。
企業が抱える命題と全く同じです」と語ります。停滞する組織で課題になっているのは、社員同士が議論をしない、年功序列が強く情報が行き交わないなど、神経の伝達回路が機能不全に陥っている点であると指摘する。
「集客を作るための関数は『組織』であり、『組織』の最強かつ最重要要素は『人』です。組織において、人をどう動かすか、どう能力を引き出すかがマーケティング戦略の根本。成長している企業は、全員が必死で働いている。人は放っておくと自己保存に走って楽をしてしまうので、そうならない評価システムを作り、企業の目的に対して全員が必死にならざるを得ないようにする。それを実践した結果、USJはV字回復を果たしたのです」。
USJ再建後、森岡氏が立ち上げたマーケティング精鋭集団「刀」が目指すのは、マーケティングの力で、日本を元気にすること。企業の成功のドライバーであるマーケティングを発揮するため、その最大のチャレンジは組織改革にあると強調しました。
人びとの行動の本質を見極め、マーケティングが機能する組織づくりをとことん追求する森岡氏。その姿勢は、組織を変え、新たな改革を起こしたいという人に示唆を与えてくれました。
(TEXT:伊藤七ゑ PHOTO:Inoue Syuhei 編集:野島光太郎)
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