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世界最高速で進む日本の少子高齢化と人口減少社会は、持続的な経済成長実現のため克服すべき課題であり、さまざまな経済分野でその取り組みが模索されている。

運輸業界においても、人手不足が長期化するなか、ECの普及による宅配便取扱量の増大に対応しきれず、労働や安全に関わる多くの課題が社会問題として広く認識され始めている。これを個別の事業者の事とせず、運輸業界全体の課題としてとらえ、その解決によって社会貢献を果たすことを目的とした「運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)」が、2016年8月に設立された。約半年間の準備を経て、2018年4月20日に今後のロードマップが発表される。TDBC設立の背景とこれまでの経緯をレポートする。

課題と解決策のマッチングで
運輸業界のイノベーションを実現

運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)には、物流や配送、ダンプ、タクシー、バスなど、事業会社の運輸事業会員と、それをソリューションで支援するサポート会員が参加。サポート会員には、運輸事業に強いIT企業が多く参加しているが、物流や労働に関わる多岐にわたる課題が潜在しており、サポート分野は今後も広がっていくと考えられる。サポート会員のウイングアーク1stは、TDBCの幹事・事務局を担っている。

2016年8月9日の設立総会には、関連3省庁(国土交通省、経済産業省、厚生労働省)も参加。その後、10月、12月、2017年2月に会合を重ねている。毎回、事業会社会員の課題に対し、サポート会員によるソリューションが提案され、さらに連携して実証実験を行うことでより良いソリューション開発に向けた取り組みが行われている。従来、各運輸事業企業の課題は個別のソリューションによって解決を計られていたが、業種ごと、あるいは業種間に共通る課題を共有し、その解決を標準化することでコストの低減化が期待されている。TDBCは課題と解決策とのマッチングの場を提供し、運輸業界全体のイノベーションの実現を図るとともに、行政との情報交換の窓口となり、社会貢献を実現する役割を担っている。

ICTだけじゃない、多彩なサポート企業が
貨物、旅客、宅配サービスの業界課題に取り組む

TDBCには、ダンプ、トラック、バス、タクシーなどの事業者会員が参加。人手不足、ドライバーの高齢化、長距離輸送などの事業の縮小など事業が直面している課題のほかに、人材教育や従業員の健康など「人」に直結した課題も多い。そのためTDBCのサポート会員には、ICT関連の企業だけでなく、ヘルス&ウエルネス関連の企業も参加している。TDBCで得られたサポート成果や知見は、運輸業界にとどまらず、日本の社会課題に広く応用できるソリューションとなるだろう。

安延申安延 申様
一橋大学 大学院客員教授

一橋大学大学院 安延様からは、もう足もとまで迫ってきている日本の運輸業界が迎える危機について、運輸業のお立場から、IT業界で置きた例や、技術のイノベーションによる業態の変化、流通業における異業種参入の脅威の例などをもとに、分かり易いご講演をいただきました。

 

TDBCでは、これまでの会合での課題の整理、実現化の検討、ソリューションの実証実験による効果検証などを踏まえ、今後の行政との連携も含めたロードマップのとりまとめを行った。その発表をかねて、TDBCとしての初の主催イベント「TDBC(運輸デジタルビジネス協議会)フォーラム2017」を2017年4月20日に開催する。TDBCの取り組みの紹介、サポート会員による具体的なソリューション事例の展示なども予定されており、運輸業界の各事業会社への参加を呼びかけている。

国内物流の約9割がトラック輸送に支えられ、EC市場規模は15年間で約2倍に成長した。一方でドライバー不足が進み、その影響は、タクシーやバスなどの旅客事業へも広がり、運輸業界が抱える課題は、社会一般と密接につながっている。TDBCの取り組みは、日本の経済、社会の今後を展望するなかで、さらに注目を集めていくだろう。

「運輸デジタルビジネス協議会(TDBC)」のHPはこちら

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