以前、そもそもビッグデータとは? ビッグデータの定義から活用例までご紹介という記事を書きました。ビッグデータは私たちにさまざまな恩恵を与えてくれますが、とくに「町づくり」において効果を発揮します。
ビッグデータを使った町づくりに関しては、「iKaaS」という言葉がキーワードとなります。果たしてこれはどのような意味なのでしょうか? この記事で詳しく迫ってみましょう。
iKaaSとは「intelligent Knowledge as a Service」の略。「サービスとしての知性」または「サービスとしての知見」という意味になります。
IoTデバイス等センサーから収集したデータによって生成された知識を提供する、マルチクラウド(複数のクラウドを組み合わせたもの)なプラットフォームのことです。このプラットフォームにはプライバシーやセキュリティ確保のための各種技術があらかじめ組み込まれています。
プラットフォームの実用性を検証するため、2017年に日欧で実証実験を行いました。日本では、宮城県仙台市宮城野区田子西地区にて実施。センサー等から取得したデータをマッシュアップ(複数の異なる技術やコンテンツなどを加工・編集し結びつけることで、新しい(Web)サービスを形作ること)し、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)アプリケーションを駆使して、「ユニバーサルサービス」「防犯/防災サービス」などのタウンマネジメントサービスのために活用します。具体的には、Oculus Riftなどを利用したシステムなどが検証されました。また室内に設置されているセンサーや空間情報もマッシュアップして病院などと連携すれば、住民に対して適切な健康アドバイスを行うことができます。
これは総務省が2014年度に採択した戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE、国際連携型)として採択されました。研究課題名は、「プライバシーに配慮した情報提供を可能にする高度知識集約プラットフォームの研究開発」です。
iKaaSの実証実験が田子西地区にて行われるようになったのは、この地区が東日本大震災からの仙台市復興のモデルとして各種補助事業に採択されたからです。
エネルギー消費を抑制しながら、快適に暮らせる「エコモデルタウン」として、2014年3月に完成しました。
この実証実験は、株式会社KDDI総合研究所、国際航業株式会社、国立大学法人東北大学、株式会社日立ソリューションズ東日本、理化学研究所の5団体が協力し、田子西地区で2017年2月24日から同年9月30日まで行われました。今後は、過去から未来に渡る町の様子を利用者に明確に示せるよう、データの変動およびデータ処理結果を体感的に表示するアプリケーションを用意し、消費電力や発電量予測の効率化、町作りに関わる事業者や住民の、防災や省エネ、都市計画などに役立つことを目指すそうです。ヨーロッパを中心に行われている800億ユーロ規模の資金助成制度「ホライズン2020」とも連携しています。
スマートシティとは、IoTの先端技術を用いて、基礎インフラと生活インフラ・サービスを効率的に管理・運営し、環境に配慮しながら人々の生活の質を高め、継続的な経済発展を目的とした新しい都市のこと。
これを実現するためには、プライバシーに関するデータをどのように扱うかが重要なポイントとなります。iKaaSは、上で書いた通りプライバシーやセキュリティ確保のための技術が取り入れられており、スマートシティ化の際に必要とされることでしょう。
「iKaaS」という言葉の今後の動向にもデータのじかんでは注目していきたいと思います。
【参考記事】 ※1 岡村久和 監修『IoT時代のビッグデータビジネス革命』(2018年、インプレス社) ※2 「iKaaS」でプライバシー保護と国際情報流通の両立を──KDDI総合研究所など5団体が実証実験 - クラウド Watch ※3 人、モノ、社会、街と共生するサイバー空間 _ 研究室公開 _ 電気情報物理工学科 オープンキャンパスネット ※4 総務省|戦略的情報通信研究開発推進事業 国際標準獲得型研究開発|戦略的情報通信研究開発推進事業 国際標準獲得型研究開発 これまでの採択課題 ※5 プライバシーに配慮した情報提供を可能にする高度知識集約プラットフォームの研究開発(iKaaS)の取り組みについて ※6 世界中のビッグデータ利活用を可能とするプラットフォームの構築 _ 株式会社KDDI総合研究所 ※7 スマートシティ(Smart City) とは _ IoTニュース:IoT NEWS
(安齋慎平)
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