良品計画はどのように“勝つ構造”を手に入れたのか?松井忠三氏が明かす“100%実行力”の作り方 | ページ 2 | データで越境者に寄り添うメディア データのじかん
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良品計画はどのように“勝つ構造”を手に入れたのか?松井忠三氏が明かす“100%実行力”の作り方

         

“みんな”で作る人間らしさのある施策─MUJIGRAM

“みんな”で作る人間らしさのある施策──MUJIGRAM

社外からヒントさえ得られれば、社内の改革は可能です。しかし、営業会議でそれを決めても、全店舗でそれを「実行」することはなかなか難しいのが実情です。一般的に、組織の情報が末端のパートやアルバイトの人達にまで伝わる割合は全体の2から3割程度と言われています。そこで全社、全店舗、全店員が業務内容を共有し、同じ質を維持できる仕組みとして作ったのが約2,000ページにおよぶ業務マニュアル「MUJIGRAM(ムジグラム)」です。
マニュアルが浸透すると無駄な社内交渉に費やす時間や迷う時間がなくなり、仕事を減らすことにつながります。「マニュアル」ならどこにでもあると思われるかもしれません。しかし、従来のマニュアルには、決定的な欠点がありました。それは、作られた時が最終形であることです。そのため現場の課題が変化し、業務対応が変化してしまうと誰もマニュアルを開かなくなります。また店舗ごとの属人化へ逆戻りです。

「MUJIGRAM」は、業務マニュアルですが、日々刷新されていきます。各店舗からの日々の業務に応じた変更案が提案され、エリアマネージャーが取りまとめ、月に1回の店長会議で説明・配布され、最新の「MUJIGRAM」が全社、全店、全店員で共有されます。新入社員はもちろん「MUJIGRAM」で研修を受けますし、配属された店舗では上司も同僚も同じ働き方をしています。変更があれば、それも共有し、全員が100%実行できる。よく「2,000ページのマニュアルをどうやって徹底しているのか?」と驚かされますが、各人が仕事をする上で読み、迷ったら確認し、誰かに教わらなくても「MUJIGRAM」から学んでいるだけなのです。

業務のノウハウを優秀な個人の暗黙知に留めずに、PDCAを回すことで形式知として全体に共有するナレッジマネジメントの必要性は、誰もが認めるところでしょう。しかしP(計画)とD(実行)はできても、C(評価)とA(改善)はなかなかできない。「MUJIGRAM」はこのCとAをだれもが“実行できる”そして全体で共有できる仕組みなのです。「MUJIGRAM」によって、仕事は教わるものではなく、自ら学び考えるものとなり、「人が育つ」環境も生まれたのです。

“100%実行”を企業体質にする─新たな社風の作り方

“みんな”で作る人間らしさのある施策──MUJIGRAM

現在、日本全体の課題でもあるホワイトカラーの生産性向上に必要なものは何か? それに関わる話をしましょう。「実行以上に大切な物はない」が私の哲学。そして「実行する」ために必要なのは自主性です。私は「ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)」は役に立たないと思っています。そこには自主性が育たないからです。仕事の仕方が分かったら、あとは本人が自由にやればいい。唯一大事なのは「いつまでにやるか」だけです。やらない、やり遂げない限りは生産性が上がらない。「実行力」を上げることが生産性を上げる。大切なのは「自主性」と「実行力」の2つです。日本では、ながらく終身雇用制が続いたため、企業に所属してさえいれば暮らしてこられました。そこに「必ずやる」「やり切る」という“哲学”が必要だと私は考えました。それを言葉にしたのが「実行以上に大切なものはない」なのです。

社員が毎朝出社してPCを立ち上げると、やるべきこと、そのデッドライン、進捗状況が画面に表示されすぐに把握できます。良品計画ではこれを「朝礼メニュー」と呼んでいます。本部から現場に届かない通達をむやみに数多く出すのではなく、必要な人に情報が確実に伝わる仕組み。それもまた「実行力」を上げるためには大切です。

そして最後にもうひとつ。業務を改革し、新たな社風を作るためには、現場の社員の自主性にまかせているだけでは足りません。まずは、上に立つものが率先してやってみせる。そして、はじめたら続けること。そうすれば習慣化し、新たな社風になります。社風になるまで続けることができるかどうかは、上に立つものの覚悟しだいです。「100%実行」の企業体質を実現するためには、その覚悟が必要不可欠なのです。

──併せて、“100%実行”そして確実に成果を出す企業体質に向けてのを高めるソリューションが紹介された。

実行力を高めるための具体的なソリューションについて語った株式会社リンコム細野文孝氏

実行力を高めるための具体的なソリューションについて語った株式会社リンコム細野文孝氏

良品計画が取り組んだ「企画中心から実行力中心」への業務改革。

同じく実行力が低いと悩む企業にとって大事なことは、店舗に対して出される業務指示や連絡・共有事項による情報洪水を解消し、本来やるべき業務の優先順位をはっきりさせ、その実行状況を必ずチェックをすること。業務改革(実行力アップ)を実現するための店舗支援システム「店番長」を提供する株式会社リンコムからPDCAのCとAを確実に実行することの重要性が語られた。

 
負けた構造を勝つ構造に作り変える─他社にヒントを求める
その“実行力”は質を伴っているか?

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