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「働き方改革」が注目されてる中、ウイングアーク1st本社において「働き方改革実現セミナー in 東京」が開催された。昨今さまざまな分野において「働き方改革」が取り沙汰されている。一方で現場業務の実情を無視した一元的な残業時間の削減など表面的な対応にとらわれ、かえって業績低下が懸念されるようなケースも出てきている。
そこで本セミナーでは、「働き方改革」を机上の空論やバズワードでは終わらせず
、業績向上と社会の活性化につながる真の「働き方改革」を実現するべく、国がなぜ「働き方改革」を目指すのか?そして、その目指すべき方向を前提に、ICTを活用した2017年の最新の最適解の紹介として、RPAテクノロジーズウイングアーク1stの話を聞いた。

日本政府による社会政策を超えた“究極の成長戦略”とは?

最初のセッションでは、内閣官房一億総活躍推進室・働き方改革実現推進室 内閣参事官の武田 康祐氏が「働き方改革に向けた政府の取り組み」と題し、講演。

同氏は講演の冒頭で、働き方改革が必要となっている背景として、日本が直面している少子高齢化・人口減少の現状を挙げた。日本の人口は2008年の1億2808万人をピークに減少の一途を辿っており、2115年の予測値は5056万人まで低下。また、高齢者人口の増加と生産年齢人口の減少も加速し、2065年には1人の高齢者を1.34人で支える時代になると予想されているという。

こうした課題に対して「日本政府ではアベノミクスの第2ステージとして、子育て支援や社会保障の基盤を強化する、新たな社会経済システムの構築に挑戦しています。この広い意味での経済政策により『希望出生率1.8』および『介護離職ゼロ』を実現し、『GDP600兆円』に向けた強い日本経済を生み出すわけです。これは単なる社会政策を超えた“究極の成長戦略”といえます」と、武田氏は日本政府の取り組みを語った。

「少子高齢化の渦中にある日本でこうした成長戦略を実現するには、投資やイノベーションの促進を通じた「付加価値生産性の向上」「労働参加率の向上」が欠かせません。その最適な手段として、日本政府が積極的に取り組んでいるのが『働き方改革』です。」

2016年9月から翌年3月まで、計10回にわたり開催された「働き方改革実現会議」では、「働き方改革実行計画」も取りまとめられている。

「働く人々の視点に立った労働制度の抜本改革で、企業文化や風土も含めて変えていく、というのが働き方改革の考え方です。これにより、需要の拡大を通じた成長を図る『成長と分配の好循環』が構築され、人々の暮らしも豊かになります」(武田氏)

働き方改革実行計画の中では「正規・非正規雇用の不合理な処遇の差」や「長時間労働」など、日本の労働制度と働き方に関する課題をいかに解決していくかも盛り込まれている。

正規・非正規雇用の不合理な処遇の差については、雇用形態に関わらない均等・均衡待遇の確保に向け、日本政府としてガイドライン案を策定。基本給/各種手当/福利厚生や教育訓練に関する均等・均衡待遇の確保、派遣労働者の取り扱いについても触れ、ガイドライン案の実効性を担保するため、裁判による司法判断で救済が受けられるような法改正も予定されている。

武田 康祐氏
内閣官房 一億総活躍推進室・働き方改革実現推進室 内閣参事官 武田 康祐氏

法改正で時間外労働の上限が年720時間に

多くの企業で喫緊の課題となっている長時間労働についても、法改正による解決が着実に進められている。現在、日本の労働基準法では、労働時間に関して1日8時間、週40時間を超えてはならないと定められてる。ただし、同法36条「時間外・休日労働に関する協定届」、いわゆる「36協定」として、使用者が労働組合と協定を結べば月45時間、年360時間を上限に時間外労働が可能。さらに特別条項を用いると、最大6ヶ月までこの上限を超えた無制限の時間外労働が行えてしまう状況だ。

武田氏は、厚生労働省「平成25年度労働時間等総合実態調査」の結果を示し、
「36協定を締結している事業場の割合は55.2%で、そのうち健康を害するといわれる特別延長時間が月80時間超の比率は中小企業で1.9%、大企業では14.6%に達しています。しかし、仕事と子育てや介護を無理なく両立させるには、こうした長時間労働の是正が必要不可欠です。このためには36協定でも超えることができない、罰則付きの時間外労働の限度を具体的に定める法改正が求められます」と語った。

時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正

法改正の具体案としては、週40時間を超えて労働可能となる時間外労働の限度を、原則的に月45時間かつ年360時間とした上で、特例として臨時的な特別の事情がある場合は、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても上回ることができない時間外労働時間を年720時間と設定。なおかつ、年720時間以内において一時的に事務量が増加する場合についても、最低限上回ることのできない上限として

  • 1ヶ月/2ヶ月/3ヶ月/4ヶ月/5ヶ月/6ヶ月の平均で、
    いずれにおいても休日労働を含んで80時間以内

  • 単月では休日労働を含んで100時間未満

  • 原則を上回る特例の適用は年6回を上限

という制約が盛り込まれている。

加えて自動車運転/建設/医師/研究開発といった、現状で適用除外となっている特殊な分野に関しても、法改正の施行期日から5年後を目処とした規制適用などが予定となっている。

「この法改正は、現行の限度基準告示を法律に格上げし、罰則による強制力を持たせるとともに、これまで臨時的な特別の事情がある場合に上限なく時間外労働が可能となっていた状況を改善するものです」(武田氏)

柔軟な働き方がしやすい環境整備にも注力

テレワークや副業・兼業といった柔軟な働き方さらに、働き方改革に向けた取り組みの一環で、柔軟な働き方がしやすい環境整備にも注力。

武田氏は「環境整備の代表的な例としてはテレワークが挙げられます。テレワークは時間や空間にとらわれずに働けるため、子育てや介護との両立手段になるほか、多様な人材の能力発揮が可能となります。また副業や兼業に関しても、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、第二の人生の準備として有効です。一方で、これらの普及が長時間労働を招いては本末転倒ですから、労働時間管理の方法を整理したり、ガイドライン制定など実効性のある政策手段で普及を加速することも求められます」と国としても環境整備を後押しすることにも積極的に取り組みと述べた。

武田 康祐(タケダ コウスケ)

武田 康祐氏内閣官房一億総活躍推進室・働き方改革実現推進室 内閣参事官
武田 康祐氏1995年 労働省入省
2003年 厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長補佐
2005年 鹿児島労働局総務部長
2007年 厚生労働省政策統括官付労働政策担当参事官室長補佐
2008年 在タイ日本国大使館一等書記官
2011年 厚生労働省職業安定局雇用政策課長補佐
2012年 内閣府政策統括官(経済社会システム担当)付参事官(社会システム担当)付企画官
2014年 厚生労働省労働基準局労働条件政策課労働条件政策推進官
2015年 内閣官房一億総活躍推進室企画官
2016年 内閣官房一億総活躍推進室内閣参事官、内閣官房働き方改革実現推進室併任

このように、日本において働き方改革が必要となっている背景や、日本政府としての具体的な取り組みについて語ってくれた武田氏。セッション後に設けられた質疑応答タイムでは、参加者から積極的に質問が行われていたので、その一部をご紹介。

Q:ガイドライン案に人事など評価の視点が含まれているか?

A:現在のところ未設定とのことです。

Q:テレワーク導入の負担を軽減する助成はあるか?

A:現在提供されている助成や補助は、介護など一部のモデル事業に限定されていますが、普及促進に向けて今後そうした取り組みが増えていくと予想されます。

そのほか、持ち帰り労働や過少申告への懸念については、実態をより厳しくチェックできる監督指導で対応していくとのことやり取りもあった。

働き方革命を実現するDigital Laborという新しい“労働力”

RPAブームの本質

続いては、RPAテクノロジーズ 執行役員の笠井 直人氏が登壇。
「働き方改革 Digital Laborによる日本の生産性革命」と題し、講演。

RPAテクノロジーズは、2013年設立の日本国内におけるNo.1RPAカンパニー。
100社4,000以上のロボット稼働とRPA新規ビジネスを40以上推進してきたそのノウハウを語って頂いた。

笠井氏はまず、コアビジネスとなっている「RPA(Robotic Process Automation)」について述べた。
RPAの本質は、自動化でも、ソフトウェアの導入でもなく、ホワイトカラーの業務をソフトウェアをベースに構築したロボットに代行させるということです。仮想知的労働者『Digital Labor(デジタル レイバー)』とも呼ばれますが、本質はこれをどう働かせるかということです。このDigital Laborという新しい“労働力”を活用すれば、働き方の革命が実現可能です」と解説。

RPAの基本原理は、ユーザーのPC操作を記録したマクロファイルにより、定型・ルーチンワーク作業をロボットが代行するというもの。これにより、リードタイム/品質/コストの最適化、24時間365日稼働、離職がない無制限の採用など、数多くのメリットが享受できるわけです。Digital Laborはプログラミングが不要な上に、既存の業務やシステムをそのまま活用でき、なおかつ無制限に増やすことが可能です。『導入・運用・拡張のしやすさ』と『これまでにない圧倒的な能力』を兼ね備えた、まさに理想的な労働力といえます」(笠井氏)

笠井直人氏
RPAテクノロジーズ 執行役員 笠井 直人氏

RPAを導入する際に重要な3つのポイント

まず一つ目は来型BPR(Business Process Re-engineering)・IT導入方法論から着想しない」こと。「従来のシステム導入方法論は、構想立案/要件定義/設計/開発/テスト/導入準備/稼働後支援の各ステップを、数ヶ月から数年もの期間をかけて実施するものでした。しかし、RPAに関してはこれが逆にトラブルの元となる可能性を含んでいるため、業務をさせながら徐々にブラッシュアップしていくのがベストといえます。これを繰り返すうちに、単純作業を代行させるだけで生産性が上がる、アイデアが現場からあふれる、“勝手に”業務整理が始まるなど、投資対効果だけでは計りきれないメリットが得られるはずです」

そして二つ目が、「まずはやってみる(効能・化学反応を体感する)」ことです。これは、入口部分でツール選定に終始することなく、実際に作って動かして運用の課題などを見つけ出すのが重要ということも挙げられた。

三つ目としては、「ロボットをマネジメントする体制作りを目指す」という点。適切なDigital Labor稼働環境を構築・運用することで、劣悪な生産性の発見にもつながるわけだ。

最後に笠井氏は「Digital Laborは、ハードウェア的な『デジタルトランスフォーメーション』、そしてソフトウェア的な『テクノロジーを活用する文化の醸成』を実現し、日本に生産性革命をもたらしてくれます。従来はどうしてもITと現場の意識が離れがちになっていましたが、Digital Laborによってこうした壁をもなくすことができ、企業にとって理想的な働き方改革にもつながるのです」と語り、セッションを締めくくった。

笠井 直人(カサイ ナオト)

笠井 直人氏RPAテクノロジーズ株式会社 執行役員
東京外国語大学を在学時にRPAのテクノロジーに触れ、ビズロボジャパン株式会社(現RPAテクノロジーズ株式会社)、にインターンとして参画。
同学を卒業後入社。RPAサービス「BizRobo!」の導入支援や、RPAを活用した事業開発に従事。
ホワイトカラ―業務の代行を実現するRPAを推進するリーディングカンパニーの執行役員として、マーケティング・人事を含む全領域で活動。2016年7月に設立した、一般社団法人日本RPA協会の協会委員に就任。RPA・Digital Laborの普及・活用に関わる人材育成プログラムを企画・推進。

アナログなプロセスを“縮める”のではなく
“なくす”ことが重要

ウイングアーク1st株式会社取締役 副社長COO シニアエバンジェリスト 田中 潤氏

最後のセッションでは、ウイングアーク1st 取締役 副社長 COO シニアエバンジェリストの田中 潤氏が「電子化×自動化で実現する業務効率最適化とは?」と題した講演。

講演の冒頭で田中氏は「これまでのセッションでご覧いただいた通り、日本の企業に『働き方改革』が必要な背景としては、人口および労働力人口の減少、長時間労働の慣習を改善する必要性などが挙げられます。こうした中で求められるのは、ダイバーシティ(多様性)マネジメントの推進と生産性向上です。しかし、多くの企業が実践しているはずの業務効率化について、あまり効果が上がらないのはどうしてでしょうか。それは“自動化ができないと思っていること”にヒントがあります。一般的にRPAは、デジタル処理に関して大幅な自動化が行えますが、一方でアナログなプロセスが少しでも含まれる作業では一気に自動化が困難となります。そしてこのアナログなプロセスには、企業が日常的に用いている「帳票」を利用するものが多いのです」と問題を提議し、そのための解の一つを紹介。

コスト試算

こうした企業の課題に対して、ウイングアーク1stではドキュメントの電子化およびアナログな業務プロセスの自動化が可能なソリューション「SPA(Sustainable Process Automation)」を提供。

田中氏は具体的な事例を交えながら「アナログなプロセスを“縮める”のではなく“なくす”ことで、これまで限界と感じていた自動化・業務最適化の壁を超えられるようになります。電子化とは、単純に帳票をデータ化するのではなく、活用できるデータへ変えることに意義があるのです。皆さんも、働き方改革に必要不可欠なアナログプロセスの自動化を、ぜひ試してみてください」と、講演を締めくくった。
3者の講演では一貫して、建前やバズワードではなく、日本、企業、ビジネスパーソンが、国、企業の競争力の源泉としての「働き方改革」が、急務であると警鐘を鳴らしていた。

合理的に必然性を持って、経営者が「働き方改革」に戦略的に投資するべき時代が来ている。
「データのじかん」では、今後も、こうした「働き方改革」に関する情報を随時紹介していく予定だ。