あなたは今、転職のことをどれくらい真剣に考えていますか? コロナ禍を経て働き方の多様化が加速する中で、転職は個人のキャリアにおいて大きな転換点としてこれまで以上に関心を集めているように感じます。一方で終身雇用が慣行化する日本においてまだまだ転職のハードルは高いと感じている人も多いのではないでしょうか?
今回は、人々の転職動向・意向についてのデータを通じて、キャリアの舵を切ることが多くの人にとって今、現実的な選択となっているのか? 転職に関する本音を探ります。
今回は、株式会社マイナビが20代から50代までの転職者1,500名を対象に実施した「転職動向調査2023年版」の結果からご紹介します。2022年12月に行われたこの調査により、2022年の20代から50代までの正社員の転職率は7.6%で、2016年以降最も高い水準となっていることが明らかになりました。特に20代から40代の男性は過去7年で最も高い転職率を記録しました。
全体の転職率は2016年と比較すると実に2倍以上となっています。2010年代後半は男女問わず右肩上がりで転職率は高まりました。2020年にコロナ禍に突入したことで一時的に転職率は下がりましたが、その後、増加傾向に転じているため、今後も増加する可能性は高いのではないかと考えられます。
同調査では、転職を考える理由として「給与が低かった」がトップで、入社を決める際の最も重要な要因も「給与が良い」が最も多かったそうです。給与についての回答比率は過去4年間と比較しても高くなってきています。
背景には、物価上昇により、現在の給与に対する不満が高まったことがあると考えられます。
また、実際に 転職後の年収が上がった割合は全体で39.5%で、2019年以降増加傾向にあります。特に男性20代と30代が約半数で年収が増加したという回答の割合が高くなっています。また、クリエイター・エンジニアの職種では半数以上が転職後の年収が上がったと回答しています。
また、将来必要な能力を認識している人は、リスキリングに積極的で、特に「管理・事務」の職種がリスキリングが必要だと感じる割合が高い傾向が見えていました。転職者のうち73.0%が「ブロックチェーンを扱う能力」などでリスキリングを実施しており、リスキリングに前向きな姿勢が示されています。転職において、給与の増加の重要性が高くなる中、将来必要な能力を身につけ、リスキリングを行うことが年収アップへの近道になるのではないでしょうか?
20代専門の転職サービス「Re就活」などを運営する株式会社学情が20代の転職意向に関するアンケート調査を実施しています。
調査において、 20代のうち61.8%が、「社会人になる前から転職を視野に入れていた」と回答し、6割以上が転職をキャリアの一部として考えており、社会人になる前から転職意向を持っていることが明らかになりました。
20代のうち65.7%が、「転職活動をするにあたって、転職すべきか迷うことがあった」と回答し、7割近くが実際の転職に迷いを抱えた経験があることもわかっています。
転職への迷いの原因としては、 転職に迷った20代の61.1%が、「転職するにもアピールできるスキルや経験がないと思った」と回答。他にも、「自分の市場価値が分からなかった」や「早期離職は社会的なイメージが悪いと思った」といった理由が挙げられました。
一方で、 転職に迷わなかった20代の71.9%が、「無理して合わない会社で就業し続ける必要がないと思ったから」と回答し、合わない会社で無理しないことを重要視する人が増えている、という傾向も。他にも「未経験の仕事への挑戦は早いほうがいいと思った」といった理由が挙げられました。
こうした調査からも、転職におけるリスキリングの重要性が感じ取れます。
転職に関する動向を探る調査から、幅広い世代で転職への関心が高まっていることが明らかになりました。特に20代から40代の男性の転職率が過去最高に達し、給与の重要性が増していることが浮き彫りになりました。転職者の中には、物価上昇による給与への不満から生まれる動機も見受けられ、転職を通じた年収アップが注目されています。
一方で、転職に迷う20代の課題も浮かび上がっており、特に「アピールできるスキルや経験がない」という不安が共通しています。これらの課題に対処するために、リスキリングの必要性が高まっているように感じます。
今回の調査結果を通じて、転職は単なるキャリアの変革だけでなく、個々のライフスタイルや収入の安定に密接に関わる重要な選択であることが浮き彫りになりました。これからも変化する社会環境に適応し、自身の成長に繋がる転職を検討する上で、自己分析とスキルの向上が不可欠であると言えるでしょう。
(大藤ヨシヲ)
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