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みなさんは、「ITパスポート試験(iパス)」をご存じでしょうか?
2022年4月に7歳の合格者が現れ、最年少合格者記録を1年5カ月ぶりに更新したというニュースで知った方も多いかもしれません。また、最近ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やテクノロジーの急速な進化に伴い、ビジネスの現場でのIT知識の重要性が高まっています。このような背景から、ITパスポートはIT系国家試験の筆頭として注目され、多くの方が将来に向けてITの知識を身につけるべく受検を検討しています。今回は、そんなITパスポート試験の魅力や勉強法について詳しく解説していきます。
ITリテラシーやビジネス知識を学びたい方は「データのじかん」のコンテンツをぜひお読みください。「データのじかん」は、テクノロジーやデータで、ビジネスや社会を変え、文化をつくりあげようとする越境者のみなさまに寄り添うメディアです。
ITパスポート試験「ITと経営全般」に関する基礎知識が問われるCBT(Computer Based Testing)方式の資格試験です。全国のテストセンターで受検することができ、試験時間は120分。年間を通じて、隔週や週1回といったテストセンターごとのペースで開催されており、申込日の翌日~3カ月後までの範囲で希望日を指定して予約することが可能です。
実施者であるIPA(情報処理推進機構)より、7歳の合格者がでたことが2022年4月のプレスリリースで発表され、話題となりました。
その他の試験の基本情報については、以下の表でご確認ください。
合格基準 | (1)総合評価点:600点以上/1,000点(総合評価の満点) (2)「ストラテジ系」「マネジメント系」「テクノロジ系」の3つの分野別評価点が全て:300点以上/1,000点(分野別評価の満点) |
出題数 | 100問 |
出題形式 | 四択から一つの選択肢を選択 |
合格率 | 50%前後 |
受験資格 | なし |
受験料 | 7,500円(消費税込み) |
申込 | ITパスポート公式Webサイトから※郵便、電話、FAX等は不可 |
※2023年10月31日時点。
ITパスポート試験は、ITに関する基礎的な知識を問われる試験です。そのため、ITの知識が少ない初心者にも取得しやすい難易度と言えます。
国家試験の中では試験の合格率が50%前後と比較的高く、しっかりと勉強すれば合格できるでしょう。
また、ITや経営に関する基礎的な内容が問われるため、学生よりも社会人の方が有利です。いつの間にか身に着いていた知識でも、ある程度解けるでしょう。
しかし、合格するには勉強が不可欠です。難易度が高くないからといって油断しないようにしましょう。
ITパスポートはITにまつわる試験の中でも最も初歩的なものであり、問われる内容は“幅広く、かつ平易”という印象です。令和3年度のデータによると、iパス受検者のうちIT企業に勤務する人は3万6,177人、非IT企業従事者は12万6,416人。この差に表れているように、非IT企業従事者がITについての素地を得るという動機で受検するケースが多いと考えられます。
なお、業種では金融・保険業、不動産業の受検者が突出して多く、令和3年度は5万9,557人と前年比320.9%の増加となっています。証券外務員やFP、宅地建物取引士など資格取得が奨励されたり必要になったりすることの多い同業界。その中で昨今のDXの広がりにより、IT人材への需要が高まったことが、ITパスポート取得への強い追い風を生んでいるのではないでしょうか。
具体的な試験内容・出題範囲は以下の通りです。
ストラテジ系 | 1.企業活動 2.法務 3.経営戦略マネジメント 4.技術戦略マネジメント 5.ビジネスインダストリ 6.システム戦略 7.システム企画 |
マネジメント系 | 8.システム開発技術 9.ソフトウェア開発管理技術 10.プロジェクトマネジメント 11.サービスマネジメント 12.システム監査 |
テクノロジ系 | 13.基礎理論 14.アルゴリズムとプログラミング 15.コンピュータ構成要素 16.システム構成要素 17.ソフトウェア 18.ハードウェア 19.情報デザイン 20.マルチメディア 21.データベース 22.ネットワーク 23.セキュリティ |
※2023年10月31日時点。※引用元:試験内容・出題範囲┃ITパスポート試験
ストラテジ系は、35問ほどの問題が出題されます。企業経営に関する問題が多く、経営戦略やシステム戦略、マーケティングに関する知識が問われるのが特徴です。他にも、著作権など法律に関する問題も出題されます。
マネジメント系は、20問ほどの問題が出題されます。システム開発やプロジェクト管理などに関わる知識が問われるのが特徴です。システム開発やシステム監査など、管理に関する知識は押さえておきましょう。
テクノロジ系は、45問ほどの問題が出題されます。数学的基礎理論・PCの仕組み・アルゴリズムなどに関する知識が問われるのが特徴です。数学やデータベースに関わる知識を押さえておきましょう。
次に、ITパスポートが人気の理由を3つ紹介します。
● ITリテラシーが身に着く
● 別のスキルや資格に応用しやすい
● 就職・転職で有利になる
それぞれの理由について詳しく解説します。
ITパスポート試験を受けることで、以下のような知識やスキルを身に着けられます。
● ITに関する基礎知識・スキル
● 企業のコンプライアンスに関する知識・スキル
● 経営や事業運営に関する知識・スキル
● 情報セキュリティに関する知識・スキル
ITに関する知識やスキルは現代社会において非常に重要であり、就職やビジネスにおいても役立つでしょう。
ITパスポート試験で身に着けた基礎知識やスキルは、他のIT関連の資格やスキルに応用できます。
例えば、以下のような上級資格を取得する前の基礎固めとして有効です。
● 情報セキュリティマネジメント試験
● 基本情報技術者試験
● 応用情報技術者試験
ITパスポートを受験することで、さまざまな試験やその他の資格取得に役立ちます。就職や資格勉強の第一歩として活用できるでしょう。
ITパスポート試験の取得は、就職や転職において有利になることがあります。
近年、企業のDX推進に伴ってIT人材の需要が増してきました。
ITパスポートを取得していればITに関する基本的な知識・スキルを持っている根拠になるため、就職活動において優位に立てるでしょう。
次に、ITパスポートの取得が意味ないと言われている理由を3つ紹介します。
● 独占業務がない
● 難易度が高くなく差別化にならない
● 専門性が低い
それぞれの理由について詳しく解説します。
まず、ITパスポートを取得している人だけが可能な独占業務がありません。国家試験の中には、教師や医師など資格を持っている人だけが就労できる業務があります。しかし、ITパスポートを取得しても、それだけで仕事の幅が広がるわけではありません。
しかし、近年は特にITリテラシーが求められる状況が増えているため、取得すること自体に意味がないことはありません。
ITパスポートの取得は難易度が高くなく、他のIT人材との差別化点にはなりにくいです。ITパスポートの試験内容は、ITに関する専門知識ではなく、あくまで基礎的な内容となります。さらに、国家試験の中では最も簡単な試験の一つに分類されるため、取得しただけでは大きな強みになりにくいのが現状です。
ITパスポートは、それほど専門性が高い試験ではありません。ITに関する基礎知識や基礎的なスキルが問われる内容となっています。
ITパスポートは「基本情報技術者試験」や「応用情報技術者試験」と比べると専門性・難易度ともに劣るため、IT人材としての強みにはなりにくいです。
次に、ITパスポート試験の過去問を入手する方法を4つ紹介します。
● IPAサイトからダウンロード
● 対策サイトを利用
● 過去問アプリを利用
● 参考書を購入
それぞれの方法について詳しく解説します。
ITパスポート試験の過去問は、IPA(情報処理推進機構)の公式サイトからダウンロードできます。
ダウンロード形式はPDFとなるので、実際に過去問を解く際はPDFを編集できるソフトを利用するか印刷して書き込みましょう。
なお、平成24年度以降の過去問は「疑似体験用のソフトウェア」にも登録されています。ダウンロードすることで正答数や正誤が表示されるため簡単に模擬試験として利用できます。
近年では、インターネット上にITパスポート試験対策のためのサイトが作られています。ITパスポート試験の対策サイトでは、過去問題集や解説付きの問題集が提供されているので、独学かつお金をかけずに試験勉強をしたい方におすすめです。
なお、ITパスポート試験対策サイトで有名なサイトは「ITパスポート試験ドットコム」です。
iPhoneやAndroid向けに、ITパスポート試験の対策アプリがリリースされています。ただ過去問が載っているだけでなく、勉強の進め方を知れたり進捗管理ができたりするものもあります。スキマ時間にも勉強をしたいと考えている方におすすめです。
書店やオンラインショップではITパスポート試験の参考書が売られています。参考書には、過去問題集や解説が含まれています。図やイラストなどを使ってわかりやすくまとめられているので、効率的に勉強がしたい方におすすめです。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が全世界を席巻しています。企業や組織は、テクノロジーを活用してビジネスプロセスを変革し、新しい価値を生み出そうとしています。このDXの中心には、ITの知識が不可欠です。ITパスポート試験は、まさにこのDXの時代に必要なITの基礎知識を証明する試験として位置づけられています。この試験を受験し、合格することで、現代のビジネスシーンで求められるITの基本的なスキルと知識を有していることを証明できます。また、DXの推進に関わるプロジェクトや業務において、より高い信頼性と実績を築く手助けとなります。
以下の記事では、DXについて詳しく解説しています。現代を生きるビジネスパーソンなら知っておきたいDXの定義について紹介しているので、ぜひご覧ください。
まずは、模擬問題を一通り解いてみるのが手っ取り早いでしょう。公式サイトで試験を疑似体験できるソフトウェアが配布されているので、そちらを利用してみることをおすすめします。
出典:疑似体験用ソフトウェア(Zip方式)_令和4年度公開問題版のスクリーンショット
試験の概要を掴めるだけでなく、解答見直し機能もあるため、学習ツールとしても非常に有用です。
ほかに筆者が教材として利用したのは『令和04年 イメージ&クレバー方式でよくわかる 栢木先生のITパスポート教室 情報処理技術者試験』(技術評論社、2021)でした。1日30分程度かけて1分野ずつ学習し、同時に昨日の内容を模擬試験で復習。それを繰り返して、2カ月強で書籍は読み終わります。それで十分試験に対応する知識は身につきました。筆者には元々IT業界で仕事をしているというアドバンテージはありますが、誰でもそのくらいの期間で出題範囲はカバーできるはずです。
ITパスポート試験の合格率は50%前後ではありますが、これはほとんど勉強せず試験に挑んだ人も含んだ数字です。しっかりと2~3カ月準備をすれば多くの方が合格を掴めるでしょう。
実際の試験当日の雰囲気もお伝えしておきましょう。
筆者がITパスポート試験を受検したのは2022年2月19日午前9:00-11:00の試験。試験会場は当時住んでいた岩手県盛岡市のテストセンターでした。
当日の午前8:40ごろに会場に辿り着くと、すでに10数名が集まっており、ロビーに並べられた椅子に座って待機しています。
受検申込時、試験15分前までに到着するように書かれていたので、その通りにしたのですが、それは正解でした。直前の列は少し込み合いましたし、ギリギリに到着した場合、トイレなども行きづらかったでしょう。
ロッカーに荷物をおいて、受検票、会場で渡される説明事項が書かれたボードとメモ用紙、鉛筆を持って試験場に入ります。PCで受験番号など入力して準備を進め、テスト開始画面を表示させたまま5分ほど待つと試験開始時間となりました。
1時間10分ほどで解き終わり、見直しも終了したため試験を終え、手を上げて試験監督の方に知らせます。ITパスポート試験は退出自由で、試験結果はその日のうちに、サイトの利用者ページから確認できます。また、2週間前後経過すると、登録した住所まで紙の合格証書が随時送付されます。
筆者のもとにも上記の通り、受検の翌月に合格証書が届きました。
ITパスポート試験は最も初歩的なIT関連の試験であり、就職や転職であまり有利に働くことはないといわれています。しかし、ITにまつわる基礎的な概念をカバーするためのペースメーカーとしては非常に優秀です。この試験を足掛かりにITにまつわる理解を深めていくのは理想的な学習ルートといえるでしょう。
ぜひITに苦手意識を持つ方こそ、受検を検討してみることをおすすめします!
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(宮田文机)
・プレス発表 ITパスポート試験に7歳の小学1年生(受験時)が合格┃IPA
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