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近年、活況を呈するフィットネス市場だが、市場規模の伸びはほとんどない。シニア層の健康志向の高まりから利用者数は増加傾向にあるが、1人当たりの売上高が減少していることも一因だ(*1)。
業界では、24時間営業や女性専門などの新業態、低価格帯も含めた料金メニューの開発で顧客獲得に取り組んでいる。1985年創業の東急スポーツオアシスでは、市場内競争のさらなる激化に備え、新規会員獲得だけでなく、既存会員の定着に力を入れている。従来から重視してきた顧客との“人と人との関係”をさらに強化するため、店舗マネージャーの顧客対応力向上を図った。そこには、お客様との接点におけるデータへの着目があった。

*1「産業活動分析 平成26年10~12月期(年間回顧)」(経済産業省 2015)
http://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/bunseki/

多様化するサービスから顧客に合った提案をする

スポーツや健康志向の高まりを受け、2020年の東京五輪に向けてフィットネス業界は、活況にあるように見える。実際、2015年の全国の会員数は301万人を突破し過去最高を記録(経済産業省調査*2)。とくに中高年の層が増加傾向にあり、今後は介護予防の視点からの需要増も期待されている。しかし、東急スポーツオアシスの平塚英昭社長は危機感を隠さない。
五輪が終わったあとには需要の反動で、むしろ業界内の競争は激化も予想されます。今から先手を打って体制を強化していく必要があります」(平塚社長)  新規業態や競合他社の事業所も増え、新サービスの開発が会員獲得に大きく影響する。しかし、一方的に情報発信をしても個々の顧客に届きにくいのが現状だ。競争が激化すれば、その情報の届きにくさは大きな課題になるだろう。同社では、以前から「健幸人生をサポートしつづけるNO.1企業」を目指し、個々の顧客との接点を大切にしてきた。それを平塚社長は、“偶然を必然に”という言葉で説明する。 「こちらの発信を1人のお客さまが受け止め、来店されるのは“偶然”。しかし、さらに、そのお客さまに向けたさまざまな情報をお届けすることで、弊社サービスのご利用という行動を“必然”にできると思うのです」(平塚社長)
顧客への提案力こそが、顧客に選ばれる“必然”をつくる。しかし、現場で顧客に向き合う店舗マネージャーは、日々の会員同行のデータ集計や本部への報告に追われ、なかなか個々の会員に向き合う時間がつくれない。そのデータも週次の報告で、それをもとにした本部の指示も遅れがちになる。その顧客に、今、提案するタイミングはずれていくばかりだ。

*2特定サービス産業動態統計調査
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result/result_1.html

顧客との接点を見逃さない

顧客対応のタイミングを失せず、最適化した提案をするには? 同社のマーケティング企画部カスタマーリレーションの武重慶士氏と井上善太氏は、店舗マネージャーが時間を取られていたExcelへのデータの入力や集計作業に着目。データ集計の自動化と同時にリアルタイムでの“見える化”を実現した。

株式会社東急スポーツオアシス マーケティング企画部 カスタマーリレーション マネージャー 武重 慶士 氏(写真右) 株式会社東急スポーツオアシス マーケティング企画部 カスタマーリレーション 井上 善太 氏(写真左)

「どんなに有益でも情報をただ集めるだけでは意味がない。データに基づいた現場のアクションを促してこそ、はじめてビジネスの成果を生み出すことができます」(武重氏)
データを、業務に負荷を与えるものではなく、顧客との接点、提案の糸口とする。そうした環境が整ったことで、店舗マネージャーが、顧客1人ひとりに的確な提案や適切なフォローできるようになった。

「既存会員の定着だけでなく、新規会員の獲得に関する目標値も確実に達成できるようになりました。またお客さま1人ひとりの合わせたフォローは、既存会員へのサービス向上にもつながり好評です」(武重氏)
平塚社長は、顧客との接点であるデータの活用を経営の重要な項目として掲げ、「弊社とお客さま、という関係ではなく、距離を短くし、“人と人との関係”を築いていきたい」と言う。 告知への反応、体験参加、既存会員の施設利用率……。すべてのデータの中に、顧客との大切な接点がある。それをていねいに見つめ、対応していくことが東急スポーツオアシスの“先手”となっている。

ダッシュボードが内製可能なBIツールでCRMの多様なデータの活用に成功した東急スポーツオアシスのソリューション事例はこちら。

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